滑 舌 調 音

ア行

青は藍より出でて藍より青し。

赤穂の城と安芸の宮島。

明日(あす)の朝はあすの朝ともあしたの朝とも読める。

慌てる時は粟を食うのではなく泡を食う。

有りとあらゆる所を探したが有れば有るで使ってしまうので金の有ろう筈がな

い。

怪しやと怪しむべきを怪しまず怪しからぬを怪しむ怪し。

 

イ行

威勢のいい医者が椅子にもかけず忙しく動きまわる。

江戸を離れて庵住まいというのも悪くない。

今今と今と言う間に今ぞなく今という間に今ぞなくなる。

言い分(ぶん)があって言おうとしたが威圧されて何も言えなかった。

 

ウ行

憂いぞ辛いぞ勤めの習いで、上野から魚河岸まで夜明け前に収録。

兎は臼の陰から牛小屋を抜けて逃げ失せた。

鰻と雲丹を食べてうんうん唸り出した。

瓜売りが瓜売りに来て瓜売り残し売り売り帰る瓜売りの声。

鵜が鮎を追い合う。

 

エ行

絵を描かない絵描き。

毎度の事ながら前通りに願います。

英国の映画俳優の絵の描いてある絵葉書。

得たりや応と飛び出して得手勝手な事を言って悦に入(い)る。

絵姿になる江刺追分の踊り手を絵師は捜している。

 

オ行

お綾や親にお謝りなさい。

思う人には思われず思わぬ人に思われる。

お願いされれば鬼の目にも涙。

恩愛(おんない)の縁(えにし)に引かるる。

桶を置き忘れて奥でお内儀(かみ)さんに怒られた。

お志しは有難いがお心底が恐ろしい。

お廊下のお隅のお煙草盆にお爪突き遊ばすなというにお爪突き遊ばす。

 

カ行

貨物船の旅客(りょかく)は貨物と一緒で旅客運賃が安い。

潜(くぐ)りつけりゃ潜りいい栗の木の潜り戸だが、潜(くぐ)りつけなけり

ゃ、潜りにくい栗の木の潜り戸だ。

中小商工業振興会議。

鴨米噛みゃ子鴨が粉米噛む、粉米の生噛み粉米の生噛みこん粉米のこ生噛み。

東京都特別特許許可局、日本銀行国庫局。

隣の客はよく柿食う客。

古栗(ふるくり)の木の古(ふる)切り口、菊栗菊栗三菊栗合わせて菊栗六菊

栗。

書きかけ書こうか駆けっこか今日が期限だ書きかけ書こう。

床の釘は引き抜き難い釘、釘抜きで抜くにも引き抜き難い釘。

第五交響曲に観客驚愕。

 

ガ行

崖の上の学校の頑固な学生が、ガラス戸をガンガン叩いてガリガリ先生にガミ

ガミがなられた。

ぐーたらな愚図のグループがぐんぐん群を抜いたので軍人も群衆もグーの音も

出なかった。

乳牛の牛乳と肉牛の牛肉をギュウギュウ詰め込んだので胃の腑がギューとなっ

た。

漁業は漁期に入って遠洋漁業に出たが漁獲競争が激しく漁獲高は少なかった。

 

カ°行

音楽学校の今学期の必須学科科目は各教科協議の結果、美学、語学、国語と確

定しました。

巣鴨駒込駒込巣鴨親鴨子鴨大鴨。

午後の衆議院本会議でイギリスの陸軍問題を取り上げた。

見事な顎髭の老人が名残惜しげに無言で孫の凍える手を握った。

 

サ行

佐賀の佐々木三郎さんと佐渡の佐々佐吉さんが、去る日酒場で皿の鯖を肴に酒

を差しつ差されつしていたとさる人が囁いた。

繻子繻珍。(しゅすしゅちん)

社会情勢と周囲の諸情勢を参照し終始草案再審査の実際の働きに専念せられた

秀才諸氏の意志を重視し、小生は誠心誠意本成案の即時実施に賛成する。

上方僧(じょうほうそう)書写山(しょしゃざん)、社僧(しゃそう)の総名代

(そうみょうだい)、今日(きょう)の奏者は書写じゃぞ書写じゃぞ。

新設診察室視察・最新式写真撮影法。

家の子一人御奉公(ごほうこう)致させたさも致させたし、お茶立てさせたさ

も立てさせたし。

その数珠は増上寺の僧正の数珠。

梨の芯と茄子の芯は茄子の芯と梨の芯だけ違う。

 

タ行

大変達者な足袋屋さん太鼓の代わりに盥をタンタン叩いて啖呵を切った。

この竹垣に竹立て掛けたのは竹立て掛けたかったから竹立て掛けたのです。

「ちょっと立って手伝って頂戴」と言ったので、立った途端「立った序でだ炭

団を取って頂戴」とまた言った。

田泥鰌(たどじょう)畦泥鰌(あぜどじょう)。

暖炉の上の電気時計。

月々に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月。

山王の桜に三猿三下がり、合(あ)いの手と手と手手と手と手と。

鼓(つづみ)と小鼓(こつづみ)を小包(こづつみ)に包む。

止(とど)まらば止めてましと止めても止まらぬ年をいかで止めん。

 

ナ行

長持ちの上に生米生麦生卵。

殿様の長袴・若殿様の小長袴。

親に似ぬ子は鬼子。

成せば成り成さねば成らず成るものを成らぬは人の成さぬ成りけり。

泥鰌(どじょう)にょろにょろ三にょろにょろ合わせてにょろにょろ六にょろ

にょろ。

のら如来のら如来三のら如来に六のら如来。

鉈豆七粒・生米七粒・七粒鉈豆・七粒生米。

京の生鱈奈良生マナ鰹。

隣の子猫は三毛の子猫。

向うの長押(なげし)の長薙刀は誰の長薙刀ぞ。

長町(ながまち)の七曲がりは長い七曲がり。

 

ハ行

橋の端の橋善で蛤鍋八杯食ったらやっと腹八分目になった。

瀕死の使者が渋谷から日比谷へ必死で疾走する。

へべれけに酔払ってへなへなへたばった。

東北放送特派員。

法螺吹きの法螺平うっかり本音を吐いたら、堀の中に放り込まれて這々の体。

武具馬具武具馬具三武具馬具合わせて武具馬具六武具馬具。

伝染病予防病院・予防病室・伝染病予防法。

坊主が屏風に坊主の絵を書いた。

狸百匹箸百膳天目百杯棒八百本。

蛙ぴょこぴょこ三ぴょこぴょこ合わせてぴょこぴょこ六ぴょこぴょこ。

椰子の実を狒が食い菱の実を獅子が食う。

 

マ行

青巻紙・黄巻紙・赤巻紙。

皆々様の見ている御前で右の耳から耳輪を三つ見事に取り出して見せます。

麦ごみ麦ごみ三麦ごみ合わせて麦ごみ六麦ごみ。

目医者と名刺屋は銘々名士に面識が有った。

森の杢兵衛最中をもぐもぐ文句ももぐもぐ、もぐもぐもぐもぐ六もぐもぐ。

お前の前髪下げ前髪・お前の髷は輪髷髷。

スモモも桃も桃の内。

六曲り曲って三曲り曲り。

寝耳に水・馬の耳に念仏。

無理に結んだ結び目六つ。

梅の実も桃の実もみな美味い・ママの見舞いに美味い桃の実もう三つ。

 

ヤ行

闇の山で嫌な奴にあったが、やっとややこしい道を抜けて夜半に宿にやって来

た。

湯屋の歪まぬ湯槽もゆっくり揺すると柚湯がゆったりゆらゆら揺れる。

夕刊で熊野の由来を読んで昨夜熊野の夢を見た。

よき人の吉野よく見てよしと言いし吉野よく見よよき人よく見つ。

世の中は夢と思うも夢なれや夢を迷いと言うも夢なり。

 

ラ行

ラッシュアワーのだらだら坂を下りながら暖房の事・ラクダのシャツ・ラジオ

の団欒などを考えていた。

老練な理論家だけに理路整然と論理的に議論する。

治療中の旅客、最良の料理。

凛々と凛と振ったる小薙刀、一振り振れば敵はちりりん。

踊り踊るなら踊りの道理を習って踊りの道理どうりに踊りを踊れ。

とろろ芋を取る苦労より、とろろ芋からとろっとするとろろ汁を取る苦労。

虎を捕るなら虎を捕るより鳥を捕り鳥を囮に虎を捕れ。

五郎が五両で十郎が十両。

 

ワ行

笑わば笑え妾は笑われる謂れは無いわい。

岩井はお岩へお祝いを言う、お会いしてお祝いを言うわ。

儂の家のわしの木に鷲が止まったから儂が鉄砲で鷲を撃ったら鷲も驚いたが儂

も驚いた。

我が国の瓦私の俵。

藁縄では罠には弱いわい・岩を結わえる縄も藁縄では弱いわい。

 

* 参考にした朗読講習会用のテキストには、活舌調音とあるが、ATOKでは滑舌が出るため、タイトルは滑舌とした。