後期研修医はどこに行く、、
m3.comの記事に『 全国医学部長病院長会議がまとめた「臨床研修修了者帰学状況調査」によると、今年4月から後期研修を開始した医師のうち、大学を研修先としているのは
55.9%にとどまることが明らかになった。前年より3.9ポイント増となり、やや回復したものの、卒後臨床研修必修化前の2002年の71.4%と比べると低く、依然として「大学離れ」の状況が続いている。』とあった。大学離れは恒久的になるだろうと私は予想していた。以下は去年の2月にブローグした記事です。都市部の後期研修医は過剰になるだろうと予想していた楽観的な意見があったが、それは時代の流れを読めない甘い楽観論だったと思います。
そして臨床研修必修化についてもこのまま(大都市部に若い医師が流れて行く)だろうか?大都市部の研修病院に行ってしまった医学部卒業生は、全員がその大都市部に残れるわけではない。大都市部のポストが不足する。そうなると地方に還流が始まることが予想される。だからそれほど心配していないという向きもある。
しかし、一旦、大都市部に流れた研修医はそう簡単に戻らないだろう。そうなると、大都市部の病院同士の競争が激化する。か、どうかわからない。私は、大都市部の研修医のある程度は地方に還流するが、多くは大都市部とその周辺に残り「市場」を開拓するだろうと思う。市場とは新たなニーズである。
その為、国が(今後)期待したいような医療費抑制効果は新たな「市場開拓」で相殺されるどころか、大都市部の市場化の流れに押されてさらに加速されるだろうと思う。地方や僻地での医療を充実したければ、地方や僻地で真っ当な充実した地方らしい、あるいは僻地らしい臨床教育(研究)を行い地方で医師を育てるべきである。一旦、流れた動きは止められないし、大都市部で医師が過剰になって、のこのこと地方にUターンするほど若い医師の適応性が無いと見るのは甘い。
大都市部の医師が過剰となり競争が活性化してより(安い)効率的な医療が提供されるというのも期待薄だろう。確かに効率化は図られるが、若く創造的な医師は新しい市場(医療分野)を開発して行くだろう。なんせ医療技術は日進月歩で応用されることを待っている技術革新が豊富にある。いままで応用開発したくても(開発する)人員が不足していただけで、大都市部に豊富に医師が集まれば新しい治療法や新しい医療分野がどんどん開発されていく。
有名な歴史的事実が似たような現象を証明している。第二次世界大戦の英国では男性が兵士として戦地に動員されて、女性が家事から国内の産業に従事する羽目になった。そしてこの動きは戦争が終わっても、もう女性は家事には戻ってこなかった。今、厚労省が押し進めているのは、医療職の労働市場の自由化である。都市はそして大都市は特に強力なマグネット効果を示す。一度惹き付けた人材は都市から離れない。先日、夕張に応援に行った医師も僻地医療をもともとやっていた人物である。大都市部で研修教育を受けた医師がポッと僻地に行くことはまずない。
もともと地方郡部では人口規模が小さいので民間病院が成り立たず、公的病院が設置された。しかし、地方の公的病院への補助が縮小されていくなかでは、崩壊が止まらない。Uターンしようにも地方にはもう若い医師に対する受け皿がない。大都市は若い医師を惹き付け、地方は受け皿を設けられないなら、大都市部での新たな医療が始まるだろう。高齢社会であれば、病気とともに生きる高齢者が多数いるわけで、その対応に医療は拡大して行くだろうから。
ところで私はもっと医療費に国は金をかけるべきだと思っているのだが、お金の掛け方を考えるべきだと思っている。このままでは病院間にも勝ち組と負け組が生じて、儲かる病院だけしか生き残り難くなると思う。そして儲かる病院だけで国民が望む医療が展開されることは決してないだろう。儲かる病院とは当然のことながら、儲かる医療しか提供しなくなるわけだから。
Posted: 火 - 7月 15, 2008 at 06:57 午前
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