10月に捻出できた4連休だったが台風が接近中。運を天に任せそれに逆らうように僕らは出港した。
 毎年このシーズンには南の島へ渡るツーリングをしている。昨年と一昨年は屋久島を訪れた。今年はさらに南下しようということになり、鹿児島の南南西約380キロメートルに浮かぶ奄美大島に目的地を決めた。
 今回の旅には3つのイベントを盛り込んだ。一つ目は「マングローブ探検ツアー」で、二つ目は「シーカヤックショートツーリング」、そして三つ目は「本場奄美鶏飯とヤギ汁を食す」というものだ。もちろん美味しい魚は食べたいし、大島一周もしてみたいのだが、これらはついでにできればいい。とにかく先の3つ
のイベントは何とかクリアしたいものだが、出発の3日前になって熱低が台風に発達してしまい、僕らが上陸する10月8日の午後には奄美大島に最接近するというのだ。
 10月7日のフェリーが出港できなければ今回の旅はキャンセルになってしまう。福岡からやって来た、今回の旅の連れである友人の加トさんと、とりあえず港まで行ってみることにした。
 フェリー会社によると予定通り出港するとのこと。だが、今後の台風の進路しだいでは復路のフェリーが欠航になる可能性もあり得るとのことだった。が、しかし出港するのであれば乗船しない手はない。僕らの予想では台風は東側に反れるはず。
北埠頭から出港する奄美海運の「フェリーあまみ」台風22号接近で運航が危ぶまれたが、無事出港。
出港予定時刻の17時50分を1時間ほど遅れて奄美海運「フェリーあまみ」は北埠頭の岸壁を離れた。平日でしかも台風が接近中ということもあって客室には余裕があり静かだっ
喜界島の湾港。名瀬港に入港前ににこちらに立ち寄る。風が強く小雨が降っている。奄美もこんなものだろうか。
た。同上した中学校の修学旅行の一行が賑やかなくらいだった。
 錦江湾を抜け太平洋にでると時化で船が揺れはじめる。船酔いはしにくい方だが、乗船前に売店で買った缶ビールを2本空け、シェラカップで芋焼酎を呑んでいるとアルコールにほろ酔ってしまった。船内の食堂でトンカツ定食を食べて、部屋に戻り焼酎の続きを呑んでそのまま横になった。揺れがゆりかごのように感じたのは僕だけだったようだ。友人
はそうではなかったらしい。僕は途中何度か目が覚めたが、揺れにまかせてまた眠りこんでしまった。
 薄暗く重い雲が垂れ込める早朝にフェリーが喜界島の湾港に入港するアナウンスがあった。デッキに出てみると風が強く、霧のような小雨が吹き付けてくる。修学旅行の一行はここで下船していった。しばらくして湾港を離れフェリーは次ぎに停泊する名瀬港に向かった。それから波に揺られて2時間ほどして名瀬港入港のアナウンスがあり、僕らはレインウェアを着込んで下船の準備をした。ゆっくりと岸壁へのスロープを降りて2台のオートバイは奄美大島に上陸した。落ちてくる雨で瞬く間に僕らは濡れていった。風が強いので雨が打ち付けてくる。まずはこの後どうするかを決めねばならないので雨を避けられる場所を探して街中
を流した。奄美博物館の案内標識を見かけ、そこに行くことにした。まだ早い時間だったが博物館は開館しており、団体ツアーの客が何人か出てきた。マングローブ体験ツアーの集合時間までには十分な余裕があったが、この雨の中ではうろうろもできそうにない。時間潰しを兼ねて博物館を見学することにした。300円の入館料を払うと記念のしおりをくれた。
 博物館は3つのフロアーで構成されていて、奄美大島の自然、歴史と民族、海の文化が整然と展示してあり、中々興味深いものだった。
 そうなのだ、51年前までここはアメリカだったのだ。昨年復帰50周年記念の式典があったことを思い
出した。
 予定を変更し、道の駅に向かうことにして博物館を後にした。風雨が気持ち強くなったような気がした。この後は一つ目のイベントが控えている。大丈夫だろうかという不安もよぎったが、何とかなるかなといういい加減な考えもあった。
 雨に濡れた路面に注意を払いながら僕らは国道58号を南へ向かってオートバイを走らせた。
雨を避け、ルートを検討するために立ち寄った博物館。建物は写真から切れているが、左側にある。
●奄美博物館/名瀬市長浜町517 9:00〜16:00
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