百鬼夜行抄(13)(今市子、朝日ソノラマ)
『百鬼夜行抄』の新刊。四季折々に妖魔あり。
文庫で全部、読むほど夢中になった。文庫に収められていない作品についてはコミックス版(というのかわからないのだが)でその一部を読んだ。長く忙しくしていて余裕がなかったのだが、過日、通りかかった書店で13巻を見つけた。 どこからでも読めそうなものだが、登場人物についての知識がないとわかりにくいかもしれない。ストーリーも複雑なことがあり、読み返すことがある。 コミック版には文庫版にはない作者のメイキングコミック(というのかわからないが)があっておもしろい。ストーリーを考え出すのに苦労されている様子が伝わってくる。 しかし、想像だが、ここまで書き継ぐと登場人物の一人ひとりが人格を持っているかのようになっているようにも思う。『ガラスの仮面』の作者である美内すずえは、『宇宙神霊記』(学研)の中で創作の秘密を語っている。締切が迫り睡眠時間を削って一生懸命アイディアを練る時、最初は集中することはできない。肩は苦しい頭を痛くなる。ところがある瞬間から先になると体の感覚がポンとなくなり(「壁一枚を超える」と表現されている)、クリーンな精神状態になるそうである。すると汲めども尽きぬ泉のごとく、アイディアやネーム(吹き出しのせりふ)が湧き溢れてきて、心に浮かんでくるものをただ紙の上に描いていくだけでいいことになる。 これは美内すずえのことだから今市子に妥当するわけではないだろうが、レギュラーメンバーの一人ひとりについては(妖魔を一人とカウントするのかわからないが)、いきいきしているので、その後の彼(女)の消息を知りたくて続きを読みたくなるくらいである。 飯島律は見えないものが見えるわけだが、こういうことが実際にあれば、ずいぶん困ったことになるだろうと思う。人が病気になるのは何かに憑かれているからということになると、普通の方法では治療できないことになる。 母が病に倒れた時、父は知人に物置の掃除をするようにいわれたという。そのことと母の病気に何か関係があるのかといったが、納得できる説明は返ってこなかった。でも、後に掃除をしたらいわれたとおり、古い臼が出てきたといっていた。それが母の病気の原因だというのである。もちろん(といっていいと思うのだが)だからといって母の病気は改善しなかった。よく練られたストーリーに感心するとともに、こんなことをふと思い出す。百鬼夜行抄 (13)今 市子
Posted: 月 - 8月 22, 2005 at 11:02 午後