ランセットに載ったアトキンスダイエットのレビューの概要
前のブローグでランセットに載ったアトキンスダイエットのレビューについて をアップしたのですが、このブローグでも再掲します 本文を読むには下のRead
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アトキンスダイエットの医学的レビューを英国医学誌ランセットで行ったと紹介したが、レビューをあらためて読むと結構興味あるので少し詳しく概略を紹介。
そもそもアトキンスダイエット(
Atkins diet
)とは何ぞや?であるが、基本的には低炭水化物ダイエットのこと。もともと低炭水化物ダイエットの歴史は古く1860年代から行われていた。当時、William
Bantingが空腹を感じないで21キロも痩せたという主張があるらしい。
その後、数多くの低炭水化物ダイエットが行われたが、最も有名で最も(セールスとして?)成功したのが1998年の(つい最近のこと)「Dr.
Atkins' New Diet
Revolution」。
Atkinsダイエット
は、単純な低炭水化物ダイエットではない。内容は一生涯にわたる(Lifetime)栄養哲学とも言うべきものらしい。ビタミンやミネラルのサップリメントを勧め、さらに定期的な運動も勧めている。なぜこのAtkinsダイエットが多くのひとにアピールしたかと言えば、サラダをメインとした1日20グラムを越えない炭水化物制限、そして無制限のたんぱく質摂取(この無制限がいいのだろう)とそれに付随する脂肪摂取(動物性たんぱく質を摂ればどうしても脂肪摂取が増える)は、逆説的にケントン産生を促し、どうもこのケントンが空腹感を感じさせないとか言われている。
低炭水化物ダイエットのデータは結構あるのだが、2600越える文献論文をレビューしても低炭水化物ダイエットだけで減量している例はなく、カロリー制限を加えての減量しかない。総カロリー制限で痩せるのは当然。
そして2003年、よって昨年になって初めて検証に耐える研究発表が3つ出てきた。一つは半年間だけ、二つは1年間のダイエットで、三つとも比較対としてエネルギー制限低脂肪ダイエットというオーソドックスなダイエットを選び、低炭水化物ダイエット
VS
オーソドックスなエネルギー制限低脂肪ダイエットに対象肥満者をランダムに割り当てて行っている。
結果はおそるべきもの(と私は思う)で、半年間なら低炭水化物ダイエットの方が減量するというもの。ところが、1年間続けた二つの研究では1年後にはどちらにも有意な差はないとなっている。つまり長期間では エネルギー制限低脂肪ダイエットよりも優れているかどうかわからないという結果。
結果はおそるべきものと書いたが、それは半年とは言え従来のエネルギー制限低脂肪ダイエットよりも減量効果が優れているからなのだが、この三つの研究結果には重要な制限がつく。
それは、この低炭水化物ダイエットを続けるのは結構難しく、ドロップアウト率は高いというのである。続けた肥満者の効果は半年では優れたものだが、長く続けるのが少し難しいようなのである。
さて、このAtkinsダイエットのメカニズムだが、結論から言えば不明であり、はっきりしてない。このメカニズムには色々な仮説があるのだが、単純なものではないようである。極端な炭水化物制限を行うとエネルギー源としてグリコーゲンを消費して、グリコーゲンに結合している水が減るため、減量は水分減少によるなど色々があるが、決定的なものはない。
有力なのは炭水化物が不足のために産生されるケトンが食欲を抑制し、食欲不振症(カーペンターズのカレン・カーペンターがこれで亡くなった ちょっと古い例だな、、、)と同様になるからだとされる。しかし、この説も十分には証明されず、半年を過ぎるとケトンの血中濃度もコントロールレベルになるようである。
ケトンの解説:ケトンは飢餓状態で生じるもので、医師から見て気になるはこのケトンは生体にそれほど良いとは思えないこと。極端な炭水化物制限では、エネルギー源として脂肪酸を活用する。脂肪酸の代謝が亢進すると、アセト酢酸,b-ヒドロキシ酪酸,アセトンのようなケトン体が産生される。つまりケトンは単体ではなくケトン体という総称。ケトン体は血流によって運ばれ、肝臓以外の臓器(特に,心臓や筋肉)で重要なエネルギー源となる(ただし,アセトンはエネルギー源にはならない)。
ところで、脳はグルコースだけをエネルギー源とし,脂肪酸を利用できない組織である。そのため,飢餓時やインシュリン欠乏による糖尿病などでグルコースが利用できない場合は、ケトン体が代替エネルギー源になる。
つまり極端な炭水化物制限は飢餓状態であり、代替エネルギーを恒常的に使うことなる。また、ケトン体は酸性物質であり、身体はアシドーシスつまり酸性に傾く。解説はここまで。
また、高たんぱく質ダイエットは、thermogenic(吸収自体にエネルギーを消費し発熱する)
と言われるが、実際は減量につながるほどのthermogenicではない。で、低炭水化物ダイエットが成功するのは、おそらく食事選択の範囲が制限されるので食欲自体が抑制される。
あるいは事実上無制限の高たんぱく質摂取なので余計な食欲が満たされる(簡単に言えば食事に飽きてしまう)と推測されている。
安全性についても半年くらいなら大丈夫だろうということであるが、Atkinsダイエットでよく起すのは、果物、野菜、穀類の摂取が減るので 便秘 頭痛 が一般的である。
多分、腸の長い東洋人では便秘は悪化しやすいのではないだろうか(私見)。その他としては、口臭、筋肉痙攣、下痢、易疲労感、皮疹、吹き出物などである。栄養バランスが悪いのでこれらの随伴症状は避けらないだろうか。米国ではアトキンスダイエット専用のビタミン剤も販売されてはいるが、ビタミンも食餌で摂るのが望ましいとは思うけど。
まとめ
○Atkinsダイエットは、半年ならば従来のエネルギー制限低脂肪ダイエットより効果的であるが、脱落者は多いようである。
○半年くらいならば重大な健康障害はなさそうである。
○しかし、1年するとその効果は従来のエネルギー制限低脂肪ダイエットとの差はなくなる。
○今後は、少なくとも2年にわたる長期的な効果とその安全性、またダイエットのメカニズムを検証する必要がある。
○最後に、一般人や病人には、安全性と疾病の予防効果(糖尿病の予防、心筋梗塞の再発効果が実証されている)のある従来からのエネルギー制限低脂肪ダイエットを推奨することがベターだろう。
Posted: 土
- 10月 2, 2004 at 01:43 午後
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