「茶の味」(2003/日本)


極上の「ほ〜〜〜んわり感」。石井克人味の「お茶」は、最初なんだか「変?」でも、後味が実に美味渋!

KDDI、「アスパラドリンク」、富士通FM-VなどのCMや、「鮫肌男と桃尻女」「Party7」などのぶっ飛びムービーや、一世を風靡したDVDマガジン「grasshoppa!」 や、タランティーノの「キル・ビル1」中のアニメパートのキャラデザイン、などなどでお馴染みの「鬼才・奇才」石井克人監督。
長編三作目は、「ちびまる子ちゃん」 なみの「へんてこホームドラマ」、その名も「茶の味」。




どこか懐かしい田園風景に囲まれた、これまたどこか懐かしい家の縁側でお茶をすする春野家の面々。
・恋に夢中のヘナチョコ高校生:ハジメ(佐藤孝広)。
・巨大化する自分の幻に悩む無表情小学生:幸子(坂野真弥)。
・子育ても落ち着いた今アニメーターの仕事復帰を目指すオタク主婦:美子(手塚理美)。
・最近の妻がちょっと気になるアル中催眠療法士:ノブオ(三浦友和)。
・クールでニヒルでも野糞の思い出は喜んで語る失恋ミキサー:アヤノ=美子の弟(浅野忠信)。
・そして、奇天烈な言動で家族と接する美声の元アニメーター:アキラ=オジイ(我修院達也)。
みんなそれぞれ心に秘めたモヤモヤを解消できずにいる或る春の日〜初夏の雨上がりを経て、おおきなおおきな夕焼けがすべてをほんわり包み込んでいく。

前作、前々作のドンパチや密室劇から180度転換して、今回の舞台は山と田んぼに囲まれたのどかな田園。サクラのピンク、田んぼのミドリ、空のアオ。そして小鳥の声や葉っぱを揺らす風の音、川を流れる水の音に夜鳴くカエルの合唱。誰の心にも、ある共通の「にっぽんの懐かしさ」を喚起する絵と音である。(同じ栃木県でロケし、同じ田園の美しさを写した「リリィ・シュシュのすべて」 が、その田んぼのミドリの美しいが故に残酷な冷たさを湛えていてちょっとイヤだったのに対し、「茶の味」ではなんともまろやかな感じがグッド。)しかし、そこは石井映画。ただ者ではないキャラ達がそこかしこに出現。(朝礼で現代詩を朗読する教頭先生は田中星児。アニメオタクの「流星王子」コンビは加瀬亮と水橋研二。意味不明のお笑いコンビ「東京ドンビコンビ」は堀部圭亮と野村佑香(!)。など挙げればキリがない。)
でもやっぱり最高の変キャラはオジイを演じる我修院達也 だ!「鮫肌」の山田君も凄かったが、今回もオイシイとこを持っていきまくり。詳しく書けない(し、書いてもしょーがない)ので観てください。

ここまでの話で、田舎を舞台にした奇天烈ギャグ映画だと思っていると、気持ち良い裏切りに遭う。後半のしみじみしたエピソードや、大宇宙・大自然の懐に抱かれてしまうラストは本当に素晴らしい!こんなトンデモハッピーな映画は石井克人以外の誰にも作れないだろう。アッパレ!

その他、「沁みた」シーンを挙げてみます。
・浅野と、その元カノの中島朋子の再会シーン。なんともぎこちなくて探り合って歯がゆくてムズムズして・・・・すごーくイイ。
・ハジメ役の佐藤くん(名作「独立少年合唱団」 とか上戸彩編の「金八」 にも出てたらしい)。この映画を象徴する「ほんわり顔」のヘナチョコ少年。彼が片思いの土屋アンナの乗ったバスを追いかける時の痛々しくも嬉しそうな極上の笑顔。彼は、かなり監督から「鍛えられた」らしいが、そのおかげか素晴らしい味を出している。今後が期待の若手くんだ。囲碁マン!
・音楽が結構いい。スチール・ドラム の「ぽぽろん〜♪」という音色がなんともマッチグー。






「山よ」や野糞ネタ、劇中アニメなど、小ネタ的おふざけは相変わらずツユダク気味だけど、それらもこの「お茶」の中で絶妙にブレンドされ隠し味になっている。些細ながらかけがえのない人間たちの営みや、様々な「スットンキョーさ」をも優しく包み込む自然(大自然なんて大仰なものじゃなく)と宇宙の大らかさと、時間のゆったりさが見事にまとまった143分でした。

→「茶の味」オフィシャルサイト
→grasshoppa!

→TSUTAYAの「茶の味」サイト
我修院さんのインタビューもあるぜよ!

Posted: 土 - 8 月 14, 2004 at 09:05 午後              


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