吉岡忍『墜落の夏』(新潮文庫)
今年は日航123便ジャンボ機墜落事故から20年になるということで新聞、テレビで特集が組まれた。
尼崎の脱線事故があった時、僕はこの本のことを思い出した。吉岡が事故直後大阪市内の電車の必ずといっていいほど喪服姿を見たと書いてあったことが頭をよぎったのである(p.156)。直接の親族、知人が脱線事故に巻き込まれはしなかったが、何人かの人から、実は、と近しい人が事故で亡くなられたり、負傷したという話を聞いた。20年前の事故の時、多くの人が吉岡が見かけたのと同じ光景を見たであろう。他人事ではないのである。 長年にわたってこの墜落事故関係の本をたくさん読んだので、事故の原因追求については少し物足りなさを感じたものの、極限状況においても「人間の輝き」(p.179)を失わなかった人たちのドラマが描かれているという意味で、この事故について知らない人が最初に読む本として推したいと思う。 こんな事故がなかったら、犠牲になった方々が、愛する人と持つことができたであろう美しい時間
を奪われたことを思うと本当に惨いことである。
Posted: 土
- 8月 13, 2005 at 05:05 午前