あなたが私に希望を 


 ある人がアドラーにいった(エドワード・ホフマン『アドラーの生涯』p.402)。 

「私が病気になったのはあらゆる希望を失ったからだ。あなたが私に希望を与えてくれた」

 統合失調症の少女の父親に主治医が「回復の見込みがない」といった。居合わせたアドラーはいった(ibid. p.353)。

「いいかい、聞きたまえ、どうして我々はそんなことがいえるだろう? これから何が起こるか、どうしたら知ることができるだろう?」

 僕が長年アドラーの本を訳したり、アドラーについて書いたりしているのは、上の発言に見られるような楽観主義にある。諦めるのはある意味、簡単である。不治であることを納得するためにこれでもかというくらい証拠を過去に溯って、医学的に懇切丁寧に説明されたとしても、本人も家族も納得できないし、絶望の淵に沈むばかりである。治療者はそんなことをしてはいけないと思う。 

Posted: 金 - 9月 2, 2005 at 04:56 午後          


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