絢爛と簡素
三十三間堂、国立博物館、堪庵、豊国神社、河合寛次郎記念館、祇園閣、長楽館、少し足を伸ばして活機園を見学して参りました。期せずして絢爛と簡素の対比的建築を見たのでした
   

01蓮華王院三十三間堂(1266再建)南北125mは木造建築で最長とか。単に最長というより、屋根の微妙な曲線の美しさに心奪われる。竣功時は五重塔もあったとか。
02三十三間堂。建具のリズムもよい比例をもっています。斗栱のシステムはやや固いが、なぜかそれが気にならない。柔らかかったならばだらしなくなっただろう。
03三十三間堂西面裏、堂内は撮影禁止。1001体の観音が並ぶ様は壮麗。1000体の観音と中央の千手観音の対比はすばらしい効果を上げている。
04三十三間堂。修学旅行集団と会わずに助かりました。建築も見学時の人出で印象が異るもんですから不思議です。
05京都国立博物館本館(1897、M30、片山東熊)。宮廷建築家らしい押出しがある。実は未だに入場したことがない。今度こそ!
06正門の背後は京都国立博物館新館(1966、S41、森田慶一)。新旧の対比的調和と言いたいところですが。。
07堪庵(1958、S33、上田堪一郎)。博物館の裏庭にあります。この茶室は明澄な数寄屋でとても現代的。しかも使用できるというのがさらに良いですね。
08同。桂離宮の影響があり、大徳寺真珠庵庭玉軒を写したとか。蹲が土間に造られ、入るのに躙口のような狭く、その先の実際の躙口が大きいのです。
09豊国(とよくに)神社(1599)。桃山時代のものが残っていると思うと感慨深い。西洋はそのころ豊麗なバロック時代。霊廟のセオリー通り豊麗とはいっても無彩色
10河合寛次郎記念館(1937、S12、河合寛次郎)。本人が設計し建てた家という。一人の確かな好みで統一されるとなんと素晴らしい空間を作ることだろうか。
11河合寛次郎記念館玄関座敷。棟方志功へ影響を与え、また柳宗悦や李朝からの影響を受けたことがよくわかる
12河合寛次郎記念館。野太く大らかな楽しさに溢れ、かつ敬けん謙虚な祈りがある。素晴らしい住宅であり記念館としても素晴らしく見識ある運用だ。
13河合寛次郎記念館。作陶中の休憩室?なんとも自然と楽しむ愉悦に満ちた和風デンのような部屋だ。素晴らしい小部屋。小さいけど心が広がる良い部屋です
14河合寛次郎記念館。登り窯。
15河合寛次郎記念館。さりげない置物になぜかお賽銭?。祈りある家の雰囲気がそうさせるのでしょうね。現在の所有者の敬意も偲ばせる。いいですね。
16河合寛次郎記念館二階廊下。この陰影、変化のある開放性は飽きさせずよいですね。素晴らしい設計です。
17祇園閣(1927、S2、伊東忠太)日本建築史にとって伊東忠太がいたのはよかったのか悪かったのか。遠目ですぐ位置は判明するのに近づけない。
18長楽館(1909、M42、ガーディナー)1階ホール。今回の旅行で最も濃かった逸品。館に相応しく応対も洗練されておりました。GOOD!
19同中二階。階段がこの館の焦点の一つ。かなり本格的な西洋館を前にして日本の建築家はどう対応すべきかいまだに迷っているのかも知れません。体力が必要
20同中二階喫煙室。雷紋を多用したオリエンタルな意匠で喫煙を正当化していました。床もタイルなので灰も落せます(^O^)
21同二階ホール。立体的に空間が展開するのは洋館の重要な特色の一つで、階段は上下をつなぐだけでなくステータスとして存在しています
22同貴婦人室。明るくやや抑えたロココの部屋。穏やかな色調が落着く。もっともバロックやロココは現代日本人にはなかなか馴染めない桃山的華やかさを持っています
23同。花綱飾りが華麗。このような部屋の意匠は否応なく立振る舞いにも”お姫さま”であることを要求しそうですね。いやいや大変です。
24同美術室。趣味性高い空間を観賞することも造ることも衰えている世の中で長楽館の長命を祈るのみです
25住友活機園伊庭貞剛館(1904、M37、野口孫市)入口。レベルの高い和館、洋館、庭園が一体となって残っているのは誠に見事でした。
26同。この苔の丘の向こうに見える洋館というのはまさにオンリーワン!重文指定されてよかったです。また管理側もこの建物を愛し大切にし誇りとなっているのもGOOD!
27同。ただものならぬ灯籠。由来は知りませんが庭の一つの焦点をつくっています。伊庭さんの友人である小川治兵衛から学び、彼を感心させたとか
28同。洋館は野口孫市、洋館はやはり広い芝に似合います。簡素にして堅実なハーフティンバー。和風味のある洋館です。内観も和洋が巧みに折衷されています
29同屋根。不思議な猪目の瓦。風水へ配慮したとか。しかし野口が風水にねぇ。やはり施主の意向ではなかったのでしょうか。鉾のような避雷針は野口かも知れません
30同バルコン。卍崩しの手摺に花先風刳形の持送り。窓の桟も非対称で和風味に溢れています。ウロコ葺きの意匠性もすばらしいですね。ここで質実は粗野を意味しません
31同和館。数寄屋味も無く簡潔簡素にして素直。しかし奥に行くと洋館併置に相応しい押入れの中の暖炉などの工夫がありました。
32同茶室。遠州好みとか。
33同茶室外観。洋館に合わせたのでしょうか。異様に高いプロポーションが目立ちます。時代の試みであったのでしょう。貴重です。