君死ニ給フコト勿レ


死んだらそれまでよ

イラク日本人人質事件の被害者:香田証生くん(敢えて親しみを込めてこう呼ぼう)が殺された。これまでの各国の人質たち同様、斬首による公開処刑。
ご丁寧にインターネットでは動画が配信され、それをコピーしたサイトが無数に存在し、世界中の人々がそれを見ることができる。
ogrish :見たい人だけ、覚悟してみてください)

おれは二丁目の飲み屋で友人とともにこれを見た。割と冷静に見たモノの、なんとも後味が悪く、ちょっと気が沈んだ。彼が日本人だったから?ちょっとだけカワイイ顔だったから?人はある程度親しみを持っている他人には感情移入してしまう。
彼がまだ生きている時にニュースを聞いて「アホな奴も居るモンだなぁ。いっそ自分から切腹してやるくらいの大和魂見したれや。テロリストも勇気を讃えて仲間にしてくれるかも知れんし。」などと冗談半分に思っていたが、いざ彼の死を知り、そのことに思いを巡らし、実際の死の瞬間を見てしまうと、なんとも言えない気持ちになるのだ。

飲み屋では別の人にこう言われた。
「世の中には、知らない方が(見ない方が)良いこともある。」

そうかも知れない。でも、事実はこうやって見れてしまう。遙か遠くの国で起こった悲劇をこうして克明に映像で見る事ができる世の中になってもなお、人間の野蛮で愚劣な行いはちっとも変わらず、人は浅はかでちっとも進歩していない。嗚呼。


今回の件は、色々な問題を含み、どうしようもない「やりきれなさ」を心に残した。考えても考えても「答え」みたいなものは見つからないので、気付いたままに問題を列記するだけにしておく。

◎誰が悪いの?
のこのこ危険な目に遭いに行った本人?犯行に及んだザルカウィ率いる「イラクの聖戦アルカイダ組織」?アメリカに従いイラクに派兵した、そして撤退要求を断ったコイズミ?イラク戦争をしかけたブッシュ?アメリカ?

◎人を殺すのはいけないこと。でも大昔からずっと起こっていること。日本人だって中国や朝鮮半島でさんざんやってきたこと。
人は何かの理由を付けて、何かの大義名分の元に「殺人」を正当化する。でも、誰だって人は殺したくないハズだし、殺すのは良くないと思っているハズだ。人を殺すに足る理由なんて在り得ないと思うのに。
でも、今回のはあきらかに「生贄」だ。そんなことしたって、何も得るものは無いだろうに、まるで鶏の首をはねるように香田くんの首を切り落とし、頭部をカメラに向かってかざし、米国旗の上に横たわった胴体の上に置いた。たまたまそこに居た異国の青年が生贄になってしまったのだ。彼はバカが付くほど無鉄砲で無力で無防備で無害で無抵抗だっただけなのに。ただただ哀れだ。

◎香田くんの家族は至っておとなしい。「みなさんに迷惑をかけて申し訳ない」と言う。
一方、韓国人の人質殺害の際の家族は絶叫し哀しみと恨みの感情を露わにしていた。国民性の違いか?日本は村社会だからか?謝らざるを得ない状況に追い込まれているのか?残った家族の生活のためか?
「(訃報を聞き、遺体到着の報を聞き)たまらない気持ちでいっぱい」と言うのが精一杯だったのか?

◎香田くんは何故イラクに行ってしまったんだろう?
やはりバカで浅はかだったのか?情報が無いまま、危険と知らないまま入国してしまった不幸なのか? そして、自国民を守る義務を日本国政府は果たしたのか?

◎殺害の瞬間が動画で配信され、見る事が出来てしまう事について。
興味本位で見る人もいる。グロいものが好きで見る人もいる。恐いものみたさでオッカナビックリ見る人もいる。残酷さを自覚し、教訓を得るため見る人もいる。
動画を配信しそれを見る事は、香田くんの生・死・尊厳を冒涜するか?


うまく言えない。ただ「死んだらそれまでよ」と思う。まして、理不尽な理由で、同じ人間という生き物に殺されてしまうなんて。幼稚なきれい事であるが、「こういう事が起こらなくなって欲しい」と願う。


→「イラク日本人人質」特集ページ(共同通信)
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2004/hostages/

→香田くん関連の記事を書いているブログを検索(未来検索 livedoor)
http://sf.livedoor.com/search?q=%b9%e1%c5%c4%be%da%c0%b8&q=

→「生かされるということ(改題)〜地震・ネット心中・イラク人質事件2〜」(マチダタイムス)
http://machidasyuji.jugem.cc/?eid=75

→「なるべくしてなった結果なのか。。。それでも」(徒然なるか?)
http://oreture.jugem.cc/?eid=69

→「今回はなかなか難しい」(PWPブログ)
http://blog.livedoor.jp/peacewordsproject/archives/8585492.html

Posted: 水 - 11 月 3, 2004 at 07:13 午後              


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