ちあきなおみ《あまぐも》


男と女の情念と狂気を孕んだ、ちあきなおみ伝説の名盤。おいでおいで・・・・。

ちあきなおみ、1978年発売のアルバム。 (2000年に紙ジャケ仕様で復刻)






デビュー当時のムード歌謡風から、「喝采」「夜間飛行」など吉田旺作詞・中村泰士作曲コンビによる名曲、「さだめ川」「酒場川」など演歌を経て行き着いた、いわゆるフォーク/ニューミュージック系アーティストとのコラボレーションの一つである。(前年に発売の「ルージュ」では中島みゆきや井上陽水、因幡晃らの楽曲を歌っている。)
ヒットを連発していたちあきであったが、「(レコードとして)売れる歌よりも、自分が好きな歌を自分らしく歌いたい」と考えるようになった時期でもあった。


A面:河島英五 作詞作曲によるオトコ臭さプンプンの濃厚な世界
B面:友川かずき 作詞作曲による情念渦巻く狂気スレスレのオンナの世界

という特徴的なコンセプトを持っており、またサウンド面では、ミッキー吉野をはじめ「ゴダイゴ」のメンバーがバックをつとめた。
強烈な詞と楽曲、70年代ジャズ・フュージョンスタイルのサウンドにちあきの超絶的な歌唱がのった希有なアルバムであり、ちあきのレコード史上特別なカッコヨサを湛えている。

河島も友川もいずれも歌詞が秀逸。
A面では男女の関わりにおける男の情けなさ狡さなどが強調される一方、2曲目「仕事仲間」や5曲目「義弟」などでは、まるで「さぶ」の世界さながらのドロドロした男同士の関係が想像できる。
B面は一転し、髪振り乱して生と性に急ぐ女の情が凄まじい。B面1曲目「普通じゃない」(「♪私に、子どもを、産ませた人〜」って・・・)や2曲目「視角い故郷」(「♪田舎に帰るったって別にアテはないしねぇ」の譜割りが最高!)は上村一夫の漫画を思わせる、まさに狂気を孕んだ独特の世界が炙り出されていてスゴイ。

77年の紅白での伝説的なパフォーマンス で大晦日の茶の間を恐怖のどん底に陥れた問題曲「夜へ急ぐ人」でアルバムは閉じられる。紅白バージョン(シングルバージョン)の宮川泰によるアレンジも忘れがたいが、ここでは岸本博アレンジによるアルバムバージョンで幾分洗練された落ち着いた雰囲気をもっている。しかし、中間のセリフ部分は能面のような無表情さで逆に凄味を感じる。


アルバム全体を通して、ちあきなおみという稀代の「名歌手」が放つ表現力の恐ろしさをあらためて感じずにはいられない。


Amazon.co.jp: あまぐも: 音楽: ちあきなおみ

ちあきの部屋
ちあきなおみ集
ちあきなおみの謎
ちあきなおみ・しんぐるこれくしょん

無敵の女力: 『夜へ急ぐ人』の伝説をアナタに……
あんなこと こんなこと: 夜を急ぐ人 ちあきなおみ



ジャケがビル・エヴァンズの「Waltz for Deby」(↓)とそっくりなのはご愛敬。中身は当然全然違います。


Posted: 月 - 1 月 15, 2007 at 01:17 午前              


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