「ロスト・イン・トランスレーション」(2003/アメリカ)


摩訶不思議お伽都市:トーキョーで出会ったオッサンと若妻。微妙な距離まで近づき離れ、お互いの自分を見つめ直す舞台は新宿の高層ホテル。そうです、新しい宿です。

ソフィア・コッポラの2作目。オスカー脚本賞取ったとか、マシュー が出てるとか、で話題になっているとは知っていたものの、雨の日曜の夕方の回でも立ち見だなんて。。。。。おいおい。





二人のアメリカ人のトーキョー・デイズ。片や落ち目のハリウッドスターは、家族からの逃避とCM撮影の高額ギャラ目的で来日したオッサン。撮影現場で味わう文化のギャップ、言葉も気持ちも全然通じない不安とイライラで、もう帰りたいなんて思ってる。でも奥さんがうっとーしくて、やっぱ帰りたくなーい。。。
片やヒマをもてあます若妻は、フォトグラファーの夫にくっついて来日したものの、街へでても疎外感ばっかりでホテルでひとりぼっち。アメリカの友達に電話しても余計寂しくなるばかり。そんな二人が、同じ宿泊先のホテルのバーで出会って近づく。でも近づき過ぎないの。セックスもナシ。

大げさなくらいのコメディ要素アリだし、新宿や渋谷のケバケバしいネオン街もバッチリ映るんだけど、全体に水彩画のような淡い感じの印象。

それは、メインの舞台が二人の宿泊先、新宿の某豪華高層ホテルだからかも。
窓の外に広がるトーキョーのパノラマ。実はおれの職場も近くのビル。例えば上の階のレストランなんかから見る景色とホトンド同じなんだけど、映画の中のトーキョーはちょっと違う。なんか雲の上から覗いてるというか、現実離れしているというか。いや、逆だ。ホテルの部屋の方が浮世離れしてるのだ。二人はトーキョーの街に下りて、軽い逃避行をする。友達とクラブ行ったり、カラオケ行ったり、二人でしゃぶしゃぶ行ったり、寿司屋行ったり。でもなんだか浮いてる。夢の中の出来事みたいにフワフワしてる。だから、二人が近づき、お互いの気持ちを確認する場所は、異文化圏=ニッポンの感じられないホテルの部屋の中。そこで同じ境遇の二人が寄り添い、お互いの心を探り、やがて、自分の気持ちやそれぞれの家族のこと、将来のことを見つめ直すのだ。

それに、さっきも言ったとおり、セックスナシ。
酔いつぶれた若妻を抱っこして部屋まで連れてくるオッサン。だけど、オッサンは何もしないで自分の部屋に一人戻る。その後も二人はチューさえしない。最後の最後まではね。その最後の最後のシーンはわりと好きだなぁ。これまた、おれがいつも見慣れた新宿の街。通行人でごった返す西口の商店街で抱き合う外人二人。オッサンは若妻の耳に何かをささやく。さて、何を言ったのかは各人考えてね。みたいな。
いや。この二人にとっては、周り全部が「ガイジン」だ。言葉も気持ちも通じない異国の人たち。派手な街の看板も何書いてあるんだか分からない。しゃぶしゃぶのメニューも何書いてあるんだか。しかも、コースの種類はいっぱいあるけど違いが分からない。ゲーセンで「太鼓の達人」を叩いたり、「ビーマニ」に没頭する青年たち。いつもニコニコ何考えているか分からないスタッフやホテルの従業員たち。なんなんじゃ、この国は?
「日本人ってなんでRとLの発音下手なのかしら?」「わざと間違えておれたちをからかってるんだぜ。きっと。」





これまでの、「ガイジンから見たニッポン」映画とは違う。フジヤマ・ゲイシャは出てこないし、ヘンテコリンなチャイナ風のBGMも無い。(そのかわりはっぴいえんどの「風をあつめて」だよ!)また、「ブラックレイン」みたいに健さんに手合わせてお辞儀したりしないし、「キル・ビル」みたいに変なニホンゴも使わない。意外と本物の「American in Tokyo」なのかも。

オッサン役のビル・マーレイは凄くいい味。一応明るく振る舞っているけど、目がなんだか寂しげ。いつものエンターテナーぶり、芸達者ぶりを押さえて繊細な演技を見せてくれます。

→「ロスト・イン・トランスレーション」
http://www.lit-movie.com/
http://www.lost-in-translation.com/

余談ですが、映画見終わって渋谷の街を歩くと変な感じ。さっきまでスクリーンに映ってたTUTAYAの大画面とか「三千里薬品」とか、実際にそこ歩いているのに、映画の中では全く違った様に、お伽の国の景色の様に見える。まさに不思議都市:トーキョー。不思議ムービー:LIT。

Posted: 月 - 5 月 17, 2004 at 02:44 午前              


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