生徒指導論文

タイトル:『「ほめる」を活かす生徒指導の考察 ー家本芳郎の『子どもの心にひびくほめ方・叱り方』を中心にー』
発表雑誌:東京学芸大学 「国語国文学」2004.3所収 レフリー付き学術論文
 

 

以下に、要旨とPDFによる全文を掲載します。御批判いただければ幸いです。



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要 旨

 

    家本芳郎の生徒指導の「ほめる」実践から、現状の子どもに合った計画的段階的な「ほめる」理論を明らかにした。

     従来の「ほめる」指導は、性別、発達段階など子どもの特質に応じたものが主であった。しかし現状の、ほめられる事を望みながら一方で自信を無くし、一方で無根拠な自信を持つ子どもたちには有効でない。この課題を解決する手がかりを与えるのが家本の実践である。

     家本の著作は2003年4月15日現在で、企画中も含めると単著63冊、共著52冊、編著34冊、共編著70冊、企画・総編集・監修87冊の計306冊あり、学校教育の現場で大きな支持を得ている。ところが、家本実践を研究対象とした論文は、2003年11月30日現在、国会図書館では見当たらない。そこで本稿で家本実践の再評価を行うことにした。

    本稿では、先行研究の成果を次の4つの柱から学んだ。@依田新、重松鷹泰、依田明らの「ほめる」の定義の変遷。A関計夫、大野清志らの、教師が何をほめているのかの調査。B金子書房『児童心理』での近年の「ほめる」研究の傾向。C学校教育におけるほめ方指導の特徴を、教科指導では国語科の亀村五郎「赤ペン」によるほめ方や英語科の中嶋洋一の机間巡視などに求め、生徒指導では大石勝男、江川王文成らの考察によって概観した。

    家本は「ほめる」ことは「教育の大前提」であり、「教師の指導的力量の柱の一つ」としている。これを受けて筆者は、家本の「ほめる」指導の特徴を5点に分類し、論及した。即ち、@「ほめる」の基本的な立場は、目的を持って方針を立て、計画的段階的指導を行うことにある。Aさまざまなほめ方として、言葉、電話、動作、表情、もの、文章、掲示の7つの方法と豊富な事例がある。Bいつ「ほめる」かでは、すぐに、途中で、終了時点で、前もってと生徒の事実に寄り添いながら「ほめる」。Cどこで「ほめる」かでは、その場で、みんなの前で、匿名で、職員室で、家庭訪問で、なにげない会話の中でなど、多くの人に分かってもらえるように「ほめる」。D何を「ほめる」のかでは、特に「1.その子どもなりの尺度でほめる。2.結果よりその過程をほめる。」である。

    以上の分析により、家本芳郎の生徒指導の実践には、従来のほめ方指導とは違う「子どもの自己実現のための自主能力を育てる」という指導目標に向かって、診断的、形成的、総括的に行う計画的段階的な「ほめる」理論があると論究した。

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