『駱駝はまだ眠っている』(砂岸あろ、かもがわ出版) 


 1970年代初め、烏丸今出川にあった喫茶店「駱駝館」に集う人々の織り成す人生模様。 

 小説としてはあまり洗練されているようには見えないのだが、京都の地名はわかり、交わされる京都ことばによる会話もわりあい自然で、学生の頃を思い出し、懐かしい気持ちになった。

 タイトルの「駱駝」に才能や可能性といった意味を込められているのだという。才能や可能性は開花しなければ意味がないという考えもあるだろうが、現実にばかり目が向くと、夢を持つことはできない。

 たしかに自分の才能を信じ、また同時に疑い、夢は現実によって破られるとしたり顔をして話す大人を軽蔑していた頃があった。そんな自分を誇りに思っていたし、今も気持ちは変わらない。

「読み終わって考えました。らくだの眠る場所は、この日本にあるのか?」(鶴見俊介、帯)

駱駝はまだ眠っている
砂岸 あろ
4876998876
 

Posted: 水 - 8月 24, 2005 at 07:35 午前          


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