健康日本21と特定健診の底に流れるもの


 行政の方も、自分らがどのように住民サービスしているかを総花的に述べ過ぎです。...特定健診でリスク者やリスク予備軍をスクリーニングして、そのリスク群や予備軍を受診させ指導するという発想はとても古いものです。 何度も述べましたが、今の特定健診の発想では30年前の米国のMRFIT研究を乗り越えられません(この大規模調査では、健康指導介入すなわち食事指導、禁煙指導、高血圧服薬指導などを10年間やってもほとんど効果はなかった、すまり個々のリスク要因の改善指導には効果はほとんどない)。...健康日本21も特定健診も個々の個人の努力は不可欠ですが、地域全体、社会全体の分布をシフトするように行政サービスや政策は実践しなければならないというわけです。... メタボ予防と言いながら、ガンガン糖分の多いお菓子の宣伝が野放しなのも変でしょう。

 健康日本21の市町村への支援をまだやっています。これはずっと続くでしょう。先日も某町から健康日本21の評価委員会のアドバイザーを依頼されました。そして、どういう企画にすればいいでしょうと相談を受けました。前回の評価委員会では、行政の方の報告が長過ぎたので、行政の方の報告は手短にして、住民側(住民委員の方)でどう展開しているのかを聞いてみたいと述べました。

 健康日本21の評価委員会と言いながら、ほっておけば、住民委員からの行政評価しか出てきません。『あのサービスもしてくれ』『このサービスは対応が悪い』とかです。それはそれで結構ですが、じゃあ住民側は何を努力しているのか?どう自主的な展開をしているのか?とアドバイザーとしては聞きたくなります。

 行政の方も、自分らがどのように住民サービスしているかを総花的に述べ過ぎです。健康づくりは一人ひとり個人の展開が不可欠です。その展開においてどう行政的な環境整備が必要かが大事なのです。どうも健康日本21の住民参加という概念が形骸化しているのではないかと心配です。住民参加で計画を作ればそれでおしまいではないわけです。計画を実施するのも評価するのも住民参加なんです。

 ただし、すべてを個人の責任するつもりはありません。メタボ健診が始まりました。特定健診です。これは私は壮大な失敗になるだろうと思います。が、失敗ても良いと思っています。真剣にやって失敗すれば得るところがあるでしょう。特定健診でリスク者やリスク予備軍をスクリーニングして、そのリスク群や予備軍を受診させ指導するという発想はとても古いものです。何度も述べました が、今の特定健診の発想では30年前の米国のMRFIT研究を乗り越えられません(この大規模調査では、健康指導介入すなわち食事指導、禁煙指導、高血圧服薬指導などを10年間やってもほとんど効果はなかった、つまり個々のリスク要因の改善指導には効果はほとんどない)。そして散々批判はしていますが、このメタボ健診によって社会環境が変わる動きもあり、この効果には期待しています。個々改善指導ではなく、地域全体として、あるいは社会全体として、食塩摂取量を控える、運動をする、甘いものを控えるという動きが大切なのです。

 この分野ではジェフリー・ローズ が既に指摘しています。すなわち、例えば肥満者とは全体のヤセと肥満の分布の一部でしかない。その一部を一生懸命是正しても埒があかない。問題の本質は、分布全体を減量の方向へシフトすることだと。健康日本21も特定健診も個々の個人の努力は不可欠ですが、地域全体、社会全体の分布をシフトするように行政サービスや政策が実践されなければならないというわけです。減塩、減塩と言いながら、地域の特産品に相変わらずショッパイ漬物を出す東北の郡部はやっぱりおかしいわけです。メタボ予防と言いながら、ガンガン糖分の多いお菓子の宣伝が野放しなのも変でしょう。日本のテレビはまだタバコ宣伝していますね、、、、。

 ジェフリー・ローズの夢、、、下の図は集団ごとの収縮期血圧の分布。縦軸が出現頻度、横軸が収縮期血圧値。この血圧の分布は正規分布をする。集団によって分布が高い方に行ったり、低い方に行ったりする。肝腎なことは、高い部分だけを減らす事は不可能ということ。高い方を減らすにはこの分布全体を左、つまり低い方にもってゆくしかない。すなわち、山のピークの平均値を低くするしかない。と言うことは、地域全体、社会全体として平均値を下げる努力が不可欠。この分布は肥満者だろうが、血糖値だろうが同じ。メタボ健診を成功させるには、我々の社会全体の血糖値や体重を減らすしかない。健康日本21で言われたポピュレーションアプローチとはこのことを言う。




Posted: 火 - 9月 9, 2008 at 01:54 午後         |


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