偶然の一致 


 村上春樹の『東京奇譚集』(新潮社)を読み始めた。出版されてすぐに書店に立ち寄った時に手に入れようとしたら息子からメールが届いた。僕が買うから、と。それで数日、読むのが遅れた。 

 僕は、ふとこう考えた。

「偶然の一致というのは、ひょっとして実はとてもありふれた現象なんじゃないだろうかって」(p.41

 (この「僕」が村上春樹であるのがおもしろいと思った)

 日常的に起こっているけれども、大半は見過ごしているだけである。真っ昼間に打ち上げられた花火のようだ、と「僕」はいう。

 続きを読むのが、楽しみである。

 ここで問題にされる「偶然の一致」については、僕は著書の中で考察した(『不幸の心理 幸福の哲学』pp.203-5)。このような偶然の一致が続いて起こることから、何か大きな力が人生を導いているかのように感じ、運命があらかじめ決まっているとまで思う人がいる。

 このようなことを否定しないまでも、問題は、運命を信じるようになった人が、期待とは違った結果に終わる経験をした時である。アルフレッド・アドラーは、勇気をくじかれ、重要な支えを失った結果、うつ状態になることもある、といっている(『個人心理学講義』pp.130-1)。

東京奇譚集
村上 春樹
4103534184
 

Posted: 日 - 9月 18, 2005 at 10:48 午後          


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