森有正の本棚
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森有正について
1911年東京に生まれ、76年にパリで世を去った森有正(もりありまさ)。彼の人 生、彼の思索が、いつまでもぼくの道標であり続けるように、またそんな自分を忘れないように、この本棚を公開します。
自分自身のための小さなスペースですが、もしかすると、Chez Takahashi を訪ね て下さる方のなかには、ここを気に入って明日の読書の参考にされる方もあるかも しれません。そうなると嬉しいのですが(よろしければ、「私の森有正ノート」もどうぞ。ダウンロードのページでは「森有正 略年譜」も公開しています)。
ぼくのお薦め
筑摩書房から待望の刊行です。『森有正エッセー集成』全5巻。かつての全集を再編集したものですが、彼を一番よく知ると思われる二宮正之さんの手になるものですから、遺漏はありません。巻末に置かれた解説もそれぞれに味わい深く、人選の見事さに敬服します。
森有正による森有正入門として、『生きることと考えること』(講談社現代新書)。森の思想をよく知る聞き手の質問に答える形で一冊が編まれています。読みやすさ、わかりやすさでは一番かもしれません。
そして残念なことに、これぞ! という森有正論はいまだ現れていません。森の密度の濃い文体と比較するとどんな森有正論も浅薄に思えてしまい、読み通すのさえ苦痛になります。
なかでは、いさぎよく手紙文の形で森有正への思いを率直に語った田辺保さんの「森有正への手紙」(『光は暗きに照る』所収)が良い。ただし、本屋さんの棚には並んでいないかも。
森の素顔、あるいは一面を知るには、朝吹富水子さんやディアーヌ・ドゥリアーズ、栃折久美子さん、妹さんの関谷綾子さん、文字通りの親友であった木下順二さんのエッセーを読むこと。
もっとも美しいのは、森有正最後の日々を二宮正之さんが敬愛を込めて綴った「詩人が言葉をうしなうとき」(『私の中のシャルトル』(ちくま学芸文庫)所収、筑摩書店)。何度も何度も読み返し、もはや文字ではなく映像として、ぼくの脳裏に焼き付いてしまっています。
森有正を論じた著作
- 杉本春生『森有正論』、湯川書房、昭和47年9月
- 杉本春生『森有正─その経験と思想─』、花神社、1978年9月
- 辻邦生『森有正...感覚のめざすもの』、筑摩書房、1980年12月
- 佐伯守『自己と経験─森有正の世界から─』、晃洋書房、1994年11月
- 佐古純一郎『森有正の日記』、朝文社、1995年2月
- 栃折久美子 『森有正先生のこと』、筑摩書房、2003年9月
- 上田薫『コギトへの思索─森有正論─』、江古田文学会、2008年1月
森有正に関する論考を含む著作
- 中村真一郎『読書は愉しみ』、新潮社、1979年7月
- 海老坂武『戦後思想の模索』、1981年2月
- 鑪幹八郎『アイデンティティの心理学』(講談社現代新書)、講談社、1990年9月
- 沢英彦『文学の草の根─漱石から有正へ─』、沖積舎、1991年10月
- 饗庭孝男『経験と超越』、小沢書店、1994年5月
- 小田島本有『語られる経験─夏目漱石・辻邦生をめぐって─』、近代文藝社、1994年7月
- 渡邊一民『フランスの誘惑...近代日本精神史試論』、岩波書店、1995年10月
- 伊藤勝彦『天地有情の哲学』(ちくま学芸文庫)、筑摩書房、2000年4月
- 二宮正之『私の中のシャルトル』(ちくま学芸文庫)、筑摩書店、2000年7月
- 三浦信孝編著『フランスの誘惑・日本の誘惑』、中央大学出版部、2003年10月
- 西川長夫『日本回帰・再論』、人文書院、2008年7月
雑誌特集
- 「展望」1976年12月〈第216号〉、筑摩書房
- 木下順二「森有正よ」
- 辻邦生「森先生との出会い」
- 「展望」1978年8月〈第236号〉、筑摩書房
- 森有正「黄昏のノートル・ダム」
- 西川長夫「旅の思想」
- 中村雄二郎「森有正が遺したもの」
- 「ちくま」1982年2月〈No.131〉、筑摩書房
- 木下順二・朝吹登水子「対談/魅力に富む人・森有正」
- 西永良成「森有正の『日記』」
森有正に一部で触れている著書
- 伊藤勝彦『デカルト』(センチュリーブックス)、清水書院、1967年12月
- 加藤周一『羊の歌』、岩波新書、1968年8月
- 野見山暁治『四百字のデッサン』、河出書房新社、1978年1月
- 田辺保『光は暗きに照る』、日本基督教団出版局、1978年7月
- 朝吹登水子『パリ、その日その時』、人文書院、昭和54年11月
- 木下順二『寥廓』、筑摩書房、1980年9月
- 関谷綾子『一本の樫の木──淀橋の家の人々』、日本基督教団出版局、1981年12月
- 木下順二『本郷』、講談社、1983年3月
- 佐々木孝次『蠱物としての言葉』、有斐閣、1989年10月
- 木下順二『木下順二対話集 人間・歴史・運命』、岩波書店、1989年12月
- 荒木亨『鎖国の日本語』、木魂社、1989年12月
- 木下順二『歴史について』、講談社文芸文庫、1990年3月
- 栃折久美子『装丁ノート/製本工房から』、集英社文庫、1991年1月
- ディアーヌ・ドゥリアーズ(平井啓之・梅比良眞史訳)『恋する空中ブランコ 乗り』、筑摩書房、1991年1月
- 辻邦生『時刻のなかの肖像』、新潮社、1991年5月
- 今橋映子『異都憧憬 日本人のパリ』、柏書房、1993年11月
- 蜷川譲『パリに死す...評伝・椎名其二』、藤原書店、1996年9月
- 石井好子『私は私』、岩波書店、1997年8月
- 不和de民由『教育に関する私の方法叙説』、新風舎、2000年3月
- 関屋綾子『ふり返る野辺の道』、日本基督教団出版局、2000年8月
- 宍戸修『高田博厚の空間と思想──その人間と思想の謎を探る──』、相模書房、平成12年11月
- 谷川多佳子『デカルト「方法序説」を読む』(岩波セミナーブックス86)、岩波書店、2002年6月
- 田辺保『パスカル 痛みとともに生きる』(平凡社新書)、平凡社、2002年11月
- 濱口惠俊、金子曉嗣『寅さんと日本人』、知泉書館、2005年7月
- 伊藤勝彦『最後のロマンティーク 三島由紀夫』、新曜社、2006年3月
- 大久保喬樹『洋行の時代』(中公新書)、中央公論社、2008年10月
森有正関連の論文・エッセイなど
- 小塩節『朝の光のさすときに』、日本基督教団出版局、1977年9月
- 平野幸仁「森有正における<西欧>と<日本> 」(「横浜国立大学人文紀要. 第二類, 語学・文学」27巻所載)、横浜国立大学、 1980 年11月
- 伊丹十三「解説」〈『日本のことばとこころ』(山下秀雄著)所収〉、講談社学術文庫、1986年10月
- 中村真一郎『火の山の物語』、筑摩書房、1988年11月
- 竹内真澄「三人称としての社会科学」(季刊「窓」第11号所載、窓社、1992年
- 渡辺芳敬「エトランゼの行方」(「ふらんす」所載)、白水社、1992年4月~1993年3月
- 大江健三郎『同時代としての戦後』(文芸文庫)、講談社、1993年10月
- 江村裕文「『変貌』に『国際化』を読む ─森有正ノート1─」、法政大学国際文化学部企画広報委員会、1995年3月
- 柏倉康夫「森有正と椎名其二」(月刊「機」所載)、藤原書店、1996年12月
- 釘宮明美「経験と時間(一)──森有正『バビロンの流れのほとりにて』連作」(季刊「現代文学」第55号所載)、 「現代文学」編集委員会、1997年7月
- 萩原俊治「森有正の『経験』」(「大阪府立大学紀要 人文・社会科学」通号45 所載)、大阪府立大学総合教育研究機構、1997年
- 水田信「森有正とマルティン・ブーバー─人称論をめぐって─」(「比較思想研究」通号26別冊所載、1999年)
- 二宮正之「グローバライゼイションに対する森有正の思想」(「ちくま」通号353所載、2000年8月)
- 釘宮明美「 森有正における『経験』の生成 ─『バビロンの流れのほとりにて』連作を中心として」(季刊「現代文学」第62号所載)、「現代文学」編集委員会、2000年12月
- 小黒庸光「森有正資料研究 ─年譜、書誌、関係文献、同各種索引の編成、統括─」(私立大学図書館協会会報 115号)、私立大学図書館協会、2001年1月
- 久米あつみ「ことばと思索 ─森 有正再読─」(帝京大学外国語外国文学論文集 第7号/第8号/第9号/第10号所載)、2000年/2001年/2002年 /2003年
- 釘宮明美「森有正における『経験』の構造」 ─『アブラハムの生涯』を重ねて 」(季刊「現代文学」第63号所載)、「現代文学」編集委員会、2001年7月
- 鈴木宣則「森有正と日本の政治改革」(「鹿児島大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学編」所載)、鹿児島大学、 2001年10月
- 釘宮明美「森有正における「経験」の創造(上)─芸術・思想・定義」(季刊「現代文学」第65号所載)、2002年7月
- 釘宮明美「森有正──「経験」と信仰」(「福音宣教」二月号所載)、オリエンス宗教研究所、2004年2月
- 工藤孝司「森有正ノート─「もの」をかこむ沈黙へ─」(「滋賀文教短期大学紀要〈13〉」、2005年1月)
- 森田美芽「森有正とキェルケゴール──主体性と他者性についての一の試み」(「同志社大学ヒューマン・セキュリティ研究センター年報」No.3所載)、萌書房、2006年
- 萩原俊治「ドストエフスキーと『最初の暴力』──外国語の他者性と催眠術としての物語──」(『人間科学:大阪府立大学紀要』No. 2、2007。http://book.geocities.jp/ifujii3/ よりダウンロード可)
- 釘宮明美「森有正の「経験」思想 : 存在論的証明の理解の変遷森有正の「経験」思想 : 存在論的証明の理解の変遷 」(「宗教研究宗教研究」Vol.80, No.4所載)、日本宗教学会、2007年3月
- 細谷昌志「森有正論 ─感覚・経験・思想─」(「日本の哲学」第9号所載)、昭和堂/日本哲学史フォーラム編、2008年12月
- 釘宮明美「森有正の『経験』思想における信仰」(『キリスト教をめぐる近代日本の諸相──響鳴と反撥』所収)、オリエンス宗教研究所、2008年
- 萩原俊治「ドストエフスキーと『最初の暴力』(承前) ──共通感覚について──」(『人間科学:大阪府立大学紀要』No. 3、2008。http://book.geocities.jp/ifujii3/ よりダウンロード可)
森有正の著作
- 森有正全集全14巻・補巻1、筑摩書房、1978年6月~1982年2月
- 第1巻 バビロンの流れのほとりにて/流れのほとりにて
- 第2巻 城門のかたわらにて/砂漠に向かって
- 第3巻 遥かなノートル・ダム
- 第4巻 旅の空の下で
- 第5巻 木々は光を浴びて
- 第6巻 現代フランス思想の展望
- 第7巻 近代精神とキリスト教
- 第8巻 ドストエーフスキー覚書
- 第9巻 デカルトの人間像
- 第10巻 パスカルの方法
- 第11巻 パスカルにおける「愛」の構造
- 第12巻 経験と思想 雑纂
- 第13巻 日記I
- 第14巻 日記II・アリアンヌへの手紙
- 補巻 補遺
- 『パスカル-方法の問題を中心として-』、要書房、昭和24年9月
- 『思想の自由と人間の責任』(新文化叢書)、日本評論社、昭和25年4月
- 『言葉 事物 経験...森有正対話集』、晶文社、1968年3月
- 『現代の省察』、春秋社、1969年11月
- 『生きることと考えること』、講談社現代新書、1970年11月
- 『近代精神とキリスト教』、講談社、昭和46年1月
- 対談『人間の原理を求めて....揺れ動く世界に立って』(小田実との共著)、筑摩書房、1971年4月
- 『デカルトとパスカル』、筑摩書房、昭和46年6月
- 『ルソン ド ジャポネ...日本語教科書』、librairie TAISHUKAN、1972年
- 『現代のアレオパゴス』、日本基督教団出版局、1973年6月
- 『土の器に』、日本基督教団出版局、1976年6月
- 『内村鑑三』、講談社学術文庫、昭和51年9月
- 『いかに生きるか』、講談社現代新書、1976年9月
- 『遠ざかるノートル・ダム』、筑摩書房、昭和51年12月
- 『セーヌの辺で』、毎日新聞社、1977年2月
- 『光と闇...森有正説教・講演集』、日本基督教団出版局、1977年5月
- 『経験と思想』、岩波書店、1977年9月
- 『アブラハムの生涯...森有正講演集』、日本基督教団出版局、1980年11月
- 『森有正対話篇I』、筑摩書房、1982年9月
- 『森有正対話篇II』、筑摩書房、1982年10月
- 『古いものと新しいもの』、日本基督教団出版局、1986年4月
- 『思索と経験をめぐって』、講談社学術文庫、1986年7月
- 『ルオー』(高田博厚との共著)、レグルス文庫、1990年7月
- 森有正エッセー集成全5巻(ちくま学芸文庫)、筑摩書房、1999年6月~10月
- 1 バビロンの流れのほとりにて/流れのほとりにて/日記 1954年5月18日~57年5月20日
- 2 城門のかたわらにて/砂漠に向かって/日記 1959年3月15日~60年11月20日
- 3 遙かなノートルダム/黄昏のノートルダム/遠ざかるノートルダム/日記 1961年5月4日~68年1月2日
- 4 旅の空の下で/リールケのレゾナンス/アリアンヌへの手紙/日記 1968年1月3日~69年9月20日
- 5 木々は光を浴びて/故国の情感/三十年という歳月 ほか/日記 1970年1月7日~76年8月6日
森有正の翻訳
- アラン『わが思索のあと』、思索社、昭和24年3月
- パスカル『田舎の友への手紙』、白水社、昭和24年3月
- F.ストロウスキー『フランスの智慧』(土井寛之との共訳)、岩波書店、1951年7月
- アンリ・ペリュショ『ゴッホの生涯』、紀伊国屋書店、1981年11月
- アラン『定義集』(所雄章編)、みすず書房、1988年5月
- リルケ『フィレンツェだより』、ちくま文庫、2003年3月
森有正の演奏(パイプオルガンと話)
- 『思索の源泉としての音楽』(CD)、日本フォノグラム、1977年
- 『森有正、バッハを語りバッハを弾く』(「魂の音楽 J.S.バッハ全集」Bonus-CD)、ユニバーサル ミュージック(株)
その他
- 浅野順一編『死の理解....論文集』、新教出版社、1946年5月
- 加藤周一『運命』、大日本雄辯会講談社、昭和31年5月
- 伊藤勝彦『対話・思想の発生』、番町書房、昭和42年11月
- 中川秀恭編『森有正記念論文集─経験の水位から─』、新地書房、1980年9月
- 朝日クロニクル「週刊20世紀 [テーマ編]3 ぜいたくの100年」(通巻33号)、朝日新聞社、1999年9月19日
- 栃折久美子『モロッコ革の本』(集英社 e文庫)、集英社、2001年1月
- 釘宮明美「書物の窓から ─キリストの招きに生きた人々─」(CD)、キリスト教放送局、2004年
- 森有正著「本居宣長を繞って思うこと(原稿)」(『21世紀の本居宣長』所収)、朝日新聞社、2004年
高田博厚による森有正
- 『バビロンの流れのほとり』と共に、「心」、1957年9月号
- 『城門のかたわらにて』、「週間読書人」、1963年8月19日
- 『遥かなノートル・ダム』、「週間読書人」、1967年6月12日
- 「南仏にて」、「ちくま」、1971年2月号
- 「対話」(森有正との対談)、「草月」(97号)、1974年12月
- 「森有正の死」、東京新聞、1976年10月某日付
- 「森有正と私」、「文藝」、1976年12月号
- 「隣人有正よ」、月刊「エコノミスト」、1977年1月号
- 「森君へ」、「共助」、1977年9月号
Web資料
- 「森 有正とR.M.リルケを読む」(古書・東林)
- 「ランプの火影」(Yoz Home Page)
- 「森有正語彙集」(古書・ヨナ書房)
- 「文化としての言葉──あなたと私の世界」(和光大学総合文化研究所)
- 「森有正エッセー集成 索引」(烏兎の庭)
年譜