La Pavoni Cellini ファースト・インプレッション

La Pavoni社の最新マシンを入手したので感想など

La Pavoni社の家庭用マシンのNewモデルは電動ポンプ式の高級機でCelliniというシリーズ.その中でもクロームメッキのステンレスボディ,レバースイッチタイプのCLLモデルを入手しました.10kg弱ある重量級マシンです.
特徴は何とも不思議なデザイン.目に相当する2つのゲージですが,左目は抽出圧力,右目はボイラ温度になっています.
家庭用マシンで圧力計(しかもボイラ圧力ではなくて抽出圧力)が付いているモデルはこれまでにいくつかありましたが,温度計が付いているものは私が知る限りありませんでした.マシンとしての特徴をまとめますと,

1) 抽出圧力計,ボイラ温度計
2) 58mm径の業務用サイズのグループヘッド・ポルタフィルタ
3) 3方向電磁バルブ
4) アクティブ・グループヘッド・ヒータ
5) アクティブ・カップ・ウォーマ
6) 取り外し可能な1.2リットル水タンク,水量計つき

という感じです.1)〜3)から,家庭用上級マシンとして必要な機能を備えていることがわかります.さらに4)はグループヘッド周りを電気ヒータで90度に保つ機能で,電源オンからの時間が短くても適切な温度で抽出できるように工夫されています.5)はやり過ぎなきもしますが,天板部分が鉄板でできていて,やはり電気ヒータで暖められています.
タンクは下部に据えられ,給水は天板の1部を外して上から注ぎます.ポンプマシンにありがちなチューブを抜いたりさし込んだりということはいっさい必要ありません.
スイッチはレトロなレバー式のトグルスイッチ(プッシュスイッチのモデルもあります)で,上から電源スイッチ,エスプレッソ/スチーム切り替え,抽出スイッチの3つです.
温度計が付いているからか,パイロットランプの類いは電源オンを示す赤ランプ一つだけで,ポンプ式マシンにはたいてい付いている抽出OKやスチームOKを示すランプはありません.
スチームノズルには「ターボ・スチーム・ノズル」と呼んでいるプラスチックの筒状のアタッチメント,または「カプチーノ・オートマチック」のいずれかを取り付けて使うようになっています.アタッチメントを取り付けない状態では大きな一つ穴のパイプなので,そのままでは使えなさそうです.(先のCCLマシンの写真はカプチーノ・オートマチックが付いている状態.ターボ・スチーム・ノズルはこちらの写真を見てください.)

ということで,2週間ほど使用したところで気がついた点,まずは良かったところを.

1) 圧力計の動作が格好いい
以前,熱交換器式のセミコマーシャル・マシンとしてIsomac Teaを選んで購入した理由の一つは抽出圧力計がついていることでした.抽出時の圧力を確認できるのはもちろんのこと,抽出をストップして3方向バルブを切り替えると圧力計がゼロを指し,安心してポルタフィルタを外せると思ったのです.しかし,実際はバルブを切り替えても圧力計はゼロに戻りませんでした.もちろんバルブは切り替わっているのでフィルタには圧力はかかっておらず,すぐに取り外せます.Isomacマシンは3方向バルブが内部に組み込まれているE61グループヘッドを使っているため,フィルタ側の圧力を測るのは構造上難しいのだと思います.
それに対して,今回のCelliniマシンの圧力計は期待通りの動きをしてくれます.すなわち,ふだんは0気圧を指し,抽出開始と同時に10気圧前後まで上がり,抽出スイッチを切ると瞬時に0気圧に下がるのです.機械式クロノグラフの秒針をリセットした時の動きのようで格好いいです.

2) 温度計はかなり便利
実はこの温度計には目盛りこそあれ,温度の数値がふってありません,ということで,絶対的な温度は測れませんが,何度か試すうちに目星をつけることはできます.この温度計,とくに熱交換器式ではないマシン,すなわちエスプレッソ抽出とスチームとでボイラ温度を切り替えるタイプのマシンで特に有用だと思います.この手のマシンでは,エスプレッソ抽出の後にミルクをスチームし,さらにもう1杯エスプレッソを続けて抽出すると温度が高すぎてひどいものになりがちです.Celliniマシンも熱交換器式ではないので,ボイラ温度はエスプレッソ抽出時98度,スチーム時149度のサーモスタットで制御されてます.すなわち,スチーム後にエスプレッソを続けて抽出するには,ボイラがエスプレッソに適した温度に冷めるまで待つ必要があるのです.この時温度計が役に立ちます.これまでのマシンではエスプレッソ抽出OKのランプ(すなわちヒータがOFFになったことを示すランプ)だけがたよりでした.これでは熱すぎたとしてもわかりません.そのため,エスプレッソ抽出に足りないくらいまで冷めて一旦ヒータがオンになり,さらにもう一度ヒータがオフになるタイミングまで待つ必要がありました.温度計がついているCelliniマシンはあらかじめ目星をつけておいた位置まで目盛りが戻るのを待てばいいのです.
また,コーヒー豆の種類や好みに応じて抽出温度を加減するといった芸当も温度計がついていれば再現性高く可能です.

逆にいまいちな点としては.

3) スチームが無闇に強力.ターボ効きすぎ.ノズルが低すぎ.
ボイラサイズはかなり大型のようで,スチームは強力です.同じPavoniのポンプ式マシン ECLも強力でしたが,それよりも断然すごい勢いで吹出します.特に最初は熱湯の混じった蒸気がでますので,カップで受けていても周りに飛び散り,非常に熱いです.
ステンレスピッチャーにミルクを1/3ほど入れ,ターボ・ノズルでスチームしてみました.ノズルを半分ほどミルクに差し込み,スチームバルブを開くと,見る見るうちに泡立ちます.けっこうきめ細かい泡がいとも簡単にできてしまいます.しかし,あまりに早く泡立ってしまい,10秒もしないうちにピッチャーの口まで泡が来てしまいました.まだミルク全体は十分暖まっていないのです.ノズルを深く差し込んでも泡は止まらないのでどうにもなりません.とりあえずスチームを止めて,再び困りました.ターボ・ノズルは結構長く,ノズルの先端がテーブル面から6cmほどのところなのです.すなわち,ピッチャーからノズルを抜くにはピッチャーをかなり傾けなければいけません....ノズルがささったままの状態でミルクをストローで吸うとかミルクの泡をスプーンですくいとるとか,はたまた10kgあるマシン全体を持ち上げるとか,まっとう(?)な方法はあったのかもしれませんが,1/3ほどミルクをこぼしながらピッチャーを引き抜きました.
スチームの強さはバルブの開き方で調節できるにしても,ノズルの方はどうにもならないので困りものです.

4) リリーフ弁無し? バック・フラッシュがちょっと怖い
コーヒーを抽出していて1つ気になったこと.それはコーヒー粉の細かさによっては軽く12気圧とかまで抽出圧力が上がるのです.先のエントリでも書きましたが,Isomacマシンの場合,リリーフ弁の働きで8〜9気圧より高くはならないようになっています.Celliniマシンにはリリーフ弁がないのかもしれません.Pavoniサイトの製品ページからダウンロードできる分解図を見てもそれらしい部品は見つかりませんでした.これではコーヒー粉が細かすぎた時にどうなるかちょっと不安です.さらに,3方向弁付きのマシンでは必須のバック・フラッシュによる洗浄はメッシュの空いていないブラインド・フィルタをホルダにとりつけてポンプを作動させるので,完全に水の逃げ場がなくなります.Isomacマシンのバック・フラッシュはポンプを作動させっぱなしでも9気圧より上がらないので安心なのです.
ということで,ためしにブラインド・フィルタを取り付けたホルダをCelliniマシンにセットしてポンプを作動させてみました.すると圧力計が10気圧を超えたくらいの所でホルダとグループヘッドの隙間からシューという音とともに水が漏れ始め,13気圧くらいまであがります.怖いのですぐスイッチを切りましたが,ポンプにも良くないような気がします.そもそもブラインド・フィルタは付属していないのでバック・フラッシュは想定していないのかもしれません.

5) 丸っこいボディでつかみ所無し.
フィルタ・ホルダをグループに取り付ける時に強くひねる必要があるわけですが,ボディの形が丸くてつかみ所がありません,いったいどういうつもりかと,カタログを良く見たら,ベース正面の半円形のくぼみに左手親指を差し込んで本体を押さえている写真がありました.なるほど,いちおうは考えているようです.


以上,これまでに気がついた点を列挙しました.で,結局エスプレッソは美味しくいれられるのかというと,もちろんその可能性は有していますし,1万円〜3万円程度の一般的な電動ポンプマシンよりも確実性が高いと言えます.日本では10万円を超える価格になると思いますが,斬新なデザインだけでなく機能的にも突出しており,物欲をそそられるマシンだと思います.ただ,スチームノズルはいただけません.このクラスのマシンを購入候補とする人はラテ・アートにもチャレンジするでしょうから重要です.ぜひシンプルな3つ穴のノズルチップで,先端がもう少し高くなるようなものにしてもらいたいところです.

Posted: Sun - September 19, 2004 at 02:15 AM              


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