簡単に言うと、
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なぜ、この方法が生まれたのか。そして、この方法にはどんな意味があるのかについて述べてみたい。
教師に成り立ての頃、そう今から15年前のこと。職員室でワープロを使っている先生は30人のうち2人だけだった。
「国語の先生がコンピュータで試験を作るのか。手書きじゃないのか。時代は変わったねええ」
と言われたものだ。その当時の愛機はRUPOで、400字がいっぺんに表示できるタイプであった。当時ワープロを使う人は、悪筆の方に多かった。私は書道をやっていたため、悪筆を清書するためにワープロを使うという目的で使っていたわけではなかった。ワープロを使う目的は、
であった。
同じ年代の仲間が書いた作文を読むことは、相互理解のためにも、自分の作品との比較のためにも、自分の作品のモニタリングのためにも必要だと考えていた。そこで、4番であった。中学生の頃は、何が書かれているかではなく、誰が書いたかによって理解が左右されることがおおい。読書論で言えば作家論的な読解をしてしまい、テキスト論、読者論的な読解にはなかなかならない。そこで、彼らの作文をワープロで打ち込みプリントして配ることをしていた。これはこれで成功したと考えている。
しかし、これは想像通り非常に時間がかかる。新卒の頃の教師と言えば学級とクラブと授業だけしていればいいのだが、それにしたって時間が無くなってしまった。そうなると、作文を書かせる指導ができなくなる。いくら新米教師の私だって、作文は実習であり書く時間が少なければ力が付かないことは分かっている。(簡単に相互の作品を鑑賞できるシステムはないかなあ)と考え始めた。
次に考えたのは、作者の名前を隠して印刷してしまう方法である。『どうしても載せて欲しくないものは事前に申し出よ』と指示を出して行った。入力に比べれば楽だが、これも結構大変。何より紙を多く使うので授業をすればするだけ、なぜか事務室に通いにくくなる感じがあった。
簡単に相互鑑賞するシステムの開発も大事だが、私自身が早く読めるようになることも大事であろうと考えて、速読教室にも通った。時間が無くなってまだ全ての講座を受け終わってもいないのに通うのを中断しているが、通う前に比べれば5倍ぐらいは早く読めるようになったのではないかと思う。しかし、私の向上だけではだめで、子どもたちがたくさん作文を書いて、たくさん読むためには、相互鑑賞システムのバージョンアップが必要だった。
さらに考えたのが、廊下に貼ると言う方法である。B4版サイズ一枚に書いた作文を貼るのである。貼るというと、画鋲を使って貼るということを思い浮かべるだろうが、これは違う。廊下のコンクリートの壁に糊で貼り付けるのである。PIT ITという糊で壁に貼り付けるのである。これだと非常に簡単に掲示することができる。剥がすときもペンキを剥がすことはなく、パラッと剥がすことができる。少しだけ糊の跡が残るが、雑巾で拭けば簡単に落ちる。これなら、休み時間に子どもたちが見ることができる。そしてそこで感想の交換が行われる。これは私が入力したり印刷したりしたときには見られなかった現象である。中国の壁新聞から議論が起きるという話を聞いたことがあるが、なるほどなあと思った。
この方法は、実に簡単だが一つ問題があった。廊下の壁面の面積が、学級の生徒全員分を貼るには狭いのである。そこで私が選んだ作品を掲示していた。
書かせれば教師が読む時間がなくなる。書かせないと力が付かない。良い作品があると生徒に読ませたい。生徒に力が付いて良い作品が増えると紹介するのに手間が掛かりすぎる。しかし、教師だけが生徒の良い作品を読んで生徒が仲間の良い作品を読む機会がないというのも問題である。また、できれば作品の感想も貰えるような形式にしたい。「全員の作文が読めて、全員からのコメントが貰える簡単なシステム」に変更したいと更に考えたのでした。
余談開始
『消える授業 残る授業』(明治図書・小西)という本がある。私の授業観を整理してくれた本である。この中で、学校が他の学習環境として優位を保つ条件は次の2点だと示している。
確かにこの2点は、テレビ、インターネット、塾などで学ぶ場合に比べて優位にあると言える。そうだとすれば、この2点を有効に活用した授業を作り出せば、学校の授業が活性化することができると考えられる。書き込み回覧作文は、この2点を含んでいるのではないかと思う。
余談終了
で、たどり着いたのが「書き込み回覧作文」でした。
方法を提示します。

なんのことはない、これはインターネットの世界で行われているメーリングリストの教室版であることに気が付いた。なにもインターネットが無くても、こうしてメーリングリストの面白さは味わえたのである。
匿名で始めた作文指導だが、結果的には名前が表に出た作文指導になっている。これは、生徒の成長と言うよりは、私の指導観の変化なのだと思う。お互いの名前を出しつつ、自分を磨き合える環境を作り出すことが大事なのだと考えるようになったのだ。
【使用上の注意】
ただし、書き込み回覧作文を行う場合、以下のことは厳重に指導しておく必要がある。
ここが守れる自信がないクラスで行うのは避けるべきである。
もともと作文の指導の一環として始めた書き込み回覧作文ですが、今では学級経営などにも役立てています。
「三年生になって」「合唱祭を終えて」「最後の定期テストを終わって」など今の気持ちを書き表す場面はたくさんあります。その時に行います。今、みんなが何を考えているのか、何を思っているのか。自分と違っている人がいる、自分と同じ事を考えている人がいる。それを理解することが学級を成長させる第一歩ではないかと思います。
私の学年では、どのクラスでもこの方法を活用しています。そして、クラスの一体感を作るのに役立っているのではないかと思います。
この方法を私のメーリングリスト仲間の井上秀喜先生が授業で使ってくださいました。そして、主催されているメーリングリストで紹介してくださいました。
引用開始ーーーー
今日は、作文を簡単に生徒全員が読みあう方法を紹介します。この方法は、東
京の八王子市立楢原中学校国語科教諭池田修さんがお考えになったものです。
その方法は《書き込み回覧作文》と池田さんがネーミングしていらっしゃいま
すが、私がどのように活用しているか最初に述べます。
私は、中間・期末テストに作文を課しています。その作文は、百八十字のもの
で、あらかじめ題を二つだしておいて、試験にはそのどちらかを出すことにし
ています。そして、この書いた作文は、国語の時間に読むことを生徒に予告し
ておきます。
そして、テスト作文の部分だけ、うまくコピーして、全員が読んで感想を書け
るワクをつけた用紙を作成します。書いた人の名前はわからないようになって
います。
この作文を、班の中でまわし読みし一言コメントを書きます。班の中で一巡し
たら、次の班に渡し、隣りの班から新しい作文を受け取るようにして全員の作
文を読むことにしています。
これまでの作文指導では、生徒が書いたものを教師が読んでコメントを書いて
返すことが私の場合多かったのですが、この方法なら簡単に生徒同士の交流が
できます。
同じ題名で、友達がどのような作文を書いたかについてもわかるし、友達が書
いた作文を読むのは楽しいらしく、1時間集中して読んでいます。
引用終了ーーーー
いのっちの国語教室 http://sjfreehp.gaiax.com/home/inotti
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さらに、九州大谷短期大学の穴見 嘉秀(あなみ よしひで)さんのML(http://www.hf.rim.or.jp/~yosihide/pygml.htm)でのやりとりを載せます。
引用開始ーーーー
《書き込み回覧作文》の補足説明ありがとうございました。
みなさんにもご活用いただきたく、応援コメントします。
‖井上さん、紹介をして頂いて、ありがとうございます(^^)。
‖単純と言えば単純な方法ですが、子どもたちにはとても人気があります。
‖やはり子どもたちは、仲間の作文が気になるのでしょうね。
池田さんのおっしゃるとおり、生徒たちは喜んで読んでいます。
‖この方法を行ったことで副次的に得られた効果と言えば、
‖
‖1 字を綺麗に書こうとするようになった。
‖2 濃いエンピツを使って書こうとするようになった。
‖3 大きな字を書こうとするようになった。
池田さんは、上の三点の《おまけ効果》をあげてくれましたが、
やってみた感じで言えば、私の場合はまだその《おまけ効果》は
あらわれていません。
‖敷衍して言えば、「読者を意識して作文を書く」ようになったとも言えるのではない
‖でしょうか?
しかし、上の「読者を意識して作文を書く」ようになってきたと
思います。「この作文は、友達全員に読まれるんだ」という書き
手意識がついてきたように思います。
《書き込み回覧作文》の《いちばんの教育的効果》は、お互いの
作文を恥かしがらずに読みあうことのできる雰囲気が形成される
ところにあると思います。生徒の相互理解が深まるよい方法だと
思います。友達の作文を読むのも楽しいし、どんな感想を書いて
くれたか最後に読むのも楽しいわけです。
一時間にたくさんの数の友達の作文を読むわけですから、「そう
か、こう書けばいいんだ」というような書き方の学習にもなりま
す。
最初は、白紙だった生徒も、次第に升目を埋められるようになっ
てきました。とにかく書くという力がつくと思います。
ぜひ、みなさんも《池田さん考案の書き込み回覧作文》をやって
みてください。
引用終了ーーーー
この例は、最後の定期考査である三学期期末考査が終わったあとの学活で行ったものです。
10分で書いて30秒で回覧しました。20分で全員の分を読むことができました。
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