雑記

 工作という程ではないオーディオについての雑記のページです。

実験用スピーカー・ユニット

 20121年4月16日:

 3月31日は暴風警報が出て運体になった路線もあったそうです。この日の仕事先の海沿いのビルでは吹きっ晒しの窓枠やドアやらで風がピーピーと笛のような音を鳴らすという情緒あふれるものでした。
 昼を過ぎると雨が降り始めましたが仕事後に秋葉原に立ち寄ってみました。
 海洋堂のあるビル最上階のジャンク屋さんに行ってみますとダンボール箱の中に表側をダンボール紙とセロテープで蓋をした小さなスピーカー・ユニットが押し込んでありました。
 500円です。
 ここは以前ステントリアのユニットを手に入れたところです。


 どうも見覚えがあるプラスチック・フレームの外観だったので買って帰りました。
 何年貼りっぱなしだったのかベタつくセロテープを剥がしてダンボールの蓋を取ってみますとセンターキャップにBOSE とエンボスがあります。
 どうやら101シリーズのユニットのようです。
 布製の丈夫なエッジが心強いです。

 BOSE のスピーカーは中音が強調気味に張り出しているのでやや私の好みからは外れますが、頑丈さで知られるスピーカーなので、以前からやってみたかったオーディオ実験には惜しげも無く使えそうです。


 しばらくは手を付けなかったのですが、4月の中旬になって時間も出来たので音質を確認することにしました。
 コピー用紙の空き箱にM4 ボルト・ナットでの取り付けといういい加減さ溢れるバッフルで、低音の音質はダンボールの鳴りも加わってだらしなく膨らんだものでしたが、耳を近づけると音楽に必要な音程はちゃんと聞こえます。
 中音、高音は聞き慣れたしっかりしたものです。

 いくら実験用とは言え、安っぽい造りの音のスピーカーでは何を実験したいかが曖昧になるので、音質はまともなHiFi ユニットを使いたいと思っていたのですが、願ったり叶ったりのユニットが思わぬことで安価に手に入ってしまいました。
 頑丈と定評のあるユニットなので思い切った実験にも使えると思います。それまではフォスターの小型ユニットを手に入れて、と思っていたのですが。

 やはりジャンク屋さん廻りは面白いです。

 やってみたい実験は、和音さんの考案したファンネル・ダクト・バスレフ方式と、ENSOUND さんの流星型スピーカーです。
 ファンネル・ダクト・バスレフ方式は以前から試してみたい方式で、結果を確認したらステントリアン用に採用してみようと考えていました。
 流星は先年の秋葉原での「音展」で聴いたものです。
 竹製のシェードや内部の光によって部屋に映るシルエットも魅力でしたが、音展会場で気になったのはシェードを外して展示されていた、軟質透明円筒形エンクロージャー上部に上向きに取り付けられたスピーカーユニットという構造です。
 スピーカーユニットのフレームの振動を音にせずに吸収してしまうという発想が大いに気を引きました。
 ENSOUND さんが正式に特許を取っている方式ですが(特許第4262291号)、その方式のメリットを確認しようと思います。
 軟質の円筒状エンクロージャーでは以前からも絨毯スピーカーがありましたが、発想の根源は「ユニットの振動板以外は鳴らさない」点では同じと考えます。


ゲッベルスさんのマイク

 2011年12月22日:

 人形劇に使うつもりでナチス宣伝相のヨーゼフ・ゲッベルスさんの人形と執務セットを手に入れました。
 執務セットの中に気になるものがありました。


 人形本体にも付属するマイクスタンドに取り付けられたマイクです。

 随分と大げさな図体をしていますが、以前にオーディオ雑誌で見かけた記憶があるので探してみました。


 季刊analog 誌の2011年夏号(Vol.32)のキングレコード半世紀の歴史を語る菊田俊雄さんへのインタビュー記事の中の囲み記事です。
 このマイクはテレフンケンのELM M-14 型コンデンサーマイクでした。

 アメリカが映画の収録などでの取り回しが楽なダイナミックマイクに進んでゆくのに対してドイツでは音楽収録での音質重視の方向でコンデンサーマイクを進化させ、後にノイマンU-47,U-87 へと進化したその原型なのだそうです。

 簡単に扱えるダイナミックマイクに対してコンデンサーマイクは成極電源が別に必要になったり湿度の管理を厳重にしたり取り扱いは容易とは言えません。
 それでもコンデンサーにこだわったのは音質を最重視したからではないでしょうか。

 マイクと同じく、政治演説の際に使われるスピーカーの形式にもドイツとアメリカでは違いがありました。
 アメリカではWestern Electric の映画用レシーバー555を渦巻状の大型ホーンに付けてルーズベルトが演説していたのに対して、ドイツのヒトラーさん達は円筒形エンクロジャーに上向きに取り付けたスピーカーの前に円錐形デフェーザーを置いて、周囲全方向に向けてまんべんなく音を拡げる方式を採用しました。
 ソノボックス社の円筒形全指向性スピーカー・システムMSU-01 は名機EXACT-16 全音域ダブルコーン・ユニットを使っていましたが、その設計者もナチスドイツの拡声器用機器と、それと同じ時代のアメリカの拡声器用機器との発想の違いについて語っておいででした。


レコードクリーニング用回転台

 2011年8月8日:

 学生時代から使ってきたパイオニア製のフォノモーターMU-61 が動かなくなったので、裏面の固定用のネジ穴に長いスペーサーを付けて脚にし、レコードを拭く時の回転台として使っていました。
 しかし、細い脚4本が付いているだけでは普段の置き場所が限定されますし、設置の際もつい脚がそこいらへんに引かっかって取り回しが良くありません。
 ふと重量物の運搬用梱包の各頂点を養生していた独立気泡性のクッション材を使うことを思いつきました。画像の手前にある白いクッション材です。
 正式な名称は分かりませんが発泡スチロールのような細かいキリコが出ない柔らかい粘りのある樹脂です。
 ハードボード上にこのクッション材を並べてMU-61 を乗せ、その底部のコントロール部、電源部、回転部のそれぞれの高さの違いに合わせて板状にカットしたクッション材を挟んで全体の高さを調節しました。
 ハードボードとクッション材、および板材とはタイトボンド(本来は強力な木工用)で接着してありますが、クッションとMU-61 とは接着固定はせず、乗っているだけです。

 これで、底面のハードボードを持って持ち運ぶことが出来ますし、ワイヤーラックにも仕舞うことができます。
 なにより床面との接触面積が増えて、リジッド・サスペンションからソフト・サスペンションになったのでふき作業の時の手応えも良くなりました。

 ターンテーブルシートはその重量から使わなくなっていた東京防音の THT-291 です。その材質(ハネナイト)によりしっかりレコードをグリップしてくれますし、回す時の慣性も大きいのでクリーニング作業がはかどります。


 上をいつも風呂敷で覆っているのも美的にアレなので、「ターンテーブルのカバー」の要領でターンテーブルよりやや大きめの円盤カバーを作って乗せました。
 材質は2mm 厚のシナベニヤ板で、中央のツマミは全指向性円筒形スピーカーの製作時に脚部のボルトの頭隠し用にM10 タップを立てて作ったブナの球体の加工ミスのものを流用しました。
 ブナ球底部のタップ孔周囲をペーパーを掛けて平面を出し、タイトボンドでシナベニヤ板と接着してあります。スピンドル軸はM10 タップ孔の中に余裕で収まります。
 シナベニヤ板とブナ球の表面は未晒し蜜蝋ワックスをかけて表面を保護しました。


 保護カバー裏面は1mm 厚コルクシートをタイトボンドで接着してあります。
 #600 ペーパーで滑らかにしてから濡れ雑巾で丹念に拭き上げておきました。


 半自動レコードクリーニングマシンのVPI HW-16.5 は持っておりますが、25cm 盤の吸収ノズルやSP 盤用のクリーニング液は持っておりません。(LP 盤用のクリーニング液をSP 盤に使うと、盤面のシェラックが溶けてしまいます)
 これらは手拭きに頼ることになりますが、この回転台の小改良で底面が平面になって安定度が増し、力を入れてバランスウォッシャーで拭き上げることが出来るのが、なによりありがたくなりました。

 画面は秋葉原の中古オーディオ・ショップで手に入れたブダペスト弦楽四重奏団の初期コロンビアによるモノラル25cm 盤です。(200円にて入手)
 バランスウォッシャーで拭き上げてツヤツヤです。


ターンテーブルのカバー

 2011年7月17日:

 PRO-JECT製レコード・プレイヤーにはダストカバーなど付属していません。
 たとえ付属していてもアーム取付部分に魔改造してしまったので通常のサイズのダストカバーは付かなくなっていたと思います。
 風呂敷ではあんまりですので、ずっとイラン製の重みのある飾り布を上に乗せて埃除けにはしていましたが、それでも横の隙間からホコリがターンテーブル面に吹き込まないか気にかかっておりました。

 出たばかりの無線と実験誌の8月号にゾノトーン代表の前園俊彦さんのリスニングルーム紹介の記事が載っていました。
 氏はレコード・プレイヤーにトーレンスのPresTage を使用しておいでとのことです。
 その写真を見て、これだ! と思いました。
 厚さ10mm はありそうな透明円盤の中央にドアノブほどの透明な取っ手がついたものがターンテーブル上に乗っています。
 これなら横からの埃の侵入はありませんし、何よりカッコいいことこの上もありません。

 さっそく東急ハンズに行き、厚さ3mm で直径300mm の透明アクリル円盤を買ってきました。


 取っ手は以前パッシブ式チャンネル・ディバイダーを自作した際に、音量調整ボリュームの頭に被せる保護用のアクリルカバーが不要になったカバーがありましたので、それを使うことにしました。
 チャンネル・ディバイダーのボリュームは中高音部のバランスが確定したら後はいじりませんので、ボリューム基部のネジに合わせてタップを立てたものを被せ、不用意に触ることがないよう中央軸を保護するためのものです。
 透明アクリルを使ったのはカバー内部と中央軸が接触しないことを確認しやすくするためでした。

 新規に金田式ディバイダーを自作した際に旧式ディバイダーが不要になったのですが、貧乏性でせっかく加工した透明アクリルのカバーを捨てられずにジャンク箱に取っておいたものが十数年ぶりに再利用の機会が廻ってきました。

 この画像では分かりにくいかもしれませんが、8mm の孔を空けた直径300mm の透明アクリル円盤を中心を合わせて透明アクリル棒の孔の上に重ね、接合部にアクリダイン#1(塩化メチレン)を注射針で流し込み接着しました。
 これは溶剤が飛んで固定化を待っている状態です。


 固定化が終了しターンテーブルに乗せてみました。
 シートよりもややサイズも大きく、シート面の保護も万全です。
 なにより見栄えが随分と良くなりました。


iPod Dock のWadia 170 iTransport の延長ケーブル

 2011年6月24日:

 下の方の「iPad Touch の支持台」でiPod Touch をWadia 170 iTransport に接続する際の延長ケーブルと支持台について触れました。
 支持台に置かずにiPod Touch を170 iTransport から伸びるリモコンのように手に持って使って操作していると、往々にして刺さっているコネクタが抜けかかることがあります。
 当然、そこで音楽は中断されます。
 もっとしっかりケーブルを170 iTransport 本体に接続したいと思っていました。

 Wadia から新機種171 iTransport が発表されました。
 iPod やiPhone だけでなくiPad とも接続するために新アダプター・ケーブルをドック部に装着することでiPhoneやiPadをケーブル接続できるとのことです。
 いかにもガッシリと本体に装着しています。
 これを旧170 iTransport にも装着出来ればケーブル接続の安定性は増しそうですが、公式サイトには何もそんなことは掲載されていません。
 扱い会社のアクシスさんにこの件についてメールを出しましたところ、Wadia に問い合せてもらえて返事が届きました。
 新アダプター・ケーブルを旧170 iTransport に装着することは可能ですが、170 で使用できる機種は変わらず、iPhone やiPad での動作を保証するものではない、とのことです。
 このケーブルはサービス部品として販売可能とのことで、販売店に相談して欲しい、との回答でした。

 さっそくお店で注文して今日入荷したのでさっそく買ってきました。
 裏側にはガッシリとリブが入りコネクタからはしっかりしたケーブルが3本出ていて、背面で1本の太いケーブルになっています。


 170 iTransport に装着すると本体背後でもくわえ込むように固定され、ケーブルを引っ張っても抜けようがありません。
 さすがはWadia の純正品です。
 上面はゴムのような柔らかな感触です。

 iPad Touch はこれまで通りに問題なく使えました。接続の丈夫さの安心感が嬉しいです。
 iPad は持っていないので「動作を保証するものではない」の自己責任でのチャレンジは出来ませんでした。
 これまで酷使してきたDock Extender Cable 2feet は用済みになってしまいました。


 2011年7月5日:

 調子にのって新アダプター・ケーブルを着けたり外したりの実験をするうちに、接触片が傾いたまま押し込んだらしく、端子板が倒れてしまいました。(細長い孔の右側の蔭に隠れた状態に押し込まれてしまっています)
 直るものかどうか、開腹して調べてみます。


 孔を覆う黒いカバーを外し蝶番のように開いてしまった接触片を元の位置まで押し戻し、その接触片を緑色のガラスエポキシ基板に留めていた両側の剥がれたハンダ付けポイントを再ハンダ付けしました。
 本来はこの位置関係でないと170 iTransport 本体のコネクタには接続できません。

 しかし、接触片周辺をかこむ薄い金属板カバーが微妙に歪み、また開いた接触片を戻した位置も元通りではないようで、黒いカバーとも干渉しどうしても170 iTransport のコネクタには挿入できません。
 あまり試行錯誤して接触片周辺の細いケーブルや表面実装素子にダメージを与えるのも本末転倒です。
 もはやiPod Touch をWadia 170 iTransport に直接挿すことはないと開き直って、位置合わせ用の黒いカバーを取り除き170 iTransport 本体のコネクタに端子片を位置を合わせて挿入し、新アダプター上部カバーを直接iTransport 本体トップパネルに瞬間接着剤で固定しました。
 これで金輪際この新アダプター・ケーブルを外すことは出来なくなりました。

 こんな荒っぽい手術をしましたが、iPad Touch をケーブル先端に接続して動作させると、音切れもなく安定して音楽を再生してくれました。
 本来は信号経路に接点が増えることは好ましいことではないのですが、私のところの状況では接続の安定度が増しました。


ライン・ケーブルの構造

 2011年2月14日:

 PC オーディオで使っているデジタル・インターフェースRME Fireface400 からプリアンプまでのアナログ信号用に、それまではコジマ電気の吊るし陳列で売っていたソニー製の標準プラグーRCAプラグを両端に持つシールド・ケーブルを使っていました。画像右側の青いケーブルです。
 左側の赤いのが今回自作したベルデン88760 を使ったアナログ信号ケーブルです。


 大きな違いはFireface400 のアナログ出力に差すフォーンプラグが、ソニー製が標準プラグ、新しい自作のものがTRSフォーンプラグだということです。
 Fireface400 のアナログ出力は本来はバランス出力で、TRSプラグを差してそれを受ける入力もバランス型のTRSプラグやXLRプラグであることです。
 バランス型信号伝送のためのTRSプラグは先端のチップが+、次のリングがー、最後のスリーブがシールドとなっています。
 しかし、Fireface400 の場合は、ここに標準プラグを差すとチップが+、最後のスリーブがーとシールド共用のアンバランス出力として機能します。

 バランス型信号伝送の場合、そのケーブルでは信号の+と−(往路と帰路)は同じ材質の2芯ケーブルで送られ、その周囲をシールド線が覆っています。
 アンバランス型信号伝送の場合、そのケーブルでは信号の+は1本の芯線、信号の−はその芯線を囲むシールド線が機能を兼ねています。
 アンバランス型での往路と帰路での信号の導線の材質や構造が違うのはやはりおかしいのではないかと考えました。
 −ラインにおける信号の帰路とシールドという別々の2つの機能はアンバランス型ではあっても分けるべきと考えます。


 画像の1番目が両端RCA コネクタを持つ一般的に使われる1芯構造のアンバランス型ラインケーブルです。
 2番目も両端RCA コネクタを持つアンバランス型ラインケーブルですが、ケーブルは2芯構造で信号の+と−に同じ材質の導線を使っています。−ラインは片端末で外被シールドにも接続されていますが、その反対の端末部では外被シールドと−ラインは接続されておりません。
 −ラインの信号の帰路とシールドの2つの機能を分けました。
 シールド外被と−ラインとをケーブルの上流側で接続するか、下流側で接続するかは議論のあるところですが、ここでは上流側で接続しました。

 3番目が今回自作したFireface400 用の接続ケーブルです。本質的にはアンバランス型ケーブルです。
 Fireface400 のバランス出力をTRSプラグで受け、2芯シールドケーブルで下流側に信号を送ってそこのRCA コネクタの芯側に+を外側に−を接続し、バランス出力からのシールド外被で下流のRCA コネクタ直近まで覆ってそこで絶縁し外側には接続していません。

 なお上流、下流共にTRSプラグやXLRプラグを使った2芯で往路・帰路を接続し、シールド外被も上流・下流を接続したものが本来のバランス型ケーブルです。

 2芯シールドケーブルにベルデン88760 を選んだのは金田式DCアンプ自作派の虫屋の雑記帖さんの2011年1月22日の日記に紹介されていて、2芯構造でシールドは網線ではなくアルミフォイルで全面的に覆われ、そのアルミの上をドレイン線が張っているという納得の構造と、画像検索して見た真っ赤な外被と細い直径に気を引かれました。
 メーター当たり567円という安さも実験用には嬉しいです。
 元々は非常警報機の配線などに使われる事が目的のケーブルで、派手な真っ赤な色や熱に無茶苦茶強いテフロン製絶縁体の採用も納得しました。火災等があった時に現場で導通しなかったら話にならない故の強靭な構造と考えます。
 おそらくオーディオ的な意味での音質などメーカーは考えてもいなかったのではないでしょうか。

 秋葉原のラジオ会館2階のエスカレーター横の音響機材ショップ・トモカ電気に山ほど巻いて置かれていました。
 コネクター類はオヤイデ電気(ここにもベルデン88760 はあります)店頭で入手したモガミの標準的なものです。
(なお、ラジオ会館は2011年の夏に建て替えのために閉館の予定とのことです)

 ケーブルが仕上がり導通チェックの為にテスターを出したところ・・・仕舞っていた間に電源スイッチが入りっぱなしで006P の電池が無くなっていたので翌日に導通チェックをし、システムのケーブル交換しました。
 低音がどうの、高音がどうのと言う以前に暗騒音がすっと消えたハード・メリットに驚き嬉しくなりました。
 やはりケーブル構造の変化の影響は大きいです。

 今回はFireface400 の出力がバランス型だったのでこのケーブル交換に腰をあげました。
 音質的にもかっちりとしてきましたし、この状態でのんびりと音質の聴き込みをします。


アクティブ・フェーダー

 2010年10月9日:

 これまでも音量調節の機能を果すものとして何度もフェーダーを考えていました。
 マレーシア製のトランス式フェーダーなど筋の通った造りですし価格もそう無茶なものでもなく、かなり本気で個人輸入を考えたほどです。

 自作では2回(パッシブ)フェーダーを作ったことがありました。
 30年ほど前に作った白いケースの奴など側板がカマボコ板です。
 プログラム・ソースをメインアンプまでの経路の途中に出来るだけ何も挟まずにとの原理主義でしたが、送り出しアンプを持たないこれらはやはり音の力がひ弱で、特に音量を絞り込むと音が痩せ、金田式DC プリアンプのフラットアンプを通した音とは聴き劣りがして、いちしか使わなくなってベッドの下でホコリまみれになってしまいました。
 フェーダーはパッシブ型ではその後に繋がる機器のインピーダンスも関わって、単純な構造のくせになかなかの難物と思います。


 9月号の無線と実験誌でアクティブ・フェーダーという存在を初めて知ったので、西新宿での仕事があることをいいことに、その記事で紹介されていたVINTAGE JOIN に立ち寄ってみました。
 アクティブ・フェーダーは完璧な業務用で、各社モジュールを24V の外付け電源で駆動するのですが、フェーダーの銘柄によって音が変わるのはもちろん(その内容はトランス入力ラインアンプですので機種によって音が違うのは当然です)、外付け電源がダイオードかセレン整流かで同じフェーダーの音質がガラリと変わるのには驚きました。
 マランツの管球プリアンプのユーザーの中に、整流器をセレンに変えたがる人達がいることをいささか不思議に思っていたのですが、これは私が不見識でした。

 ジーメンス、ノイマン、テレフンケンと工房で用意されてあったフェーダーを聴き比べ、さらに電源の整流素子もセレンとシリコンとを聴き比べて、テレフンケン製W690 mono を2台分木箱にケーシングしたものにセレン整流による24V 電源の組み立てをお願いしました。
 大型装置に組み込む前に、書斎の中型装置にテスト・ベンチの形で組み込みました。画像右側の縦長木箱入のものです。
 むろん、駆動電源の極性はテスターで他の全ての機器と合わせてあります。

 これまではマランツのSACD/CD プレイヤーのアナログ出力をUTC 製A-20 インターステージ・トランスを通して1978年版の金田式DC プリアンプに入れ、その出力をLux のライン・セレクターで3種のメインアンプ系に切り替えていました。
 今回、A-20 トランスと金田式DC プリアンプの結線を外して、SACD/CD プレイヤーの出力を直接アクティブ・フェーダーに入れ、出力をライン・セレクターに入れました。

 A-20 トランスを外したのは、Telefunken W690 の中にHaufe 製の入力・出力トランスが入っているので、屋上階をなすのを避けるためです。

 古いフェーダーなのにノイズもなく、何より嬉しいのはつまみを絞り込んでも音が痩せないことです。
 音質の方も実に素直でありながら、ドスを効かせた演奏の聴かせどころでは遠慮無くずんと楽器が鳴ります。
 まだ使い始めたばかりで、ピアノと歌曲と管弦楽、ジャズしか聴いていないので、もっと色々な曲をこれから日常的に聴きこんでゆく予定です。
 アクティブ・フェーダーはバッファアンプの付いたボリューム(=プリアンプ)なのですが、入力・出力トランスで前後を守っているので前段、後段の機器の影響を受けにくいと解釈しております。
 なにより、音が、というより個々の楽器が活き活きと浮き上がるのがこれまでの経験の外のことなので、その使用感に慣れることが楽しい段階です。
 いずれは大型システムの方に組み込んで楽しもうと思っております。


 フェーダーと同じドイツの古い企業LEONISCHE DRAHTWERKE 社の1960 年製リッツ線を使った長さ50cm のRCA ケーブルが気になっていましたので、こちらをフェーダーの前後のケーブルと入れ替えてみました。
 画像では一番奥に見えるフェーダーからセレクターへと伸びる青色のケーブルがそれです。
 この青いビニールの保護チューブの中にタコ糸ほどのごく細いリッツ線が通っています。

 リッツ線については40年ほど前に秋葉原のオヤイデ電気から購入したものを、現在では大型システムのゴトーユニットのSG-160 への接続に使っており、撚られた銅線1本1本の表面がエナメルで覆われて錆びる事のないハードメリットと素直な高域に、他の導線も試してみましたが、やはりこちらに戻ってしまっております。
 ただ端末加工の面倒さは根を上げるものでした。

 アクティブ・フェーダーは9月下旬に導入しましたが、リッツ線RCA ケーブルはそれまでのNEGREX 2497 から昨晩に接続を変えたばかりで充分な音量でのラウドスピーカーでの再生をしていないので充分な感想は言えませんが、STAX SR-X イヤスピーカーでのリスニングでは高域の細やかな表現がよりすーっと音が通るようになりました。
 導線としての銅の量はNEGREX 2497 よりずっと少ないものの、大音量にも低域の伸びにも問題は感じません。
 同軸構造ではなくおそらくはツイステッドペア構造と考えますが、現在の使用状況ではハムは聞こえません。(ただし、レコード盤用のカートリッジからのフォノケーブルとしての使用は勧められてはいませんでした)
 イヤスピーカーでの高域の澄んだ表現が特徴なので、大型装置でのゴトーユニットのホーン・ツィーターでもその持ち味が感じられそうですが、今は書斎でのもっと長期間にわたる聴き込みをします。


 現在は大型装置の方に組み込み、マランツ#7 をフォノイコライザー・アンプと入力切替えスイッチのみ活かし、音量ボリューム前のRec Out 端子からのLine 出力をアクティブ・フェーダーに接続して音量調整をし、その出力をマランツ8B (および、MFB ウーファー・システム)に送り込んでいます。
 マランツ#7 からアクティブフェーダーへの接続はドイツLEONISCHE DRAHTWERKE 社の1960 年製リッツ線を使った長さ50cm のRCA ケーブルで接続しています。


非HiFi 系スピーカー

 2010年9月15日:

 ドイツ製アクティブ・フェーダーを求めに訪れたVINTAGE JOIN で、本命のフェーダーの他にそこが扱っている古いドイツ製の「一般用」スピーカーの展示販売品の中で我が目を疑うものがありました、
 この画像の赤い球形スピーカー、イソネッタです。
 下に広げているのは西独Isophon の1972年のカタログブックのイソネッタ紹介のページです。
 このカタログを手に入れたのはBPSL-130 を手に入れた時です。
 バリバリのHiFi 用途のスピーカーとは別の、一般用のラジオやテレビの外付けスピーカーのページで紹介されたこのイソネッタはオーディオ・マニアとしての私の気を引くことはありませんでしたが、それでも可愛らしいこの姿が気になっていました。
 カタログは泡の立った浴用バスに女性と男性が向かい合って浸かり、女性は編み物をし、男性は新聞を読んでいるというシュールでけしからん構図の前面に上からイソネッタが吊り下げられています。

 当時、HiFi 用でもなく国内にはフォスター、クライスラーから似たような一般用スピーカーが出ていたので、このイソネッタがわざわざ高い関税を払って輸入されることがあったとは思えません。

 縁もないし買う気も無いけど気になっていたスピーカーが、いきなり目の前に現れてしまいました。
 実物はつやつやとして、カタログの気になる生活の情景そのままの存在感です。

「これは縁だ!」と、8000円というそう無茶ではない価格に惹かれて手に入れてしまいました。

 むろん低域なんか出る訳ありません。それでもラジオ用途には音質は明瞭でパリッと前に出る音です。
 ケースの底には200-20000Hz と刻印されています。
 もうオーディオなんて意識しないで気軽に音楽を聴くシーンでどんどん使ってゆくつもりです。


iPad Touch の支持台

 2009年12月23日:

 iPod から可及的に純度の高い音声信号を取り出せる機器としてWadia 社のiPod Dock の170 iTransport を以前入手していたのですが問題がありました。
 iPod Touch は下部のデジタル信号取り出し口のある辺が斜めになっていて、ケースに入れない状態で170 iTransport のDock 接続部に挿しても、個体のバラつきかもしれませんが表面の操作面を指でタッチしているとコネクタが瞬断するのか接触が良く外れます。いくら深く挿したつもりでもだめでした。
 他のiPod シリーズに対して図体が大きくて操作による振動の影響もそれだけ受けやすいのかもしれません。
 一旦デジタル信号が途切れると、スピーカーの音は消え、ただiPod Touch を挿し直しただけでは回復せず、DAC をリセットしてiPod Touch の再生も切れた曲の最初からやり直しとなり興が削がれることおびただしいものがあり、自然と170 iTransport を使うことが減っていました。

 CD(さらにSACD)を聴くならSACD プレイヤーのラインアウトにWestern Electric 111C を繋いだアナログ・テイストな再生系があり、これで楽しく聴けています。

 しかし、これとは平行してデジタルの極を尽した(むろん私の出来る範囲で)再生系も追求したくもあり、安くもない170 iTransport が休眠中なのが歯痒く思っていました。

 Dock 接続部の接触がもっと改善されるか、接続部から延長するケーブルがあれば良いのにと思っていましたが、Apple の店に行ってもそんな延長ケーブルはありませんでした。
 ところが先日、アマゾンで調べてみるとDock Extender Cable 2feet と言うものが存在することを知りました。
 さっそく注文し、またこのケーブルを接続したiPod Touch をそこらにベタ置きするのも何なのでサンワ・サプライのデスクトップスタンドも同時に注文しました。
 どう見ても500円くらいの品ですが、定価は2070円と仰天価格なところをアマゾン特価で1018円という安いのかどうか微妙な価格です。

 届いたものをさっそく170 iTransport にセットしてみました。
 iPod を乗せる台の下にMDF の円形の端切れが鋏んで持ち上げてあるのは、デフォルトの状態では高さが低くて延長ケーブル先端のコネクタを付けるとそのコネクタとケーブルがテーブル面と干渉して浮き上がってしまうからです。


 接続したiPod Touch を縦置きでスタンドに乗せましたがパネル面を普通に操作しても、むろん接触が外れることはありません。
 170 iTransport からのデジタル音声出力は後方の棚のSACD プレイヤーの上に設置したDAC にベルデンの映像用75Ωケーブルで接続してプリアンプへと繋いでいます。
 このスタンドを使ったことで良いところはiPod Touch をいちいち革ケースから取り出さなくともよいことです。


 iPod Touch は横置きもできるので、その置き方なら乗せ台の下に端切れなど鋏む必要はありません。
 さすがに、この端切れは間に合わせで見て楽しい外観ではないので、デュポンコーリアンの端材をカットして見栄えの良い直方体をはさむ予定です。
 それとも背面板を熱で凸状に反らせるかを考慮中です。

 入手してから数ヶ月でようやく170 iTransport をまともに利用できるようになりました。


 スピーカーバッフルに穴を開けた時に切り落としたデュポンコーリアンの端材があったので、カットしてエッジを研磨し下板に接着したところ、そこそこの見栄えになりました。
 これで良しということにします。


レコードクリーニングマシン

 2009年6月28日:

 この数年、中古レコード屋さんに通うようになりました。
 かっての名盤が安いものなら数百円から手に入ります。とは言え、中にはジャケットから出した途端にタバコのヤニの匂いのするものやら、指紋だらけやホコリだらけ、中にはカビが点々と生えているものもあります。
 逆に表面にハデな擦り傷が付いていながら、それは表面だけで音溝の中まで達しておらず、見栄えのせいで極めて安くなっている盤もありました。
 こういう中古LPが集まってくるにつれ表面を洗浄しなければならないのですが、レイカのバランスウォッシャーでの手作業ではやはりしんどくなってきました。
 更に、1年くらい前から痛んでいた左手親指の腱鞘炎がひどくなって、右手親指の半分も曲げられなくなり、レコードを拭くのに力を入れにくくなってきました。

 この機にと、以前から気になっていたレコードクリーナーを思い切って導入しました。
 先日のオーディオ・イベントで見掛けたものにはドイツ製の55万円、30万円という凄いものもありましたが、ここはアメリカ製の豪快な造りのVPI HW-16.5 を選びました。
 もう25 年間も作り続けられているもので、日本ではTEAC が輸入代理をしています。
 買いに行ったところ、いい塩梅にビッグカメラで定価より値下げされてました。

 厚手の素材を使って造りはしっかりしていますが・・・筐体の表面に貼った化粧紙の合わせがズレていたり、板同士の接合部からノリがはみ出しているところまで豪快です。
 もうちょっと価格相当の仕上げも期待したいところです。
 操作スイッチの頑丈さは古き良き時代の米国製家庭用電気掃除機のそれ並みです。

 動作音の方も掃除機並みですが、洗浄液で濡れた盤面がみるみる吸い取られてツヤツヤになってゆくのは心強いものがあります。
 音質は、この画像の500円程で中古レコード屋さんで買った今田勝さんのピアノが入ったレコードで、冒頭からホコリのパチパチ音が入っていたものが、キズ部分はともかくノイズがすっと静かになったのはありがたいところです。

 ただ、この体積では置き場所に困るので、パイプラック用のキャスターを入手したら製品シリーズのサイズを間違えていて捨てられずに取っておいたものと、余っていた合板(30年前に作ったオーディオ棚をバラした時の板を取っておいたもの)があったので、これで移動できる台座を作ってその上に設置する予定です。
 もう1枚合板があれば、2枚重ねて間に包装用プチプチクッションを挟んで動作時の振動軽減を図りたいところです。


 余っていた合板のクリーニングマシンと干渉しない位置に10mm の穴を開け、キャスターのM10 ボルトをナット締めして取り付けました。
 板の4隅は足の小指をぶつけても痛くないよう、斜めに落としてヤスリを掛けて滑らかにしてあります。

 部屋を探してみますと、これも30年近く前に買った組立LP棚の増設用の棚板が1枚、衣装箪笥の横の隙間から埃まみれで見付かりました。
 そのままエンクロジャー用にも使えそうな厚くて重いMDF材です。表面は付板が貼られていて見栄えは悪くありません。
 この棚板を雑巾で拭きあげてから、裏面に包装用プチプチクッションを両面接着テープで4層に貼り重ね、さらに以前真空管を買った時に包装してあった独立気泡のクッション・シートを敷いてからキャスターを付けた板の上に重ねると、2cm 程の高さで浮きます。
 この上にVPI HW-16.5 を乗せると、傾きもせず安定して設置されました。
 キャスターにはストッパーが付いていますので、使わない時はこの台ごと部屋の隅に寄せて動かないように格納できます。


 問題は付属のブラシです。
 手前の黒い柄のものがVPI HW-16.5 付属のブラシです。

 レコードをコルクシートを貼ったターンテーブル上にネジ付きストッパーで固定してから前面の電源スイッチを入れると、ターンテーブルがLP再生時ぐらいのスピードで回転を始めます。
 その盤面に専用洗浄液を垂らして、ブラシを使って満遍なく伸ばして盤面を濡らします。
 その後、右手側にある吸引用バーを中心に向けて回し吸引ポンプのスイッチを入れると、下にベルベットが付いた吸引用バーの内部の気圧が(どえらい稼動音と共に)下がり、盤面に吸着します。
 そのままターンテーブルが回転して、盤面の濡れた洗浄液を洗い出された汚れごと吸引用バーの中に吸い取り、2回転ほどで盤面から水気を取り除きます。

 ブラシを使ってレコード面に洗浄液を伸ばす時に音溝の中までブラシが届けば、文字通りクリーニング・ブラシとして溝の中のホコリを掻き出してくれそうです。
 ところがデジタル・ノギスでこのブラシ1本の毛の太さを測定すると0.15mm (150ミクロン)で、かつその先端部をルーペで拡大して見てみますと断ち切ったままです。つまり先端部は直径150ミクロンの円筒形のままです。
 中には毛先を切ったカッターの刃の研ぎが足りなかったのか、切り口にバリが残っているものがあります。
 あまつさえ、ブラシの毛の束の先端の高さは不ぞろいです。
 これでは洗浄液を盤面に伸ばす作業は出来ても、幅25から150ミクロンのLP盤の音溝の中をブラシの先端が入り込んできれいにしてくれるとは考えにくいです。

 ここで、アメリカ人的おおらかさに、英国人の几帳面さを助太刀させてやります。
 画像の奥のものは、これまた30年以上前に買った英国セシルワッツ社のレコードクリーナー・パラスタット MODEL MK 11A の中心部のナイロンブラシです。
 パラスタット本体は3層構造で、このナイロンブラシの前後をベルベットの帯でサンドイッチし、それを金属のケースで挟み込んでいます。
 その金属ケースに入った状態では重いし、不器用な私は盤面にこの金属の縁でこすりそうで、出番を控えるようにしていました。
 ところが、この中心のナイロンブラシは柄の部分は軟らかい木製です。
 そして、その毛先は一本一本が全て研磨されて滑らかな円錐形になっています。
 「アナログレコード再生のページ」さんのクリーニング用品のページにパラスタットの先端部の顕微鏡写真が掲載されています。
 この毛先なら音溝の中の汚れも掻き出してくれそうです。
 なお、上記ページによるとライオンの歯ブラシ・デンターシステマの毛先はミクロン以下まで尖っていて腰も強く、LP盤の音溝内のホコリも掻き出してくれるとのことでした。

 最初に盤面に洗浄液を伸ばし広げ、大きなホコリなどをガリガリこするのは米国VPI HW-16.5 付属ブラシでおこない、均一に濡れが広がったところで、英国パラスタットのブラシで丹念に音溝の中まで磨くように押し当てることにしまいた。
 実施してみると、米国ブラシと英国ブラシとでは盤面からの手に伝わる反動が全然違います。
 英国ブラシの方が盤面に密着しているという実感でした。


 VPI HW-16.5 のアメリカ人的おおらかさで、もう一つ気になったポイントがあります。
 マシン上面のアクリルカバーです。
 4.5mm もの厚みのあるアクリル板であることは良いのですが、その周囲と筐体の間に2mm から3mm 幅ほど隙間がであります。おまけに前方には18mm の直径の指掛け用の穴まで開いています。
(アクリル板周囲ののエッジや指掛け穴のエッジが滑らかに磨いてはいないことには目をつむります)

 これでは私の部屋のように窓の隙間からホコリが舞い込むところでは、このホコリ取り器の筐体内にホコリが侵入したり、ターンテーブル上に積もります。
 ホコリは通さず、空気や湿気は通すカバーが必要です。
 やはり厚手の風呂敷でしょうか。

 それにしても、このクリーニングマシンの設置用のアタッチメント各種は、みな手持ちの材料だけで実現できて、余計な出費はありませんでした。物持ちの良さを器物霊が気に入ってくれたのでしょうか。


 2009年7月30日:

 通常使わない時には厚みのある風呂敷を二つに折って上面に掛けておくだけで、埃の害からは無事に逃れることが出来るようになりました。
 もう1点、おまけの器具を揃えました。
 3分砂時計です。

 家では食後は私が皿や茶碗洗いをしていますが、その時に食器が乾いている状態ですぐ水と洗剤をつけてゴシゴシとタワシでこすってもこびりついた脂分や固まった米粒は落ちにくいです。
 それを暫く水や薄めた洗剤液に浸けておいてふやかしてから洗うと、たいした労力もなくきれいに汚れが落ちます。

 レコードクリーニングといっても、原理は皿洗いと変わらないと考えます。
 洗浄液を塗り広げてからすぐブラシを当ててその後に慌ただしく洗浄液を真空吸引するより、しばらく洗浄液で盤面を濡らした状態にしたままで汚れ成分をふやかしてからブラシで磨いて汚れを遊離させ、おもむろに真空吸引させようと考えました。

 これまで目分量で何分か待ってからブラシ磨きをしていましたが、ある程度の基準の時間の目安をつけようと思いました。
 機械仕掛けや電子仕掛けのタイマーは大げさですし動力が要るので、原始的な原理の砂時計を誂えました。
 単純な構造で頑丈な造りのVPI HW-16.5 にはお似合いです。


 3分はインスタントラーメンが煮えていい塩梅にふやける時間です。5分の砂時計もありますが、大きいですし、待ち時間が5分は長すぎると思います。

 気を付けたことは、使わない時にクリーニングマシンの片隅に置けて、アクリル蓋を閉じる時に干渉しない高さのサイズのものを選ぶことでした。
 よくある上下が円形の板の砂時計は蓋と干渉しますし、転がります。
 これは東急ハンズのキッチン用品のフロアでカフェ用として売られていたものです。


レコードクリーニングプレート

 2009年4月21日:

 4月9日に、翌日からの仕事の為に鹿児島入りしました。
 せっかくですので桜島を見物し、島の西岸からフェリーで鹿児島市内に入り、ホテルに投宿したのが3時過ぎでした。

 急に目の前のガラス窓から見える町の遠景が曇ってきました。(画像の左側)
 もしかして桜島の噴火? と思っていましたらその5分後には同じ位置から撮った町の情景はこの有様です。(画像の右側)

 ネットのニュースを見たら、7年ぶりという大噴火だったようです。
 あと1時間ほど桜島にいたら、火山灰どころか火山弾に当たっていたかもしれません。
 それにしても凄い降灰で、屋外の手すりの表面などは320番のサンドペーパーの手触りのマット仕上げに変わっていました。
 室内まで竜角散のような灰の微粉末が這い込んでいます。灰というより煙に近いです。おまけにこの火山灰は顕微鏡で見ると尖って星形をしているそうです。現地の人の話ではコンタクトレンズの人にとっては地獄だそうです。私は眼鏡ですが、それでも目がシパシパしました。


 火山灰はマグマが地表近くで急冷して出来た火山ガラスを主成分として硬度が高いです。火山ガラスが塊になったものが黒耀石で、石器として矢尻やナイフにも使われました。
 桜島を臨む錦江湾に面した上野原には9千500年前の縄文時代の遺跡がありますが、そこの住民は桜島産の黒耀石を利用して文化を営んでいたのかもしれません。

 オーディオ的には桜島を囲む地域ではLPやSPレコードの時にはさぞや演奏前のホコリ取りは大変だったろうと思い、出張から帰宅しましたら長年愛用してきた鹿児島生れのレコードクリーニングプレートのパンフレットを探しました。
 古カタログを入れておいたフォルダーの中から当時のパンフレットを見つけました。

 画像の一番下が鹿児島県垂水市浜平の川島絹織物(株)が作ったレコードクリーニングプレートを開いたところです。表面は中国産の鹿皮を貼り込んであります。
 普段は中段左のLPジャケット・サイズの固いカートンボックスの中に畳んでしまってあり、レコード棚に入れています。
 中段右が今回探し出したパンフレットの「栞」です。

 この栞の日付は1981年7月1日で、紹介文によると川島社長さんはこの時60歳で、70年続いてきた紬の家業を継ぎ青年時代から趣味も持たずに働き続けてきて、この製品を作る数年前から仕事を終えた夜にレコードを楽しみ始めたとのことでした。
 ところが、その初めての趣味のレコード観賞が、桜島の降灰の為に台無しにされたことに発奮して、このレコード拭きプレートを本業とは別に開発したとのことです。

 桜島の噴煙は部屋を完全に閉め切っていても、ガラスケースに収めてあるレコードの袋の中にも忍び込み、その灰はクリーナーで拭いても拭いても静電気で余計に吸い寄せられるとのことです。
 知識として私も知ってはいましたが、今回遭遇した噴火で初めてその物凄さを実感しました。
 火山灰は砂のようなものと思っていましたが、むしろガスに近いです。大気中に龍角散が撒き散らされたようなもので、出張前に磨いた革靴は粉を吹き、髪はごわごわになって、元々花粉症で傷んでいた鼻はくしゃみの発作に襲われました。

 パンフレットに「桜島が憎い」と見出しが載っていましたが、唯一のくつろぎの糧を妨害された川島社長さんの本音であったことが、図らずも今回の出張で肌で実感しました。
 レコードクリーニングプレートは当時、大枚はたいて購入し、今日までずっと愛用しています。
 静電気を良く抑えてくれるのも有難いものですが・・・さて、と気になって当時から28年経った今インターネットで川島絹織物とかレコードクリーニングプレートとかを検索してみたのですが、どうもはかばかしい結果は得られませんでした。
 川島社長さんは現在は88歳の米寿でご健在ならばと、社長さんのフルネームで検索してみましたら・・・同じ住所で株式会社 川島として、垂水市に湧く温泉を無殺菌で使った「涌命温泉」を製造して、お元気に活躍中でした。

 絹織物やレコードクリーニングプレートについては、いろいろと大人の事情があったのかもしれません。

KEF #104aB

 2009年3月3日:

 LP盤再生カートリッジの工夫で入手のいきさつを触れた、故新井様のご遺族から譲り受けたKEF 製#104aB はスピーカーの技術史上でも、登場の仕方でも興味深いモデルです。
 KEF 社はイングラント南東の端のケント州メイドストーンにある技術志向のスピーカー・メーカーでユニットから自社開発をしています。
 メイドストーンには英国の地方都市につきものの古城Leeds Castle もあり、行ってみたい町です。
(その故郷の名を冠した"Maidstone R109" というモデルもかってフラグシップ・モデルとして存在しました)

 KEF 社は#104aB を発表する前に#104 というモデルを発表していました。(1977年)
 ドームツィーターのT27、20cm 口径のウーファーB200 による2Way システムで、それに平面振動板楕円ウーファーB139の振動板のみを使った(ボイスコイルも磁気回路も無い)ドローンコーンBD139 を縦長のブックシェルフ・エンクロジャーに収納したものです。
 外見的には3Way に見えますが実態は2Way システムです。
 このT27ドームツィーターは、KEF 社の記念碑的名作として知られるBBC モニタースピーカーLS3/5 にも採用されています。
 ドームツィーターもウーファーも#104aB 登場当時、秋葉原のテレビ音響で単体売りされていて、ずいぶんと高額だった記憶があります。
 これらスピーカー・ユニットもエンクロジャーも#104 と#104aB とは全く同じものです。
 違うのは低音と高音との音声信号を分けるネットワークユニットでした。


 KEF 社は#104aB の発表にあたって、旧来の#104 ユーザーの為に新しいネットワークユニットをバージョンアップ・キットとして発売しました。
 #104 ユーザーは旧来のネットワークユニットをエンクロジャーからネジを外して引き出し、スピーカー・ユニットへと繋がるワイヤーを切断し、新しいネットワークユニットにそのワイヤーをハンダ付けして再びエンクロジャーにネジ止めして収納します。
 この改善により低域と高域との繋がりはより滑らかになり、耐入力も50W から100W へと向上します。

 #104aB 登場以前は欧米製スピーカーで魅力的な音質のものは物理特性が悪く、物理特性を追求したスピーカーは音質に魅力が欠けると言われていました。
 #104aB で初めて物理特性の良さと魅力的な音質とが両立したと言われています。
 その物理特性の追求の為に使われた技法がインパルスレスポンス解析法で、そのツールとしてマイコンが不可欠でした。
 さらにこれら二者の間にはマイコンの発達が大きく影響し、#104 の開発では4bit マイコンが使われましたが、#104aB の開発ではヒューレット・パッカード社のHP5451 が使われ、より高度な解析がなされたとのことです。
 元資料が見付からないので断言は出来ないのですが、このことを紹介したのは故瀬川冬樹さんだったと記憶しております。


 実は新井様の#104aB はこのやり方で#104 からバージョンアップされたものでした。
 上の写真のバージョンアップ・キット"MODEL 104 MODIFICATION KIT"のパッケージがまだ残っていて、その中に旧#104 から取り外されたステレオ分の2セットのネットワークユニットと取付マニュアルとが入っていました。
 このマニュアルはネットワークユニットの取り外し・取付け方法(写真付き)の他、対数グラフに表示した旧ネットワークと新ネットワークの遮断特性の改善点や、新回路の理論やメリットなどの載った貴重な資料です。


 現在の#104aB の前面ネットワークユニットのネジを外して引き出してみました。
 これが新井様によって取付けられたバージョンアップ・キットです。
 接続部はきれいに濡れて広がったハンダ面になっていて、新井様の手仕事が偲ばれます。

 このバージョンアップ・キット"MODEL 104 MODIFICATION KIT"は単品としてはDN-22 と言いますが、上の写真の#104 のものより素子数が増えていて、回路的にも複雑化していることが分かります。
 2Way システムにしてはかなり複雑なネットワーク構成になっております。マニュアルではアコースティック・バターワース回路と呼んでいます。
  Angus McKenzie が'HiFi Choice Loudspeakers' 上で1976年に解析したDN-22 の回路図を読むと、思い掛けないことが分かります。
 表面に3点切替式の調節ツマミが付いていて、てっきり分割されたツィーターT27 の音量レベル調整するアッテネーターだと思っていましたが、全く違いウーファーB200 のクロスオーバー周波数を切り替えるものでした。ツィーターの方にはこの調節ツマミは関係がありません。
 つまり中音域でのウーファーとツィーターの重なり具合を調整して、中域をブーストする具合を調整する為のものでした。
 こんな発想のネットワークは始めてです。


 元通りに新ネットワークをエンクロジャーに収めました。
 旧ネットワークとの外見上の違いはツィーター保護ヒューズのホルダーが付いたことです。

 なお商売と言う面から言っても、いったん完成品のスピーカー・システムとして一般ユーザーに対して販売した#104 に、それを改善する為としてエンクロジャーを開腹し、ワイヤーを切断させハンダ付けすることまでをまかせるバージョンアップ・キットを販売するとは、ユーザーである消費者をKEF 社が信頼しているのではないかと思います。
 現在のオーディオ・シーンにおいて、ユーザーにコンポーネントを開腹させたり、ハンダ付けや基板の交換やハーネスの差し替えを伴うバージョンアップ・キットを販売する勇気のあるメーカーはあるのでしょうか?
(自作系パソコンの場合はありますが)


オーディオ健康下駄

 自作系オーディオ評論家の故長岡鉄男さんは自宅で音楽と対峙する時には木の切り株製の硬い座席に腰を下ろして、聴き手の側の位置のセッティングも明確化したとのことです。
 それならオーディオ・マニアたるもの室内での履物もスリッパなんぞの軟弱なものは廃し、床と剛接触する下駄を履いてサウンドを聴くべき・・・と思ったのか、ビクター・ラボが開発した「オーディオ健康下駄」です。
 材質は総ブナ材、鼻緒はデニム地です。足の裏のツボを刺激するブナ材成形のR突起がついています。歩くとガロン、ガロンと硬質な音が響きます。
 ビクターの歴史的名作スピーカーSX-3 のソフトドーム・ツィーターのフレームがブナ材で、音質のナチュラルさに一役買ったからこの材質を選択したということでした。
 冗談なのか本気なのかよく分かりませんでした。つい買ってしまった私も私ですが。
 この頃のビクター・ラボは純カーボン製LPターンテーブル・シートなどのトンデモ・グッヅを開発していたものでした。


Mac でHiFi再生

 2009年2月11日:

 いつから付いていたのか気が付かなかったのですがMac のイヤホンジャックが光デジタル出力兼用型になっていました。
(さらに、オーディオライン入力用ステレオ・ミニジャックの方は光入力兼用型とのこと)
 通常はここにステレオ・ミニプラグのついたヘッドフォンを挿してサウンドを再生します。
 Mac 内蔵のD/A コンバーターとその後のアナログ音声回路による「そこそこ」の音質です。通常のパソコンとしての使用では何の支障もない音質のレベルです。
 音楽専用に設計されたiPod よりはノイズがあります。本格オーディオに接続する気にはもとよりなれません。


 Mac のイヤホンジャックが光出力兼用と知ったので、さっそくミニジャック型の光デジタル・ケーブルを挿してみますと、確かに先端部が発光しています。
 さすがに自分の不明を恥じました。


 光デジタル入力端子を持つDVD 再生用AV アンプで予備実験をしてから、単体D/A コンバーターに接続してみました。
 インフラノイズ製D/A コンバーターDAC-1 ですが、これには光デジタル入力端子がありません。途中にオーディオテクニカの光・同軸双方向変換器AT-DSL11 を通して75Ω同軸ケーブルで接続しました。
 DAC-1 からのアナログ音声出力をSTAX SR-001 イヤスピーカーで再生しました。


 iTunes に溜め込んだCD からのリッピングした音楽を次々再生してみましたが、いわゆる「PC サウンド」とはかけ離れた、本格オーディオの再生音です。
 これなら大型装置に組込んでもおかしくはありません。

 Mac のハードディスク内に保存されていたPCM リニアデーターが、Mac 内蔵のお手頃D/A コンバーターとアナログ回路を通過せずに、外付式の本格D/A コンバーターで直接復調されたのですから当然と言えば当然です。
 この時点でこのMac Book Pro は本格式CD トランスポーターと同じものとして考えて良いと思います。


 注意すべきことは、CD 盤からiTunes にリッピングする際には、環境設定で読み込み時のエラー訂正を使用する項目にチェックを入れておくことです。
 これにより、オーディオCD に記録されたデジタル音声データーは欠損無くパソコン内のハードディスクに記録されます。
 また音声フォーマットはWAV ファイルとして読み込みました。私はMP3 はもちろんロスレス圧縮も使いません。Mac Book Pro に接続したiPod にも音楽はWAV ファイルで収録しています。

 なお、intel CPU チップを採用したこのMac Book Pro はBoot Camp でWINDOWS XP でも起ち上げるようにしてあります。
 WINDOWS XP 上でMicrosoft Media Player による音楽再生をしたところ、やはりイヤホンジャックから光デジタルで音楽信号を取り出すことが出来ました。
 WINDOWS 専用パソコンではどれだけの機種が光デジタル入出力を備えているのかは知りませんが、なぜApple 社が単にヘッドフォンのアイコンをのみをこのイヤホンジャックにプリントし、また光デジタル入出力を標準で備えていることを広く宣伝しないのかが分かりません。
 惜しいと思います。

 こうなるとiPod (特に可動部のないシリコン・メモリーにデータを格納するnano やtouch と言った機種)のイヤホンジャックからも光デジタル出力が取り出せれば、手軽で高品位なデジタル・トランスポーターとして使えるはずですが、残念なことにApple 社はそこまでの需要はないと考えているのか、装備されてはいませんでした。
 iPod からデジタル音楽信号を取り出すにはWadia 製170 iTransport のような別誂えの変換ドックが必要になります。
 Apple 社がその気になれば周辺回路と高速LED ペレット1つをイヤホンジャックの奥に仕込めば良いだけと思いますが、残念です。

 Mac Book Pro でメインの再生システムに繋いで何回か音楽再生をしましたが、確かに音質は良いものの、その状況がいかにも「間に合わせ」というか「試運転中、調整中」という感じが強くなり、音響機器を操作している感じではありません。
 これでシベリウスやブラームスを楽しもうという気分が出にくいです。
 USB メモリ組み込み機器でも光出力付きiPod でも構いませんから、もう少しオーディオ機器らしい操作性と外観のコンポーネントが欲しいところです。

 2009年2月18日追記:

 CD プレイヤーについても要望があります。
 音楽CD に収録されたデジタル信号の容量は640KByte 程の筈ですから、CD プレイヤーに1GByte 程のシリコンメモリを内蔵させ、音楽CD をトレイに置いてロードしてから数秒で収録されたデジタル信号を1ビットの欠損も無くシリコンメモリに吸い上げ、このリッピング終了後にCD を排出し可動部を停止させ、後はシリコンメモリ内に記録されたデジタル信号をクロックに合わせて送り出すようにすれば、ずいぶんとCD 再生についての問題は簡単化されそうです。
 何もリアルタイムでCD 盤から読み出しながらプレイヤーから音楽信号(アナログでもデジタルでも)を送り出す必要はないと考えます。このやり方なら音楽再生中はメカニカル・ノイズも出ませんし。

 ここでプレイヤーに内蔵するメモリを大容量のハードディスクにして何十枚もの音楽CD のデジタル信号を記録させてジュークボックスにしてしまうという発想(LINNのDSシリーズなど)もありますが、そこまで技術的な可能性を追求しなくても構わないと思います。ハードディスクにもメカニズムの回転やヘッドの移動やそれらの動作による振動の問題があります。複数のアルバムの情報を管理したりそれをユーザーに対して表示させる問題も出てきます。
 アルバムごとにCD 盤を入れ替えることにすれば、アルバムの情報の管理や表示の必要などありません。
 こういうプレイヤーなら現行機種に対して、そう無茶な価格にもならずに済みそうです。

 また聴く側としてもついジュークボックスにコピーした盤の分ばかりを再生し、コピーしていない盤の再生が億劫になりがちな習慣がついてしまいそうです。


同人サークル「瀬」
檸檬児
目次へ戻る
'2011-4-15