ENSEMBLE MODERN PLAYS FRANK ZAPPA《GREGGERY PACCARY & OTHER PERSUASIONS》まさに快演!怪人・巨人FZの遺志を見事に引き継ぎ具現化したEMのアッパレな一枚。
フランク・ザッパ
(1940−1993)。20世紀の音楽を語る上で、ストラヴィンスキーやシェーンベルク、はたまたレノン&マッカートニーやマイルス・デイヴィスらとともに絶対に外すことのできない名前。時に「変態」「難解」のレッテルを貼られ、一方で熱狂的なファンを生み続けているロック界の伝説の怪人であり巨人。
没後10年なのに何故今新譜が? これは、フランク・ザッパ(以下、FZ)最晩年のプロジェクトであるところの、アンサンブル・モデルン(ドイツの凄腕現代音楽精鋭演奏家集団:以下、EM)との共同作業の華々しい成果の続きなのだ。FZは常々、ストラヴィンスキーやエドガー・ヴァレーズのような「現代音楽の作曲家」に憧れ、何十段もの五線紙にオタマジャクシをしたため、自分の音楽の実現のためにオーケストラという贅沢な楽器を鳴らすことを夢見ていた。実際に、稼いだ金をつぎ込んで交響楽団を編成し、せっせと自作品を練習させたが、それはオーケストラメンバーの目に涙を溜めさせる程過酷を極めたモノだったらしい。そんなこんなで、人生の最後にようやく出会った理想の楽器こそがEMだったのである。
FZ最期のアルバムとなった《イエロー・シャーク》から10年。没後10年を記念してリリースされた本作は、とにかく凄い!! なにが凄いかって、まず、EMの演奏技術の高さ!これまでの室内管弦楽団が普通のサーカスだとすると、EMは、さしずめ「シルク・ド・ソレイユ」といったところか。 まず初っぱなの「Moggio」からして痛快だ!続く「Night School」や「Revised Music For Low Budget Orchestra(低予算編成管弦楽団のための音楽、改訂版)」などで聴ける、あの夢のような至福のメロディー、愉悦のソリ!!往年の名作《Waka/Jawaka》《The Grand Wazoo》を彷彿とさせる出来だ。《Hot Rats》の冒頭を飾るナンバー「Peaches En Regalia」がオーケストラバージョンで聴けるのも嬉しい。FZ本人が鬼籍に入った後でも、こんな凄いアルバムが出来るなんて! そして白眉の「The Adventures Of Greggery Peccary」。これは、ナレーションと役者による歌・語りを加えた壮大な音楽劇で、グレゴリー・ペックの名をもじった子豚の物語。20世紀の音楽付き物語の名作たち(例えば、ワイルの「三文オペラ」やオネゲルの「ダビデ王」プロコの「ピーターと狼」などなど)の系譜に連なる大傑作だ。FZも、これまで全曲をライブでやったことはなかったというこの曲。「スタント」や「CG」ナシの「生身」の演奏はまさに奇跡! 《イエロー・シャーク》に比べて、「現代音楽度」は幾分控えめで、聴きやすく、親しみやすく、それでいて演奏はより研ぎ澄まされている。冴えわたっている。FZがせっせと打ち込んでいたシンクラヴィア(シーケンサーとハードディスクレコーダーとが一緒になったような何億円もするというデラックスな装置。FZは、頭の中からあふれ出てくる音楽たちをこれで記録しようとしたのだ。)のデータからスコアを起こした曲が多いんだが、全編、人間業とは思えない超絶演奏の連続で、しかも機械的な冷たさは無く、人間味あふれる血の通った素晴らしい仕上がりになっているのにはただただ仰天。それもこれも、EMのメンバー1人1人が、FZの遺志をしっかり受け継ぎ、彼の「音楽」実現のためにあらん限りの情熱と愛を注いでいることのタマモノだと言える。 また、クラシック畑の演奏家が、特にオーケストラなどという形態でもって、ジャズやロックといった系統の音楽を演奏する場合に付き物だった「野暮ったさ」「ダサさ」は皆無で、非クラシックのミュージシャンまたはバンドという形からは生まれにくいキッチリした統率感が逆に気持ちいい。なんとも不思議な感覚だ。良い音楽を巧いミュージシャン達がココロ込めて演奏するという贅沢だけど当たり前の事がやっぱり凄いものを生むんだな、これが。 それにしても、一人の天才の頭の中でしか響いていなかった「音楽」が、こんな風に大勢の優秀な音楽家達の手や息によって具現化できるなんて、なんという素晴らしいことだろうか!!!人間ってほんとうに凄い。 とにかく、とっても良いのでオススメです! →フランク・ザッパ関連のサイトたち The DOG BREATH REVENGE FRANK ZAPPAの○△□ →アンサンブル・モデルン www.ensemble-modern.com/ Posted: 金 - 3 月 5, 2004 at 03:42 午前 |
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Total entries in this category: Published On: 5 月 07, 2008 09:11 午後 |
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