ツール100話 ツール・ド・フランス100年の歴史 / 安家達也(未知谷)

世界最大の自転車レース,1903年の第1回から2002年の第89回までのエピソード集です.

ツール開催のきっかけから連勝中のアームストロングまで,ツールにまつわる様々なエピソードや名選手を広く取り上げています.

歴史的なところで興味深かったのは,初期はレース中のタイヤ交換すら認められず,かつ修理もいっさい人の手を借りてはいけないという厳しさ.第11回大会では総合トップだったクリストフが折れたフロントフォークを村の鍛冶屋でレース中に(!)自分で修理し,なんとか復帰したものの,鍛冶屋の少年がふいごを操作してくれていたばっかりにペナルティタイムが課せられ(それでも!)7位になってしまったとか.

1回あたりのページ数が4ページ前後と,気軽に読めるのですがちょっと物足りない気がします.おなじ出版社から出ている「ツール・ド・フランス物語 / デイヴィッド・ウォルシュ」はイノー,キアプッチ,インデュラインといった名選手に加えドクターやジャーナリストといった関係者合わせて13人に絞ったインタビューに基づいたドキュメントで,こちらも面白いのでどうぞ.

一人の選手について書かれた本では同じく未知谷の「グレッグ・レモン / サミュエル・アプト」,「ミゲル・インデュライン / クリスティアン・ラホルド」,講談社から出ているアームストロングの自伝「ただマイヨ・ジョーヌのためだけでなく / ランス・アームストロング」を読みましたが,個人的にはアメリカ人初のツール優勝者のレモンの話がおすすめです.自転車王国のフランスでアメリカ人がいじめられるというのが痛快(?)であるのと,猟銃事故からの奇跡の復活,イノーとの確執など,話題が豊富です.アームストロングは癌を克服して現在も勝ち続けている超人ですが,勝ち気な印象がどうも....あと家族の大事さを力説しているのですが最近離婚してしまいました....それに対してインデュラインはあまりに謙遜で語らず,そのせいかクリスティアン・ラホルドの本はインデュラインの出身地スペイン・バスク地方のおとぎ話のようです.ちなみにバスク地方については「南蛮のみち I, II 街道をゆく22 / 司馬遼太郎(朝日文芸文庫)」が面白かったです.

ツールといえば,かつてNHKが総集編を放映していた頃(1980年代後半),BGMにSteps Aheadのアルバム「Magnetic」が使われたことがあり,TrainsやAll the Tea in Chinaといった曲がアルプスの山並みを駆け抜ける自転車の隊列とやけにマッチしていたのが印象に残っています.

Posted: Sat - January 22, 2005 at 11:10 AM              


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