[↓2007年]
2008年に観た映画の一覧です
今年の目標: まだないよ。
- 星の見方(以前観たものには付いてません)
- ★★…生きててよかった。
- ★…なかなかやるじゃん。
- 無印…ま、こんなもんでしょう。
- ▽…お金を返してください。
- 凡例
- #通し番号「邦題」監督/製作年/製作国/鑑賞日/会場[星]
- #45「幸福 Shiawase」小林政広/2006/『…』製作委員会/Sep. 27/シネマート六本木 (Screen 3)
- 小林政広を観るのは3作目。作風がぶれないことがわかってきた。繰り返しと口数少ない素人セリフ回しは、なかなか僕好みである。舞台はやはり北海道。いわくありげな女と男が、この極北の地で出会う。あれ?舞台をヘルシンキに置き換えれば、これはカウリスマキ? そんな印象だね。午前の『ハピネス』に引き続いて、本作でも積極的なのは女。浮浪者同然の男をアパートに連れ帰り、襲う。このシーンにはちょいとひいた。まず風呂に入れろよ。その男・石橋凌がコンビニで買って食べる食パン。うー、まずそう。せめて、ヤマザキのランチパックにしてほしい。鄙びたスナックで香川照之の歌う『心凍らせて』が、いつまでも脳裏に響く。パンダゴロが早速iTunes Storeで買ってた。
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- #44「ハピネス」ホ・ジノ/2007/韓国/Sep. 27/シネマート六本木 (Screen 1)
- ホ・ジノ、待望の新作。自分がそのうち死ぬことを予感している肺が40%しか残っていない女と、病気になったことにとりあえず絶望している肝硬変男の、人里離れた療養施設で始まる恋愛。肝硬変が治癒した途端、昔の生活と女が恋しくなり、肺が40%の女は置き去りに。人間の認知・感情が環境に左右される法則の典型だ。ホ・ジノはこの残酷さを丁寧に描く。田舎とソウルの二項対立は余りに安易だが…。肺が40%の女、イム・スジョンの足の細さに感動。走り出すと、ほんとに倒れてしまいそうなくらい。『サイボーグでも大丈夫』のときは眉毛がないのが気になって、足には気が回らなかったよ。足といえば、療養施設で収容者がやる運動で、足を高速に動かすものがあった。愉しそうなのでやってみた。むずかしい。要練習。
- #43「鳳鳴(フォンミン)─中国の記憶」王兵/2007/中国/Sep. 20/ポレポレ東中野
- 王兵といえば『鉄西区』。観たいことは観たいが、体力が持ちそうにないのでいまのとこ敬遠中。で、これならたったの3時間。行ってみた。74歳のおばあちゃん・和鳳鳴が、延々と自宅のソファでキャメラに向って自分の半生を語る。中心は反右派闘争と文化大革命。冤罪で右派のレッテルを貼られ、ひどい仕打ちをだんなと受けた話。なかなかの迫力だ。著作があるので、頭で反芻している間に流暢になったのだろう。これを観て“中共って恐い”と思ってもらっては困る。(そんな人はわざわざ劇場に来ないか。)群衆による迫害、悪いことには一人ひとりそれが悪いと感じながらも自分個人の罪は否定しがちな話は、中国だけの、過去のものではなく、日本でも、現在でもある。オウム事件しかり、イラク邦人人質事件しかり。
- #42「遠い道のり」林靖傑/2007/台湾/Sep. 13/シネマート六本木 (Screen 4)
- 去年の東京国際映画祭で観そびれた、桂綸鎂主演の、なんだか『練習曲』を思い出させる台湾島ロードムーヴィー。ただし、こちらは台北を起点に島を時計回りに移動し、高雄を起点とした反時計回りの『練習曲』とは正反対。移動手段もバイクだ。音がフォーカスされることと、台湾人は東海岸に癒しを感じるものらしいことがわかるのが共通点かな。観終わった印象は随分と寂しい。絶望した桂綸鎂は録音技師の青年と巡り合えるのか、ラストシーンを観ても確信できない。それにしても、“欣欣”とでっかく書かれたバイクは壊れたのか、途中で徒歩旅行になってしまう。なぜ直さないのか理解に苦しむよ。まあ、預金が1,000元切るようじゃ修理できないかもしれないが。
- #41「ビバ!監督人生!!」鈕承澤/2007/台湾/Sep. 13/シネマート六本木 (Screen 4)
- 風櫃のおじさん・鈕承澤(パッと読めない名前だ)は、現在は人気TVドラマの監督として有名。彼が彼自身を演じる、いわゆる楽屋ネタもの。本作品を撮るに至る過程を綴る再帰的構造をもっているのが面白いといえば面白いが、鼻につくといえばそうとも感じられる。こんな監督(主人公)のスタッフは絶対にやりたくない。強制されるなら鼎泰豊でもどこでもどんどん経費で行くぞ。奥さん(誰だこれ?どっかで見たようなかわいこちゃんである)の堪忍袋も緒が相当太い。こういう弱い人間いるでしょ、暖かく見てやってよ、という主旨かもしれないが、戸塚ヨットスクールに送り込みたいくらいだ。なんてことを観客に思わせるようなら、監督の狙いは成功しているのかもね。びっくりマークを3つも使う邦題はやめていただきたい。
- #40「パンダフルライフ」毛利匡/2008/『…』フィルムパートナーズ/Sep. 6/新宿ピカデリー(Screen 9)
- パンダはゴロゴロ、食べてはゴロゴロ。パンダゴロに引きずられ、無印良品の入った新ピカデリービルにパンダ映画を観に行った。動物ものは必ずヒットするというが、本作も満席。そもそも観ようと思った回の50分前に行ったらもう席がなく次回にまわされたのだ。恐るべし、パンダの癒し光線。アドベンチャーワールドで生まれた双子の隆浜と秋浜が契約にもとづき成都にもらわれていく話を中心に、20頭近いパンダが画面いっぱいにゴロゴロする。なんでゴロゴロするのかね? で、なんでゴロゴロするだけでそんなに笑えるのかね?⇒隣の姉ちゃん(≠パンダゴロ)。音楽が鈴木さえ子ってのに反応した観客が何人いたか知らないけれど、これだけは大きな収穫だったよ。
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- #39「夏目漱石の三四郎」中川信夫/1955/東宝/Sep. 6/神保町シアター
- 可哀想だた、惚れたってことよ。ストレイシープ、ストレイシープ…。与治郎や美禰子の名セリフも鮮やかに、漱石ワールドが映像化されている。音楽が『晩春』っぽく、かつ広田先生を演じるのが笠智衆なので、なんとなく漱石と小津との距離が近く感じられたのが新鮮。八千草薫が美禰子というのは意外だけど確かに気品があった。三四郎に“よっぽど度胸がない”と言う女優は誰だったかなあ、思い出せない。ロケで再現している明治時代の東京がいい。具体的にはどこで撮影したのか、調べると面白そうだ。三四郎池は三四郎池? まさかね。神保町シアターに入ったのは初めて。こんなプログラムで客の年齢層も高いのに、バリアフリーのバの字もないのが解せないが、上映前にしつこく携帯電話のマナー等を注意するのは○。
- #38「午後3時の初恋」鄭芬芬/2007/台湾/Aug. 31/シネマート六本木 (Screen 4)
- 張孝全が二重人格のへんてこりんな映画。テクニックとしては好みからは遠い作品だったけど、郭碧婷を見ていると誰かに似ている。うーん。あ、メガネかけると某喫茶店のめ○みちゃんに似ているではないか。そう思っていると中澤有美子にも見えてきた。もちろんもっと若いが…。そんなわけで飽きずに最後まで観た。もう一点飽きなかった原因は舞台。平渓線である。菁桐である。そんなとこに時計屋があっても儲かるわけないぞ。線路端を歩いている。あの感覚は、稲村ヶ崎で江ノ電脇を歩くのとはちょいと違う重厚なものだ。滝が出てきたので、てっきり十分瀑布(訪問経験なし)かと思ったが、どうやら違うようだ。観光地だもんね。あんなにしょぼいわけないか。
- #37「言えない秘密」周杰倫/2007/台湾/Aug. 31/新宿武蔵野館1
- ネタばれバリバリで行きたいところだけれど、ここは抑えて。観る前は、しょうもないゴーストものだろう、くらいに思っていたけども、終わってみればなかなかこれは面白かった。もちろんこのタイプの話は最初から破綻が見えているので細かいことは言うまい。舞台は、流れて淡水。淡江中学をロケ地として高校生の周杰倫と桂綸鎂(どちらもコーコーセーというには無理があるよな)の運命的な恋愛が展開する。ピアノバトルが始まったときは“これは『嵐を呼ぶ男』か?”などとやや期待してしまったけれど、黄秋生と周杰倫が親子のとこからして『頭文字D』の方が近いかもしれない。本作品最大の発見は、桂綸鎂がだんだん綺麗になっていることだ。ふむぅ、なるほど。
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- #36「ウエスト・ゲートNo. 6」林育賢/2007/台湾/Aug. 24/シネマート六本木 (Screen 4)
- 西門町だから“ウェスト・ゲート”…。ばっかじゃないの?『ジャンプ!ボーイズ』の監督の劇映画。何が面白いのかよく理解できない作品だったけど、いわゆるアイドル映画で客が呼べそうだから持ってきたのかな? まあ、フィオン役の北京語を流暢に話す韓国人女優ユ・ハナ(劉荷娜)がなかなかよかったから許そう。西門町は結構歩いて知っているけども、いつも人通りが絶えない。ロケは大変だったろうね。終映後、主演の彭于晏のトーク・ショウがあった。そんなこと聞いてないぞ。だから満席なのか。朝来たのにもう“残り席わずか”になっていた謎が解けた。そんなわけで後方座席になってしまったのだが、後ろからだと呉大維にしか見えなかったよ。(たくさんいたファンの人、ごめんなさい。)
- #35「練習曲」陳懷恩/2007/台湾/Aug. 24/シネマート六本木 (Screen 4)
- 昨年、台湾で大ヒットしたらしい“ディスカバー台湾”映画。自転車で島を一周する聾唖の青年。通過する先々の不思議な、あるいはふだんは目に留まらない事物と人びと。大都市を巧妙に外したロケーション。なるほどね。悪くないけど、少々説教臭いのが気になった。なぜ自転車なのか、という映画制作の動機は説明されているけれども、主人公の出発の動機は不明。パンクの直し方くらい勉強してから出発しろよ。西海岸より東海岸のシーンが圧倒的に時間が長かったと思うけど、これは海岸線の魅力に比例していると思う。北回帰線の塔はこないだ見に行ったぞ(単に通りがかっただけ)。タイムリーだ。サヨンの鐘、見に行きたいなあ。呉念眞が運転するバスには乗りたくないなあ。
- #34「宮本武蔵 二刀流開眼」内田吐夢/1963/東映/Aug. 9/シネマヴェーラ
- お気に入りでうちでもときどきDVDを観るこのシリーズは2001年に集中的に劇場で観たのだが、本作だけスケジュールが合わずに断念したようだ(なんだか他人事みたいだが記憶にないものはしようがない)。宮本武蔵と佐々木小次郎という超エゴイストかつナルシストが、自分の目的のために周りを文字通りバッサバッサ斬り捨てながら最後の対決に徐々に近づいていく。健さん演じる小次郎が出るのは本作から。まだへらへらしている。『小次郎(健さん)対小次郎(鶴田浩二)』なんてのが作られていたら絶対に観に行って大笑いしてやるのだが…。おばばは相変わらず絶好調。秘伝の毒矢は効果がなかったのか、武蔵の目は鋭いままだったぞ。だめじゃん、おばば。
- #33「881 歌え!パパイヤ」陳子謙/2007/シンガポール/Aug. 9/ユーロスペース2
- 静かな『4:30』の若い監督が撮った、えらく賑やかな映画。シンガポールのお盆シーズンに故人慰労のため開催される歌謡ショウイベント・歌台(なぜこれを“ゲータイ”と表記する?)に出演するパパイヤ・シスターズなる2人の女性が外来のドリアン・シスターズと歌と踊りで対決する。難病ネタを組み合わせて、いささかチープな内容になっているけれども、監督は往年の大歌手へのオマージュとしてこれを撮ったらしい。木瓜姐妹をマネージするのは田中真紀子と沖田浩之母子。田中真紀子は怪演。広東語(福建語?)を喋り、字幕がなぜか関西弁のこのおばさん、小木瓜とともに新作『12蓮花』にも出ている常連らしい。歌台で唄われる歌の詞はどれもきれいごとからは一線を画すもので、興味深い。
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- #32「ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン」侯孝賢/2007/仏/Aug. 2/シネスイッチ銀座
- 侯孝賢もこの映画のファンなのか、ふーん。変な邦題。でもこれ、中身はなかなかいいよ。一見して李屏賓とわかる、ゆら〜りとパンする、人の目線キャメラワークが、断然気持ちいい。抑揚なく“D'accord”を連発する中国人ベビー・シッター大学(院?)生が研究対象『赤い風船』のオマージュ映画を撮るという設定もなかなか。ジュリエット・ビノシュを観たのは久しぶりだ。『汚れた血』で共演したジュリー・デルピーより老けてないなあ。太ってるけど。観光ガイド番組のごとく現在のパリの街が出てくるのが笑えた。パンダを探したけど、最後まで出てこなかった。ランチアYなんてのは見かけたけどなあ。フランスはやはりシトロエンとかプジョーなんだろか?
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- #31「赤い風船」アルベール・ラモリス/1956/仏/Aug. 2/シネスイッチ銀座
- 少年は若返り、白い馬は赤い風船に変身し、舞台はパリに移った。無生物だけに、意志を持ったように動き回る風船は不気味。などと書くと、詩情がない奴と後ろ指をさされそう。でもね、この風船は始終少年にまとわりついた末、少年を空へ連れ去ってしまうのだ。これぞ、『ウルトラセブン』に出てきそうな話。つまり、風船は宇宙人の宇宙船なのだな。次々と少年、少女を自分の星に連れ帰って奴隷化し、地球も征服しようとする恐るべき地球外生物。クレジットに“円谷プロダクション”の文字がなかったのが不思議なくらいである。…と、茶化してはみたけれど、これそんなにいいかなあ? まあ、ある一定の熱狂的ファンがいそうなフィルムではあるけど、僕の琴線には触れなかったよ。
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- #30「白い馬」アルベール・ラモリス/1953/仏/Aug. 2/シネスイッチ銀座
- こんな映画を以前観たことがあるような気がする。セリフがほとんどないのは、主人公が少年と白い馬だから。このふたり(?)の出会いと交流が静かな光溢れるモノクロ画面で綴られる。モノクロだからか、白い馬がたくさんいるように見えたけど、白いのは一頭だけなんだろうか? 自然の中の高速移動と驚異的なキャメラワークが素晴らしい。鞍なしで、どうやって少年はこの馬を操れるのか。吹き替えには見えなかった。そしてエンディング。馬は少年をどこに連れて行ったのか? 実は結構恐い映画である。いまどき、指定席どころか整理番号も出さない映画館、シネスイッチ銀座。時間を効率よく使いたい向きにはお勧めしたくない小屋であるが、ここでしかかからない作品も多く、なんともしようがないところ。
- #29「どたんば」内田吐夢/1957/東映/Aug. 2/シネマヴェーラ
- いまごろ内田吐夢特集。生誕110年?どうでもいいな。内田吐夢といえばやはり『宮本武蔵』だけど、これは現代ドラマ。よくありそうな炭鉱事故が題材である。もとTVドラマというだけに、展開がドラマティック。内田吐夢だけに、ヒューマニズムもんで色気がない。笑いもない。わずかに高堂國典だけが救いだ。オールスター(?)キャストの中、落盤事故で坑道に閉じこめられるのは、志村喬や江原真二郎。さっさと救出すればいいのに、TVドラマだからなかなか捗らない。江原真二郎じゃウルトラセブンも助けてくれない。おかげで98時間も、観客まで息苦しくなりながら耐えた。かつてたくさんあったと思われる、日本の零細炭鉱の様子がよくわかって興味深かった。在日朝鮮人炭鉱労働者もたくさんいたんだ。
- #28「天安門、恋人たち」婁燁/2006/中=仏/Jul. 26/シアター・イメージフォーラム
- この邦題、おおいに問題あり。“天安門”(事件)というだけで観に来る人がたくさんいると思うけど、その事件は十数年にわたる物語のほんの一部に過ぎない。天安門事件を境に登場人物の人生も社会情勢も変わることを示している点では、従来の文化大革命の位置づけがこの事件に移行しつつある中国人の意識変化が顕れているようで興味深い(単なる世代交替か?)。原題は『頤和園』、英題は原題に忠実に『Summer Palace』。主人公の青春もこの広大な遺跡のように華々しく虚しい。とはいえ、頤和園も少ししか出てこないし、そんなに印象に残らない。(そもそも頤和園を知らないひとにはそこが頤和園とはわからない。) 中国映画でR18はちとめずらしい。
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- #27「悲しみは空の彼方に」ダグラス・サーク/1958/米/Jul. 21/渋谷東急(PFF)
- 今回の特集のキャッチフレーズ“かなしみのハッピーエンディング”とはよく言ったもので、なるほど、エンディングがハリウッド的な単なるハッピーエンドでなく、どちらかというと不幸なのだが観るものには希望を感じさせる(僕は騙されないが)ところがこの監督は巧い。本作はかなりヒットしたというが、中身はアメリカ人でなくては真情がわからない人種差別問題。心底共感してヒットしたのかどうだか怪しいものだ。4人が同居する2つの母子家庭。このうち肌の色が黒いのはひとりだけというシチュエーションで、固定化した社会通念のもと明るく生きていくのは、特に若い娘にはむずかしいよね。エンディングのほろ苦さは過剰にメロ・ドラマティック。くさい。
- #26「翼に賭ける命」ダグラス・サーク/1957/米/Jul. 21/渋谷東急(PFF)
- シネマスコープ・モノクローム作品。前作からバコールだけ抜いたような出演陣。小型飛行機によるアクロバット・ショウとスピード・レースで喰っている(こんな商売があることがアメリカ的)男(ロバート・スタック)と、妻(ドロシー・マローン)、メカニック。あー、またまたアメリカンな映画か、と思って観ていると、こちらはとてもよかったよ。飛行機という危険な香りのする高速機械が緊張感を高め、見ごたえのあるドラマが展開する。今回も主要登場人物がみな苦悩しているのだけど、前作のように感情移入できないものではない。特にドロシー・マローンがいい。パラシュート降下ショウの華々しいこと。こんな商売、いまの時代にはさすがにないよね。
- #25「風と共に散る」ダグラス・サーク/1956/米/Jul. 21/渋谷東急(PFF)
- ハリウッドの黄金期における重要な監督は何人もいるが、それだけにすべてをチェックするのはむずかしい。ということで、これまでダグラス・サークといえば、ダニエル・シュミットが撮ったドキュメンタリー『人生の幻影』を観ただけで、作品をまともに観賞したことはなかった。偉いぞ、太ったおばさん。偉いぞ、ぴあ。最近よい話のないこの会社のプチ株主として、少しうれしい。さて、本作にはローレン・バコールという人気女優が出ており、とっつきやすい。やすいのだが、彼女があまり賢くないのでガッカリしながら観ることになる。しかも、なんだかんだいっても、結局はアメリカ的なおとぎ話である。バコールにガッカリな分、少々鼻につく。
- #24「コロッサル・ユース」ペドロ・コスタ/2006/葡=仏=瑞/Jul. 12/シアター・イメージフォーラム1
- 奥さんに逃げられた直径3cmくらいありそうな鼻の穴をもつおじさんが、“息子”や“娘”をせんぐりせんぐり訪ねる。最初のうちは場所の移動だけだと思っていたら、どうも様子がおかしい。で、やっと時間も移動していることに気がついた。公式サイトには、ヴェントゥーラ(件のおじさん)が笠智衆のようだと解説している。なるほど蓮實センセイとかが監督を小津扱いするからそういう言説が出てくるわけだな。常に仰角気味にフィクスされたキャメラが静かに人生を見つめるさまは確かに小津的かもしれないが、ヴィデオの特性を活かし、キムタクのドラマ最終回のごとくいつまでも続く長廻しは決して小津作品では観られないよ。それに光が小津と違って生きている(小津のが死んでいるわけではないが)。あれはいいね。
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- #23「イースタン・プロミス」デヴィッド・クローネンバーグ/2007/英=加/Jul. 12/シャンテ・シネ1
- クローネンバーグといえば『ヴィデオドローム』や『スキャナーズ』だという人(僕も)には、“おや?”という印象の正統派作品(やや、らしいエグイシーンもあるが)。いわゆる○○○○○もののひとつ。ヴィゴ・モーテンセンが、梁朝偉だったり劉徳華だったりするわけだ。そう、こりゃ香港映画だよ、ロンドンのロシアン・マフィアの話だけれども。組織の人間の証は刺青。最近は機械で彫るからなんだか我慢が足りない気がする。やっぱ、片腕の信欣三に血をにじませながら彫ってもらわなきゃね。いまはKGBではなくFSBていうのか。IT的で迫力ないな。改めて、ロシア語はかっこいいと認識。ちゃんとやっておけばよかった。ずどらーすとびっちぇっ。すぱしーばっ。えたどーむっ。
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- #22「パリ、恋人たちの2日間」ジュリー・デルピー/2007/仏=独/Jun. 21/恵比寿ガーデンシネマ
- ジュリー・デルピーのシワは元カレの数に比例しているようだ。『汚れた血』から21年。バイクに乗った天使はすっかりおばさんになった。何やら最近は歌を唄ったり、映画を監督したりして、女優としてやっていけなくなってもいいように着々と準備しているらしい。本作は、傑作『恋人までの距離』や『ビフォア・サンセット』でヒットの味をしめた彼女が、男と女がパリで会話し続けギネスに挑戦する話を自分で撮ったもの。設定は2作とだいぶ違うので、これはこれなりに楽しめる。ジム・モリソンの墓、僕も行ったなあ。ドアーズのファンでもないのにね。たくさん矢印があったっけ。アメリカとフランスのカルチャーギャップをネタにしているのは面白いね。こういうのは東洋人には知られてないからね。体温計の使い方とかね。
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- #21「シークレット・サンシャイン」イ・チャンドン/2007/韓国/Jun. 21/シネマート六本木
- 原題が“密陽”だから“Secret Sunshine”。わはは、な邦題だと思ったら正式な英題らしい。それは中身を観れば納得する。チョン・ドヨンの独り舞台熱演映画。ドストエフスキーばりの“神は存在するのか”という主題を最も地面に近いところから問う。死を含め、世の中のできごとすべてを無条件で受け入れられるかどうかで、その人にとっての神の存在が、そして救いが決まるのだ。チョン・ドヨン演じる女は、結局その境地に行き着くことができず、精神に異常をきたしてしまう。そうなっても、そばにはソン・ガンホが寅さんのようにずっと付いているのだが、彼が彼女にとっての神だったと彼女が気付き救われるまでには、まだまだソン・ガンホの頑張りが必要そうである。
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- #20「山のあなた 徳市の恋」石井克人/2008/フジテレビジョン=J-dream=東北新社=東宝/Jun. 1/横須賀HUMAXシネマズ8
- 清水オヤジの現存三大傑作の梅作品『按摩と女』のリメイク。監督に言わせれば“カヴァー”。『珈琲時光』みたく、いきなり富士山がバーン、とかやればいいのに、東宝さん。主役の徳さんを演じるのはSMAPの草彅剛、福さんは知らない加瀬亮、女はこれまた知らないマイコ。(マイコー富岡じゃないよね。) それぞれ、徳大寺伸、日守新一、高峰三枝子のカヴァーというわけだ。カヴァーなんだから比較が当然容認されると思うので言わせてもらえば、福さんはよくやってると思うけど、徳さんはその苦悩する顔が再現できていなくて不満だ。さらに、女の格が百段くらい違うと思うのだ。爆弾小僧もかわいくないし。絵がどうしても戦前に見えないのは、カラーでヴィスタだからだけではなさそうだ。こちらも残念。
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- #19「靖国 YASUKUNI」李纓/2007/日本=中国/May 24/渋谷シネ・アミューズWEST
- 僕は、靖国神社に足を踏み入れたことがない。ここは日本にある異境であり、ある種のパスポートがないと入れないからだ。行きたい人は行けばいいし、行きたくない人は行かなければいい。とは思うけれど、テレビで見たことのある、軍服姿で闊歩する幾多の集団のほか、小泉首相の靖国参拝に反対する日本人学生に対し“中国へ帰れ”と連呼するおじさん、アメリカ人を見て“なんだ毛唐か”と目前で吐き捨てるように言うおじさん、いやー、恐ろしい。知り合いに“靖国神社行くの好きなんだよねー”なんて言われると、引いてしまうと思う。でも、神社はともかく遊就館には一度行ってみたいね。電車の中でたまに見かける広告を見ても、戦時下国策映画と同種の匂いがする。興味津々だ。
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- #18「真紅な海が呼んでるぜ」松尾昭典/1965/日活/May 24/ラピュタ阿佐ヶ谷
- 30歳の中原早苗が(ほとんどストリップ)ダンサーとして踊る。妖しいけど、相変わらず元気いっぱい。主演の渡哲也とチンピラ役の藤竜也の青臭さが気になる。二谷英明の役がかっこよすぎるのが気になる。郷鍈治は用心棒のくせにとても弱いのが気になる。金子信雄と比較して菅井一郎がしょぼいのが気になる。松原智恵子は、なんのために出ているのかわからないのが気になる。ときたま挿入される人物のクロースアップにたじろぐ。すべてのエピソードが中途半端に終わっていて、消化不良だ。でも、中原早苗のダンスがあるだけで存在価値はあるね。舞台は神戸。なぜ横浜じゃないのかな? そこんとこ、不明。そういえば『紅の流れ星』も神戸だな。渡哲也は神戸のイメージか?
- #17「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」若松孝二/2007/若松プロ=スコーレ/May 17/テアトル新宿
- あさま山荘事件。懐かしいというより、僕のテレビジョンの原体験のひとつである。もうひとつは、アポロ8号の打ち上げ、かな? 3時間以上の言語道断の長尺ながら、眠くもならないし飽きもしない。腑抜け状態に陥っている現在の国民からすれば、別の国に見えるエネルギッシュな日本が甦る。組織における覇権争いのゴタゴタは、イデオロギーによらず国家レベルでもしばしば起こること。連合赤軍って何てひどいことをするんだろう、と思う前にかつてのさまざまな国、政権がやってきたことを考えてみるべきだ。要は、彼らだけが悪いってわけではないということ。意外にニュースフィルムを使っていないこと、特に山荘事件のフィルムはまったく使われずに構成されていることに好感をもった。
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- #16「海の情事に賭けろ」野口博志/1960/日活/May 4/ラピュタ阿佐ヶ谷
- 完全な偏見によれば、日活のヒロインといえばもちろん芦川いづみが一等賞。で、二等賞は中原早苗である。この、のちほど深作欣二の奥さんになる元気いっぱいの女優のベストは、いづみさまも凛々しい『紅の翼』だが、本作もなかなかいいね。親父が三島雅夫ってのが、同年の『あした晴れるか』のときの東野英治郎より泣かせる悲劇的な設定にもかかわらず弾けまくっている。間違いなく、この時代の日活映画のカラーを決めているひとりだ。さて、映画だけど、主演は(僕は評価していない)赤木圭一郎。生き別れた双子の弟がいるという超紋切り設定をはじめとして、ストーリーラインが弱すぎる。殺し屋・深江章喜は、ターゲットを殺し損ねたのに、その相手が人違いだったからといってなぜ名誉が回復するのだ?
- #15「モンゴル」セルゲイ・ボドロフ/2006/独=ロシア=カザフスタン=モンゴル/Apr. 13/渋谷TOEI1
- 浅野忠信がチンギス・ハーンの青年期テムジンを演じ、『コーカサスの虜』のセルゲイ・ボドロフが監督する異色作。狩猟民族らしく戦いの連続の中で敵からの逃亡を繰り返しながら勢力を伸ばし、モンゴルを統一したところで映画は終わり。たったひとりの状況から世界帝国を築くなんて気が遠くなる。指数関数的に増える目の届かない膨大な数の人間を統率するシステムをその後どうやって完成させたのだ? できる人らしいわ(by原節子)。アサノといえば、その独特の風貌と一般人のセリフ回しが不思議な俳優だが、モンゴル語を喋るとかなり印象が変わる。西夏で投獄された姿には『宮本武蔵』の中村錦之助のごとき恐ろしさが湧き上がっていた。奥さんのボルテを演じる女優の存在感がいい。モンゴルでは美人だろうか?
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- #14「マイ・ブルーベリー・ナイツ」王家衛/2006/仏=香港/Mar. 23/日比谷スカラ座
- こういう大きな劇場に行くと本篇上映前に下らない予告篇を延々と見させられる羽目になるのが通常。今回も似たようなものであったが、ふかっちゃんの新作と『按摩と女』のリメイク版の予告篇がかかって、ちょっぴりお得感があった。後者はほんとにリメイクって感じで、それでいいのか?と思ってしまった。さて、本篇。王家衛の新作は『恋する惑星』の、アメリカを舞台にしたリメイク。梁朝偉=ジュード・ロウ、王菲=ノラ・ジョーンズ。オリジナルでは王菲のカリフォルニアでの生活はまったく描かれなかったのが、本作ではノラ・ジョーンズがNYCを離れてからの暮らしぶりがロード・ムーヴィーとして映像化されている。コマ落とし、時間、数字、モノローグ、などなど王家衛的記号満載の、軽く楽しめるハッピーな逸品。
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- #13「いのちの食べかた」ニコラウス・ゲイハウター/2005/オーストリア=ドイツ/Mar. 20/渋谷シアター・イメージフォーラム
- 昨年末、観たいと思ったが時間がとれずあきらめていたドキュメンタリー。先日どこかで予告篇を見てまだやっていることを知り、雨の中出かけていった。ロングランだね。その予告篇からは、『プレイタイム』のようにクールに動物や植物が食品として加工されていく図が延々と続くものを予想していたが、そうでもなかった。それでも、解説やセリフが皆無なのがいい。動物保護や食の安全を訴える姿勢がないのもいい。人間が生きていくための所業を淡々と記録していくのみ。牛が死ぬ(殺される)瞬間というものを初めて見た。たまに挿入される従事者のランチシーンが小津のバストショットみたいだった。上映後、会場から“びみょー”という声が聞こえたが、もっとエグイものを期待した人には確かにがっかりだっただろう。
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- #12「日本俠客伝 斬り込み」マキノ雅弘/1967/東映/Mar. 20/フィルムセンター
- マキノの『日本俠客伝』シリーズ中、唯一劇場で観ていなかった作品。同シリーズではかなりの異色作で、健さんはやくざではなくテキ屋になる。テキ屋のくせに物は売れない。藤純子と子連れで結婚する。金子信雄が子分になる。天津敏は顔面神経痛。長門裕之は浪花の漫才師(じゃないけど似たようなもんだ)。殴り込みには日本刀。渡辺文雄を殺した後、警察から逃げてハッピー・エンディング。そもそもオープニングでも善良そうな他所の親分を殺して逃げて、ノウノウと暮らしているのだ。いいのか、これで? これでいいのだ、面白ければ。それにしても大胆不敵なのは藤純子。くねくね作戦で健さんの押しかけ女房になり、お金がなければさっさと芸者になり。ちょいと引いてしまう。お竜さんなら堅気じゃないのでいいんだけどね。
- #11「弥次喜夛道中記」マキノ正博/1938/日活/Mar. 16/フィルムセンター
- 一年後の『鴛鴦歌合戦』に繋がる、プチ・オペレッタ仕立の愉しい一篇。千恵蔵が遠山金四郎で贋弥次さん。鼠小僧次郎吉の贋喜多さんと東海道を旅する。そんで、ディック・ミネが本物の喜多さんダー。これだけで面白そう。かけ合いはないものの、実際ふたりの軽妙さが堪能できる。(建物自体はセットだろうが)箱根の関所のロケは現地。芦ノ湖がくっきり。海賊船は見えない。富士の裾野を旅人が行く光景が雄大ですばらしい。おそらくロケはここまで。あとはスタジオだな。当時の代表的子役のひとり悦ちゃんが旅芸人一座の男の子役で登場。悦ちゃんてその後どうなったんだろね? 1946年の作品に出ているので戦争で亡くなったのではないらしいけど。
- #10「黒い土の少女」チョン・スイル/2007/韓国/Mar. 16/渋谷シアター・イメージフォーラム
- (ふかっちゃんの替え唄で)くーろいつちのしょーおじょー♪ 花粉症絶不調の中、去年も行った韓国アートフィルムショーケースなる企画に出かける。今年はホン・サンスないの? しかたないな。予告篇では一等よさそうだったこの映画、観終わってみれば、うーん。女の子の気持ちがよくわからない。この子はどこかで見たことのある顔なのだが、思い出せないんだなあ。お父さんは会社のSさんにそっくりだったけど。最も気になったのが、二度出てくる若い女性。あれ、誰? どういう設定の人? 謎である。バスに座っている姿が多少いづみさまを思わせ、どきどきであった。あー、まりおねっとぶるー♪(この唄、何人の人が知ってるだろうか?)
- #9「RAIN DOGS」何宇恆/2006/マレーシア/Mar. 9/シネマート六本木3★
- こちらは打って変わって、いいね。毎日スコールの来るマレーシアの気候にマッチした色調で、ちょいと張作驥を連想させる。神保町でやっていた『決闘般若坂』も捨てがたかったが、まあ許そう。簡単にいってしまえば大人になる少年の話で、寡黙な彼がこの92分で経験するできごとは、同時代の僕の数倍の複雑さと濃度を持っているように思う。KLも悪くないが、田舎(どこ?)がいい。あの姉妹がいい。しょぼいくせに男がいるお母さんがいい。家を飛び出して行った先で、どこかで見たことのあるおばさんがいると思ったらヤスミン・アフマド監督だった。この人、日比谷のチェンマイの女主人に似てるね。エンディングの虹のシーンがとても印象的。原題が『太陽雨』だからか。
- #8「I'LL CALL YOU」林子聰/2006/香港/Mar. 9/シネマート六本木3
- “アジア新星流”なる企画を観るため六本木にやってきたが、ここは昼でも恐ろしいところだ。ヒルズ近辺ならともかく、僕のような善良な市民には歩きにくい。しかも観た映画が下らないときては、後悔の念極まれりである。日本にもたくさんいそうな感じの女(梁慧嘉)のわがまま放題に振り回される男(方力申)の話で、これがハッピーエンドになるわけがない。なったら怒るで。出演者には『少林サッカー』の人が多かったようだ。劉徳華が突如出てきて唄い出すなど思わず笑ってしまったが、そんなもので騙されるわけにはいかない。ただ、二人がデート(?)するたび、実にさまざまな料理を食べているのには感心した。さすが香港というべきなのか。ビールが(ほとんど)いつも百威(Bud)なのが問題だけどね。
- #7「日本俠客伝 白刄の盃」マキノ雅弘/1967/東映/Mar. 2/フィルムセンター
- これは劇場では1995年に観ている。スカパーで録画もしている。それでもスクリーン。舞台:銚子。時代:昭和初期。業界:運送業。健さん:元やくざ。内田朝雄:回想で出てくるいい人。コメディアン:伴淳三郎。大顔:大木実。藤純子の演技:くさい。武器:槍。白刃:出てきた? 悪者:GoGo天津敏。松尾嘉代の色気に負けるな。(いやあ、そりゃ負けるよな。)何度見てもキャストがしょぼい。舞台がしょぼい。今回は観なかったけれども、お魚関係ならやはり『関東篇』でしょう。ばくちで小銭を稼いでは宮園純子の借金を返そうと努力を続ける長門裕之が健気。宮園純子といえば、おしん(水戸黄門の)だ。裏切ると弥七の風車が飛んでくるぞ。(まったく脈絡のないメモになってしまった。)
- #6「日本俠客伝 雷門の決斗」マキノ雅弘/1966/東映/Mar. 2/フィルムセンター
- これは劇場では1995年に観ている。スカパーで録画もしている。それでもスクリーン。舞台:浅草六区。時代:大正。業界:興行師。健さん:元船乗り。内田朝雄:すぐに死ぬけどいい人。コメディアン:藤山寛美。大顔:村田英雄。藤純子の演技:くさい。武器:長刃。雷門:出てこず。悪者:やっぱり天津敏。だが、本作では上に水島道太郎がいて窮屈そう。最後に健さんが殴り込んで敵を叩っ斬り、警察に連行されていくのを大勢が見送るのが本シリーズのお約束。観衆は待って待って90分。このシーンでカタルシスを感じるのである。フィルムセンターの観客の70%はじいさんだが、健さんが天津敏を殺るとき、みんなで“おーっ”と雄叫びをあげるとか“健さんっ”と掛け声をかけると面白かろう。あり得ないが。
- #5「日本俠客伝 血斗神田祭り」マキノ雅弘/1966/東映/Mar. 2/フィルムセンター
- 本日、日本俠客伝祭(“祭り”と書くのは嫌いだ)。これは劇場では1990年に観ている。うちにDVDもある。それでもスクリーン。舞台:神田。時代:大正。業界:火消し。健さん:よ組の纒持ち。内田朝雄:いい人。コメディアン:藤山寛美。大顔:遠藤辰雄。藤純子の演技:くさい。武器:トビ口。神田祭:登場。悪者:なんたって天津敏。冒頭の祭の行列&健さんとの対峙が見どころ。税金払ってるんだもんねー。シリーズでは傑作と言われているものの一本。鶴田浩二が渋く登場し、その相手役が病弱の野際陽子であるなど、見どころは多い。長門裕之もめずらしくカッコいい役だ。中原早苗やら近藤宏など、日活からの流れ者がこれまた新鮮。特に中原早苗はあの快活さで藤山寛美をタジタジにして気持ちいいよ。
- #4「りゃんこの弥太郎」マキノ雅弘/1955/新東宝/Feb. 24/フィルムセンター
- こちらは小泉“追分三五郎”博がりゃんこの弥太郎。主役としてはしょぼいが、僕はこちらの方がいい雰囲気だと思う。やはり河津“大政”清三郎が脇に付いていて、コメディアン役であるにもかかわらず安心感がある。北関東における機織り業界の人手不足という背景が新鮮だった。弥太郎はコインのように三度笠を使って意思決定をする。コインなら裏表の出現確率は50%-50%だろうが、三度笠では明らかに裏が出やすいぞ。これはいつでも三度笠で決める彼にも経験的にわかっていたはずで、最後に水原真知子とすぐに一緒になるか決める際、裏を“一年先”としたのは意図的としか思えない。毒消し売りの香具師は久慈あさみと思ったら藤間紫だった。いつ見ても間違えるな、この二人は。
- #3「彌太郎笠 前篇 後篇」マキノ雅弘/1952/新東宝=新生プロ/Feb. 24/フィルムセンター
- フィルムセンターのマキノ雅広特集にやってきた。マキノ映画ってのは観ても観てもまだ観てないのがある。どれも同じよーな話なのでこんがらがってくる。鶴田浩二がりゃんこの弥太郎。いつも思うが、鶴田浩二というのはやはりやくざか現代青年で、時代劇化粧は気持ちが悪い。相手が岸恵子と派手なだけに、二人のシーンが微妙に背景とずれている気がした。前篇エンディングの殺陣は、錦ちゃんの『一乗寺の決斗』からすれば20分遅れで襷が渡せないほど。なんだかクルクル廻るだけ。とはいえ、出来が悪いというわけではなく、娯楽作品として十二分に楽しめる。祭は華やかだし、三島雅夫と田中春男は相変わらず。河津清三郎もいい味出してる。
- #2「ラスト、コーション」李安/2007/米=中=台湾=香港/Feb. 16/ル・シネマ1
- ヴェネツィアで金獅子を獲った李安の意欲作にして、梁朝偉のAV出演第1作。いやあ、香港の俳優って大変だなあ。湯唯という女優は新人らしいけど、脇には陳冲やら王力宏やら柯宇綸やら、見た顔がちらほら。仙道敦子そっくりの女優もいたよ。陳冲はクレジットでは陳沖となっていて、どちらが正しいのかよくわからない。撮影は香港、上海のほか、マレーシアはペナン、イポーでも行われたらしい。抗日劇を演じるにわか素人劇団が汪精衛の特務トップを暗殺しようとする幼稚な試みは当然失敗に終わるわけだが、その大きな流れの中心で、梁朝偉の孤独が痛々しい。組織を裏切った湯唯は、毒薬を手に取りながらなぜ飲まなかったのか。(1)落とした、(2)飲む前に捕まった、(3)実はあれは純露だった、さあどれ?
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- #1「人のセックスを笑うな」井口奈己/2007/『…』製作委員会/Feb. 16/シネセゾン渋谷
- 同名小説の映画化らしいが英題“Don't laugh at my romance”の方が内容にしっくりくるな。主演の永作博美という女優は僕の頭の中では小林聡美と同列で極限サッパリ系の、好感度大だがファンというわけでもないという位置づけ。本作では、女性監督だから撮れそうな、とてもかわいい役である。こうして見ると日本の周迅って感じ。で、その監督、『犬猫』の人らしいがあいにく未見。今回がお初である。緊張感のない長廻しがなかなかいい感じ。あがた森魚が信玄餅を主役の男(すみません、よく知らない人です。『リンダリンダリンダ』にも出てたらしいけど。)と食べるとこなんて、ありゃ映画じゃないね。上映後、監督のあいさつと、なぜかあがた森魚のミニ・ライヴがあった。信玄餅ももらって帰りました。
⇒公式サイト
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Last update: 10/4/2008
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