| 新潟県の"実質最高峰"に登る |
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| 去年登った妙高山に続いてことしの「故郷の山シリーズ」では、すぐとなり(北西側)の火打山に登った。妙高山・火打山・焼山は峰つづきのため、これらの三座を総称して地元では妙高三山と呼んでいる。たしかに、外輪山を従えて独立峰的に見える妙高山は越後富士とも呼ばれ、麓から見るとこの三山の盟主に見える。ところが標高的には2462mの火打山が、2454mの妙高山より8m高く、実質的には妙高三山の盟主なのだ。新潟県全体で見ると火打山の標高は五番目だが、ベスト4までが北アルプスの白馬岳周辺の県境にまたがっており、山全体が"領内"にある山としては新潟県の最高峰、つまり"実質最高峰"になる。ちなみに新潟県の最高峰は、白馬岳の北東にある小蓮華岳だが、去年山頂が崩落して標高が3メートル低くなり、現在は2766mになっている。 |
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10月22日
まだ夜明け前の午前五時に起きて実家を出る。途中、妙高のセブンイレブンでおにぎりを買って駐車場に出ると、ちょうど出たばかりの朝日に妙高山が照らされて赤く焼けている。予報では下り坂の天気だが、日中いっぱいはなんとか保ちそうだ。 |
↓サムネール画像:クリックして拡大 |
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| 国道18号から山間のほそい道へ入り、杉の沢の集落から九十九折れの山道でグングン高度を上げる。約20年ぶりで来る場所なので、いい加減な記憶をたよりに探しまわった結果、30分ほどウロウロしてようやく登山口を見つける。駐車場付きのずいぶん立派な登山口に変わっていてビックリだ。
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 登山口 |
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| 七時前に歩きはじめる。登山口から、断続的とはいえずっと木道がつけられていて、昔日の面影はない。百名山ブームで、登山道がこんなに整備されたのだろうか。
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 整備され過ぎた?登山道 |
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落葉が目立つ晩秋のブナ林を歩くこと小一時間で「黒沢橋」に着く。橋のたもとに意味不明の標識がある。
「ロープの近くは危険です。注意して渡りましょう。環境書・新潟県」
橋を渡るとしたら、「ロープの近く」以外を歩くことは物理的に不可能だと思うのだが……。
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 意味不明の標識と黒沢橋 |
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橋を右岸へ渡ると道は九十九折れの急登になり、ダケカンバがしだいに多くなる。30分ほどで「十二曲り」、傾斜が緩くなって10分ほどで富士見平へ着く。富士山は見えていないようだ。空気がもっと澄んでいれば見えるのだろうか。ここで登山道は、黒沢岳の西斜面を横切って高谷池ヒュッテへむかう道と、黒沢源流部の湿原から黒沢ヒュッテへむかう道とにわかれる。まずは高谷池ヒュッテをめざす。
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←アルプス展望台より |
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| 50メートルほど登って尾根を乗っ越すあたりから視界が開け、火打山頂はもちろん、北アルプスの後立山連峰が望めるようになる。「アルプス展望台」を過ぎると三角屋根の高谷池ヒュッテが見えてくる。
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 三角屋根の高谷池ヒュッテ |
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| ヒュッテではすでに小屋閉めの作業が進められている。靴を脱いで入る立派なトイレを借りる。周辺には、高谷池の湿原越しに火打山を望めるテントサイトが整備されている。富士見平にあった看板によると、ヒュッテの周辺からがようやく特別保護地区内らしい。あまりに簡略化された地図のせいもあるが、根拠がよくわからない線引きである。
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 特別保護地区を示す看板 |
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 「天狗の庭」の地溏。水面に火打山が投影する。 |
 高谷池の湿原 |
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| 高谷池から丘をひとつ越えると「天狗の庭」。木道沿いの地溏の水面に火打山が投影していて絵になる。すこし登って主稜線に取り付くと、北側の斜面は急な崖になっている。北東側から尾根をあわせたあたりが「雷鳥平」で、標高は2300m。すでに北海道最高峰の旭岳よりも高い。「自然を守るため歩道以外には立ち入らないで下さい」という標識があり、地面には植生回復用のネットが張られている。以前登ったときにはこんな看板はなかった気がする。展望を楽しみながら休憩したいという気持はわかるのだが……。日本全国どこへ行っても同じような問題があるのだなぁ。
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 「雷鳥平」。看板と保護用ネット |
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| 直下までしぶとく付けられた木道を登りきると山頂だ。先客は二人。ガスが湧いてきているのでとりあえず四囲の写真を撮る。北に日本海を見おろし、南西方向に北アルプス、南東に妙高山を望む山頂は、素晴らしい展望台だ。外輪山に視界を遮られないぶん、妙高よりも展望がよい気がする。山頂のお地蔵さん?に賽銭をあげて無事登頂を感謝する。昼飯にはまだ時間が早いので、おにぎりを一個だけ食べて高谷池へ下る。
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 山頂の仏像 |
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 雲の間から顔をのぞかせる妙高山 |
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 遠く北アルプス方面を望む |
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 雲に隠れる焼山 |
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| 12時に高谷池ヒュッテに戻る。時間に余裕があるので、来た道を笹が峰に下りるのではなく、黒沢池経由で下山することにする。ヒュッテから山頂方向へすこし戻り、分岐から主稜線に取り付く。樹林のなかで視界の開けない茶臼山を経、雲のなかに見え隠れする妙高山を見ながら、笹の刈り分け道を下って一時間ほどで黒沢ヒュッテに着く。天体観測用のドームを思わせる独特な建物。なかから槌音が響いているので、こちらも小屋じまいの準備をしているようだ。
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 独特な建物の黒沢ヒュッテ |
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| 小屋前の広場は十字路になっていて、神奈山経由で関温泉へ下りるルートと、妙高山頂を経て燕温泉または赤倉温泉へ下りるルート、富士美平経由で笹が峰へ下りるルートが分岐している。ここから妙高山へ登るルートも、関温泉へ下るルートもいつか歩いてみたいと思う。こうして次の楽しみがどんどん広がり、いつまでたっても山歩きを止められなくなる。
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 干上がりつつある?黒沢池の湿原 |
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富士美平をめざしてひろい笹の刈り分け道を歩く。あった!あの木だ。「日本一カッコいい」ダケカンバだ。もちろん、日本全国くまなく歩いてすべてのダケカンバを調査したわけではない。筆者が勝手に思い込んでいるだけだ。実家にちかく、わりと手軽で、景色も変化に富んでいて面白いこのコースは、以前は「お気に入り」だったので、特徴あるこの木はしっかり覚えていたのだ。まわりに高い木がなくそこにだけスッと生えているダケカンバというのは珍しい。斜に構えた立ち姿も良い。懐かしい友だちにあったような気分で挨拶をし、木肌に触らせてもらう。
 「日本一カッコいい」ダケカンバ
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| なんともゆったりとした気分で富士美平へ登りかえし、十二曲りの急斜面を下ってゆく。弥八山の東斜面のダケカンバが黄色く色づいて美しい。傾斜が緩くなるとブナ林。木道のうえに降り積もった落ち葉をカサカサと踏みしめながら歩く。足裏の感触が心地よい。まだ落葉していないモミジの葉が夕方の斜光線に透かされて赤さを増す。カツラの甘い香りがただよう晩秋の森の空気を胸いっぱい吸い込みながら登山口に戻った。
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 午後の日を浴びるブナの大木 |
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