アートフォーラム

 鶴岡市に今秋、待望久しかった美術展示会場としてオープンしたアートフォーラムを初めて訪れたのですが、ちと寒々していましたね。近未来的で悪くはないんだけど、そっけない。
 金属的。最近造られている公立の小中学校が木をふんだんに使って温かくて柔らかい印象を持つのと対照的。街造りの大きなビジョンの中でどういう位置づけをされ、設計の方向性が決まったものなのか、疑問無しとしません。
 比較するのもナンだけど、酒田市美術館の場合は絶好のロケーションの中で建物も周囲とよく調和して、そこに身を置くだけで、心の「凝り」がほぐされる感じがします。レストランの窓際の席で珈琲を飲みながらボーッとするだけでも価値があるのです。そういう働きが、アートフォーラムには無い。
 ところで、昨日見た「田川児童生徒図画作品展」。小さな子供たちの作品はいつ見ても自由奔放で楽しい! このまま大人になれたらと思うのだけど、もちろんそうはいかず、高学年になるとよくも悪くも上手になってきます。
 ひとつ気付いたことがあって、これは娘の作品も含めてのことですが、特に中学生の場合、アニメの影響が出てきているような気がするのです。ほら、宮崎アニメの背景って絵画的でしょう? とてもリアルだし。ああいう雰囲気を持った絵がちらほら見られて、とてもいいんだけどあと一歩足を踏み出す(踏み外す)と別のジャンルの作品になる──と感じられる作品が出てきている。そんな気がする。

iPod shuffleを買いました

 や、やっとこさ iPod shuffle を買いました。少し溜まってたポイントを使って。512MBモデルを。1GBは在庫がなかったので。
 ちっとも自慢にならないんだけど、今じゃコンビニでも売ってる iPod がなかなか買えなくてね。でもようやく手にしてみると、いつでもどこでも音楽が聴けるって、やっぱり嬉しい。最近聴く機会が減っているクラシックも、 iPod があると聴けるような気がします。iTMSへの投資がますます増えるな〜。
 そのためばかりじゃないけれど、この頃はワイシャツも自分でアイロンかけてますよ。クリーニング代もバカにならないし(じつは、ぼく、クリーニング屋に勤めてるんですけど)。

優しい強さ

 「ハウルの動く城」をようやく見終えました。傑作だワ、これ。参りました。
 難しいんですけどね。分かろうとすると難しい。ただ純粋に感じればいいんだろうけどな。だから、たぶん、子供の方が楽しめるし、このアニメの心にすんなり入っていけるんだろうと思う。
 宮崎アニメにしては(宮崎アニメだから!)公開時からさまざまな議論をよんで、批判的な声も多かったこの作品。ストーリーは複雑で不自然。結末は短兵急。キャスティングも疑問。誰もが称賛したのは音楽だけという感じだったと思いますが、いや、なに、それは感じる心が枯れていただけだよ。
 荒地の魔女をさえ慈しむソフィーの優しさ。優しさの強さ。魔法を解き、こころを静め、争いを平らかにしたのは、ソフィーの優しい強さでしたね。もっともっとそのことを、みんなに感じて欲しいと、強く思いましたよ。

ハウルの動く城

 予約していた「ハウルの動く城」が届きました。
 最近の宮崎アニメで気になっていた「岸田劉生化」がどうなっているか。舞台やテーマが「もののけ」以前のようなので、これは期待が持てるかも……。で、結果は?
 じつは、ワタクシ、まとまった時間がとれなくて、出だしのあたりを2〜3度見ただけなんですよ。だから感想は控えたいんだけど、色はちょっとねぇ、「デロリ」かも。
 もっとも、「アエラ」'05.11.21号、「スティーブ・ジョブズになりたい」という記事に挟まれた写真(アップルストア銀座店オープン初日のようす)を見て、ハッとしました。まさしくハウルの色! ニギニギしく原色をちりばめた、歌舞伎の国、歌舞伎の民。
 宮崎アニメは舞台はどこであれ、私たちの文化に根ざし、その感覚を伝えているのかもしれませんね。

授業参観

 週に一日しかない休日に予定が入っていると、朝から何となく気ぜわしいものです。昨日は娘の授業参観に行ってきました。
 授業は音楽。前回仕事で聴けなかった、クラス対抗の合唱祭で最優秀賞を獲得した合唱を、間近で聴けたのは収穫でした。子供たちは授業が始まる前から自主的に発声練習を始めていて、自信もつきチームワークも得たからなのか、皆ハツラツと元気そうでしたね。授業そのものもテンポよく、楽しい時間を過ごせました。
 その後は著名な方らしいUさんの講演会。吉本風の語り口でいかにも講演なれした感じながら、押しが強く自分のテンポだけでポンポン話してくるので、どうも親しみが持てません。お話の内容も、どこかで聞いたり読んだりしたようなことが大半でした。
 気になったのは、彼もまた子供たちに向かって「勝ち組になれ。頑張ればなんでもできる」と言っているように聞えたところ。今風の物言いですが、子供たちの抱える心の問題への処方箋にはならないでしょう。かえって害悪かもしれません。

旬な Music Store

 iTunes Music Store の「Today's トップソング」に本田美奈子さんがはいっています。「トップアルバム」では「アメイジング・グレイス」が第1位。若すぎた死を悼む人々が多いのでしょうね。
 実はぼくも彼女はずっと気になっていました。アイドルだった時から、歌唱力はありましたから。もっとも、喉を酷使しているように聴こえ、もう少し正則な勉強を積めばもっともっとお腹から深い声が出るようになるだろうに、と期待していたのですが、残念です。
 ところで Music Store は、「今」が敏感に反映されます。旬な作品、話題の人がすぐにランクインします。CD屋さんと違って、衝動買いしやすいですからね。消費者としては要注意。でもやっぱり便利です。……で、(旬かどうかはわからないけど)最近の「お買い上げ」は、山梨鐐平さんのアルバム「素晴らしきかな人生」。

「蝉しぐれ」と藤沢周平の世界

 文春ムック『「蝉しぐれ」と藤沢周平の世界』を買い求めました。彼のファンなら持っていても損はない、内容豊かな一冊です。
 なかで阿部達二さんは、「勁さと安らぎと」と題して、海坂ものの全体像を作品に則して論じておられます。阿部さんの分類によれば、海坂ものの長編は9編、短編は22編。そして、「故郷への熱い思い、早く務めを果たしてあの故郷へ帰りたいという恋にも似た思慕の念、その故地こそ海坂に他ならない」という、ほとんど結論とも言える一文が中ほどに挟まれている。
 この視点はぼくも小論「周平の故郷、海坂」の中で共有していて、意を強くしたのですが、ぼくの場合は、周平が隠しきれず蔵していたのは「思慕」に加えて「怨嗟」であって、そのバランス、その昇華具合が作品に反映している、と考えたのです。
 また井上ひさしさんの「藤沢さんの日の光」は、いつもながらに美しい文章でした。ぼくも〈はかない世の中〉というキーワードをてがかりにして、いま一度『蝉しぐれ』を読み直してみましょうか。

塩田美奈子さんに驚いた

 塩田美奈子さんの「紅屋の娘」に参りました。これって、スゴくない? 「昭和四年に佐藤千夜子のレコードが発売」されたという古めかしい曲が、こんなに楽しく、新鮮に聞こえるなんて。
 ネットで調べると、彼女、オペラ歌手ですって!? 普通、クラシック系の歌手の歌い方って、声をやたらに響かせて、何言ってんだかわからなかったりするでしょ。でも塩田さんは違うんだなぁ。余裕たっぷり、自在に遊んでますよ。
 ツヤのある声。そして美人。もっと聴きたいし、ステージも見てみたいなぁ。
 え……と、「紅屋の娘」が収められているのは、「日本のうたこころの歌 第48集」。ほかにも「初恋」「霧と話した」など、すてきな曲を聴くことができます。おススメです。

エコノミカル・パレス

 怖いもの見たさで? 角田光代さんの本を二冊続けて読みました。先週末は電車や飛行機での移動が多かったこともあります。
 ほとんど救いも光も見えない結末が『対岸の彼女』以前を実感させる『エコノミカル・パレス』は、事実2002年の作品。どこまで落ちるのかという恐怖が、読んでいるぼく自身にも迫ってくる。
 「私」のよるべなさ、「私」の不安、「私」の不満、「私」の焦りは決して他人事ではありません。
 さして長くはない小説のラスト。隣の公園に住む(ホームレスの)はしもっちゃんを銀行のATMで見かけた「私」は彼を追う。駅まで追う。改札口まで追う。何のために? 何を求めて? しかし無人改札は、非情に「私」を閉ざすのです。

 おそらくはこの索漠の先に、「なぜ私たちは年齢を重ねるのか」という小夜子の問いはあるのだ。「私」の出会いを祈ろう。

加賀百万石

 先週末、私用および公用で金沢・富山・大阪を回りました。金沢にははじめていったのですが……。美しい町でしたね。歴史が上手に活かされ、守られている。

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 武家屋敷跡に足を運ぶと、タイムマシンで江戸時代にタイムスリップしたような、不思議な感覚にとらわれます。

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 狭い区域を用水路が走り、下を覗くと排水口まで歴史モノ。な、中に潜り込んでみたくなるゥ。

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 清潔な公衆トイレも完備。周囲に溶け込んだ作りがさすがですね。なにせ庭付きのトイレですよ。

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 大通りはさすがにすっかり現代だけど、町の案内板が並じゃないんです。3D、いや立派な彫刻作品です。加賀百万石の底力というか、なんというか。脱帽しました。