壁石の中の渦


街の中で大理石の壁を見るとつい古い生き物の痕跡を探してしまう。




駅ビルのトイレ近くにあるヘアサロンの前で、娘が出てくるのを待ちながら赤っぽい石の表面を眺めているとき、この渦の存在に気がついた。直径2cmほどの小さなアンモナイト。人の流れが多く注目されるだろうという自意識に蓋をして、壁すれすれにカメラを向け撮影する。研磨された表面は照明をはじき、レンズを通さなければわからない光の固まりが写り込む。

化石は石の中に刻み込まれた時間を感覚として伝えてくれる。生物が石に変化してしまうほどに長い時間を。海の中の死、堆積、圧力、変成、置換、隆起、そして人に掘削され、海を超えてここにある。一瞬、意識はその渦の中に引き込まれている。

Posted: (水) - 2 4, 2009 at 12:23           |


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