2005年7月23・24日、伊勢湾内において愛知万博パートナーシップ事業として「伊勢湾マリンフェスタ'05」が開催されました。管理人は24日に四日市港よりミサイル護衛艦「ちょうかい」DDG176に乗艦し、4年ぶりのイージス艦の航海を楽しんできましたので、洋上での護衛艦の姿と展示訓練の様子を紹介します。

なお、各艦の要目・所属等は取材時のものです。




四日市港霞ヶ浦埠頭に停泊する、今回管理人が乗艦したイージス護衛艦「ちょうかい」DDG176(左 第4護衛隊群第64護衛隊・佐世保)と護衛艦「おおなみ」DD111(左 第1護衛隊群第5護衛隊・横須賀)。この他同埠頭には前後に並んで輸送艦「しもきた」LST4003(第1輸送隊・呉)が停泊、その他の艦艇は名古屋港ガーデン埠頭停泊となった。「ちょうかい」の艦橋下、OE-82衛星通信アンテナがレドームを持つタイプに換装されているのに注目。また、後述のようにMk15バルカン・ファランクスCIWSも最新バージョンへの換装が行われている。「ちょうかい」は1000出港、伊勢湾内の展示訓練海域を目指す。
「ちょうかい」(左)と「おおなみ」(右)のマスト比較。

「ちょうかい」マストトップの1はIFF、2はNOLQ-2のESMアンテナ、3の円盤状のスペースはUPX-29IFF、4のドームはSH-60とのデータリンクアンテナ(ネームシップの「こんごう」には当初未装備だった)、5はOPS-28C対水上レーダー、6はわかりにくいがOPS-20航海レーダー、7はSPG-62イルミネーター、8はインマルサット海事衛星電話通信アンテナ(恐らく日本無線のJUE-310B)、9は上の2と対になるNOLQ-2のECMアンテナ、10はスーパーバード衛星通信用アンテナ。

ヘリコプターを搭載する「おおなみ」は最頂部にはORN-6TACANの円盤状アンテナを持つ。下の大きなプレイナーアレイのアンテナはOPS-24B3次元捜索対空レーダー。その他は基本的には「こんごう」型と同様の装備となる。

後甲板、艦尾に向けて2つがタンデムに並ぶスタンダード艦対空ミサイルの終末誘導用イルミネーター、Mk99/SPG-62。スタンダードは終末誘導にセミアクティブホーミング方式、すなわち誘導用レーダーが目標に向けて照射した電波の反射を捉えてそれに向かって飛行してゆく方式なので、索敵・初期誘導用のSPY-1とは別に最後のトドメ用にこの電波照射器を前に1つ、後ろに2つ持っている。その下は近接防御用、おなじみのMk15バルカン・ファランクスCIWSだが、何かヘンなものがついているような・・・追跡レーダーを収めた白いレドームの横に光学照準器が取り付けられているが、これが不審船など水上目標射撃用の能力を付加された最新バージョンのブロック1Bと呼ばれるモデルで、「きりしま」でも前後ともに換装されているのを確認済み。左は艦首側のものをデモンストレーションで作動させているところ。
1140過ぎ、名古屋港より出港した護衛艦隊旗艦「たちかぜ」DDG168が後方より近づいて追い抜いて行く。

今回の体験航海だが、乗艦した「ちょうかい」は艦内の撮影が全面的に禁止で(同艦に限っての措置。ミサイル防衛の中核となるイージス艦であることと、インド洋派遣帰りであることなどの事情から禁止とされたらしい)、艦内の取材が不可能であったほか、体験航海の全行程を通じて速力も最大で強速までとなっており、特に行きはダラダラ、迫力ある高速力デモを体験することはできなかった。

1150過ぎ、同じく四日市港より出港した「しもきた」が黒煙をもくもく吐きながら追いつき、「ちょうかい」の直後に占位する。すでに落ち着いたのでマークは原速だが、ここに至るまでが強速――そしてなんと第一戦速まで上げて黒煙モクモクで猛ダッシュ! ディーゼル艦の「おおすみ」型は高速時の黒煙がものすごい。
「避航にご協力下さい」という横断幕を両側面に掲げ、漁船や一般船舶の展示訓練海域への立ち入りを監視している輸送艇2号・LCU-2002(横須賀地方隊直轄)。1992年3月就役。現在海自でもっとも小型となる輸送艦艇のクラスで、2隻が在籍する。ここで南航してきた艦隊は右回頭して、湾内を反転する。
展示訓練部隊の1隻、掃海艇「すがしま」MSC681(横須賀地方隊第41掃海隊・横須賀)。現在でも建造が続く最新の掃海艇のネームシップで、1999年3月就役。2本の並列煙突が外観上の識別点である。横須賀地方隊の体験航海などではよく見ることができる常連。
1230過ぎ、展示訓練開始。まず横須賀地方総監の座乗する「ちょうかい」に対して、受閲部隊である5隻が反航ですれ違う。先頭を切るのは護衛艦「はつゆき」DD122(横須賀地方隊第21護衛隊・横須賀)。近代護衛艦史にその名を残す汎用護衛艦「はつゆき」型のネームシップであるが、現在は後続の「あさぎり」型、さらに「むらさめ」型・「たかなみ」型の就役により全艦が護衛艦隊籍を離れている(すでに「あさぎり」型ですら練習艦に変更される例が出てきている)。
続いてすれ違うのは「はつゆき」型の2番艦、「しらゆき」DD123(横須賀地方隊第21護衛隊・横須賀)。別コーナーの平成15年度観艦式や名古屋港のニュージーランド艦一般公開編にも登場する、一般公開や体験航海の超常連艦である。
3隻目も「はつゆき」型の4番艦となる「さわゆき」DD125(横須賀地方隊第21護衛隊・横須賀)。今回の展示訓練は横須賀地方隊主催だけあって、所属の護衛艦3隻がすべて姿を見せた。同型だけあってそのスタイルにはほとんど差異が認められないが、「はつゆき」と「しらゆき」のみはバルカン・ファランクスが後日装備で後に取り付けられている。
4隻目は護衛艦隊所属の「はるさめ」DD102(第1護衛隊群第1護衛隊・横須賀)。後続の「たかなみ」型も建造が進みすっかり中堅となった「むらさめ」型の2番艦。ネームシップの「むらさめ」も第1護衛隊所属で横須賀が母港だが、当イベント時は平成17年度遠洋航海で世界一周の真っ最中。
護衛艦群に続く殿の5隻目は潜水艦救難母艦「ちよだ」AS405(第2潜水隊群直轄・横須賀)。現在「ちはや」と2隻が在籍する潜水艦救難艦だが、「母艦」を名のるのは当艦が唯一で、救難艦任務の他にも潜水艦母艦としての支援能力(燃料や水・各種搭載品、乗組員の宿泊、休養設備など)を持つ。なお、同艦はこの後、2005年8月4日に発生したロシア海軍の深海潜水艇事故(漁網にからまって浮上できなくなったとのこと)に際し防衛庁長官からの派遣命令を受け、国際緊急援助隊の一員として掃海母艦「うらが」MST463、掃海艇「うわじま」MSC672、掃海艇「ゆげしま」MSC679とともに現場海域に急行したが、到着前にイギリスより空輸された無人潜行艇の救出作業が成功したため、7日に当該任務を終了、帰国している。
「ちよだ」の船体中央部に搭載された、救難用深海潜水艇DSRV(Deep Submergence Rescue Vehicle)DSRVは当艦に写真の1号艇、呉配備の「ちはや」に2号艇が搭載されている。
ここで受閲部隊艦艇中「ちょうかい」と「しもきた」は順次回頭、直進する「たかなみ」「おおなみ」「たちかぜ」と離れて「はつゆき」以下の列の後尾につく。再び第一戦速まで増速、黒煙を盛大に吐き出す「しもきた」。同艦は回頭後、LCACデモのため隊列を離れて遠くへ行ってしまう。
S字を描くように2度目の反転を行った「ちょうかい」の前方はるかに、先程直進した「たかなみ」「おおなみ」「たちかぜ」、潜水艦2隻と「すがしま」が現れる。1300過ぎ、祝砲撃ち方始め。
先程まで受閲部隊の先頭でここまで一度も顔を合わせなかった「たかなみ」DD110(第1護衛隊群第5護衛隊・横須賀)。「おおなみ」と同じ部隊でペアを組む、「たかなみ」型のネームシップ。当型から前部の砲が5インチと大形化された。同艦のみは一般乗艦客を乗せずに乗組員のみで当舷礼を行っており、写真を撮るには一番見栄えのする被写体であった。
四日市港を一緒に出港した「おおなみ」はここで「ちょうかい」とは反対向きで相まみえる。通常祝砲は空砲として実際に艦装備の砲で行うが、「たかなみ」型2隻は前後部煙突間に特別に設置された祝砲により実施された模様。これは当型が装備するOTOブレダ社製5インチ砲に空砲用の炸薬の装備がないためと言われているが・・・
上記仮説を裏付ける「たちかぜ」の祝砲射撃。こちらは艦装備の5インチ砲、従来の前部Mk42(といっても、同艦は護衛艦隊旗艦への改装に際して後部の52番砲を撤去してそこに司令部設備を設けたので砲は前部の1門だけだが)で射撃を行っている。後方には「おおなみ」「たかなみ」より発艦した、対潜オペレーションのソナーディッピングデモを行うSH-60J対潜ヘリが見える。
続いて水上航走を行う、潜水艦「なつしお」SS584(第1潜水隊群第5潜水隊・呉)。 涙滴型潜水艦の最後の世代である「はるしお」型の2番艦で、1991年3月就役。
乗員が整列して登舷礼を行う「なつしお」のセイル。第5潜水隊司令(1等海佐)座乗のため、1つ桜で横にV字の切れ込みの入っている隊司令旗(甲)を掲げている。
LCACを発進させ「ちょうかい」と併走する「しもきた」との間をすれ違う「なつしお」。今回潜水艦は2隻が参加し、同艦に続いて「わかしお」SS587(第2潜水隊群第6潜水隊・横須賀)が登舷礼を行っている。
「しもきた」搭載のホバークラフト形揚陸艇、LCAC(Landing Craft Air Cussion)2103号(第1輸送隊第1エアクッション艇隊・呉)。LCACについては別コーナーでも写真解説を行っているので、そちらもご覧頂きたいが、2003年の観艦式以降の重要な変化といえば、以前はLCACには独立した艦籍が与えられず、「おおすみ」型の装備品扱いであったが、2004年4月8日に第1エアクッション艇隊が創設され、全艇が自衛艦籍に編入されている。
母艦である「しもきた」とすれ違うLCAC。「しもきた」はLCACを艦内に2隻収容可能で、発進・収容するときは艦後部のバラストタンクに注水、後部ウエルデッキを浸水させ尾部のスターン・ドアを開いて出し入れする。
ローパスを行うのは第21航空群第121航空隊のSH-60J3機。1番に飛来したのは在来塗装の8250だが、これは映画「亡国のイージス」でラスト近く、真田広之演じる仙石をスリングして救助したシーンに登場する機体である。
2番目はロービジ新塗装の8252。所属は同じく第21航空群第121航空隊。今後は各機ともIRANなどの入場に際してこの塗装に更新される予定である。
ラストはこの日一番のキ印飛行を見せた8248。所属は同じく第21航空群第121航空隊。その低さ、近さ、ヒネリ具合ともにどれをとっても一級品のデモフライトであった。艦橋構造物の大きい「こんごう」型とはいえ、艦に乗っている人間の目線で見下ろすように撮っているのだから・・・
今度は展示部隊が反航、「おおなみ」「たちかぜ」が「ちょうかい」の後方につく。先頭にいたはずの「たかなみ」がいないが・・・
「たかなみ」は空砲発射後、単艦行動でずっと北側から進入、すでに単縦陣となった艦隊の東側を反航する。これは艦外各部に取り付けられたスプリンクラーにより海水を散水、放射性物質や最近兵器、化学兵器の汚染を洗浄する対NBC防御の上甲板散水デモ。同艦が一般乗艦客を乗せていないのは、この実演があるためでもある。

この後、各艦はとも散開して名古屋港および四日市港を目指し、「ちょうかい」は1500、四日市港霞ヶ浦岸壁に接岸した。


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