命に国境はない
高遠さんといえば去年四月に起きた「イラク人質事件」で武装勢力の人質になった三人の日本人のうちの一人。会場の一条通クリニック三階の会議室にはほぼ満員の三百人近い聴衆が集まった。
きのう(10月3日)は夕方から、高遠菜穂子さんの講演を聴きに行った。高遠さんといえば去年四月に起きた「イラク人質事件」で武装勢力の人質になった三人の日本人のうちの一人。会場の一条通クリニック三階の会議室にはほぼ満員の三百人近い聴衆が集まった。間抜けなことに開始時間を間違え、約一時間遅れで会場に着いたので、前半部分を聞き逃してしまったが、後半だけでもじゅうぶん(というか"じゅうぶん過ぎるほど")聞きごたえがあった。
イラク人がハンディカムで撮ったビデオ映像を使って、「テロとの闘い」の名の下にアメリカ軍がイラクで行っている蛮行の詳細報告が主だったのだが、次々とでてくる凄惨な映像に目をそむけている人もいた。そんな講演のなかでとくに印象に残った内容を以下に記す。
結婚式が葬式に
結婚式の会場を米軍が爆撃して大勢の死者が出た。米軍の発表では「武装勢力の掃討のため」ということになっているが、ビデオ映像を見ると小さな子どもや女性の遺体が多く、どう見ても「武装勢力」には見えない。子どもを殺され、狂ったように遺体にすがりついて慟哭している父親の姿が痛々しい。この深い悲しみがやがて復習への暗い情熱に変わり、米軍に銃を向ける可能性はじゅうぶんある。こうして米軍は日々新たな敵をつくり出している。
砂漠に捨てられる傭兵の遺体
イラク戦争には米国籍を持つ"正式な"米兵の他に、米国籍取得を目的として来ている外国人傭兵が多数いる。これらの傭兵は死んでも「米兵の死者数」には数えられないどころか、遺体はサバクに廃棄されている。サバクの遊牧民ベドウィンが、米軍ヘリが上空から落としていく黒い袋を見つけて中身を見てみると、兵隊の遺体だったことから、この事実が発覚したという。
ウジのわいた腐乱死体
身内に行方不明者がいる人たちが、確認のために遺体袋を次々と開けて歩く映像が映し出された。ほとんどの遺体は腐乱が激しくウジが湧いている。小さな子どもの遺体も多い。なかには、青白く変色した皮膚が、脱いだ手袋のように遺体袋に付着しているものもある。どんな殺人兵器を使ったらこんな遺体になるのか?米軍はイラクで、禁止されている兵器を使ったというが、国連もちゃんとした調査を行っていない。遺体のいくつかを冷凍保存して持ち去っていることからも、人体実験の可能性があるが、メディアが大きく報じないため、国際社会の非難の声は大きくなっていない。
武器を持って人道支援
ある日、武器を持った米兵が小学校にやってきた。子どもたちも教師も逃げてしまい、教室には高遠さんと通訳しか残っていなかった。米兵は「ノートを持って来た」という。つまりこれは軍隊が行う「人道支援」というわけだ。やろうとしていることが「人道支援」であったとしても、銃を持った軍隊が来れば、丸腰の人たちは怖がって逃げてしまう。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
イラクでアメリカ軍がやっていることは、相手を人として見ていればけしてできない行為だという。人間性をすべて捨てて、殺人マシーンにならなかればできない蛮行を日々の業務として行っていれば、やがて本人自身も"壊れて"しまう。イラク帰還兵のなかにはPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんでいる例も多いが、予算が減らされているためにちゃんとしたケアが受けられない。劣化ウランによる被爆と並んでこれから大きな問題になってくるだろう。
Posted: 火 - 10月 4, 2005 at 11:13 午前