「砂の器」(1974/日本)名匠:野村芳太郎の松本清張シリーズ。つくづく、日本の田舎って、ドンヨリしてるなぁ〜と痛感。中居くんのドラマも頑張ってるけど、これを見ちゃうと・・・・。
物語は二人の刑事が東北のとある村に着いたところから始まる。東京蒲田で起きた或る殺人事件の手がかり、「東北弁」「カメダ」を元にやってきたのだ。なんの収穫もないまま東京への夜行の食堂車(嗚呼、今はこんなもの味わえない)で、偶然はその「犯人」と二人の刑事を対面させる。その人物とは新進気鋭の作曲家:和賀英良だった。
その後、次々と事件の謎が紐解かれる内に、意外な人物と、その彼の数奇な生い立ちが明らかになる。ホールを埋め尽くした大観衆を前に《ピアノとオーケストラの為の「宿命」》が鳴り響く。その「宿命」というタイトルに秘められた壮絶な過去とは?!。
丹波哲朗と森田健作(若い!そんでちょっとカワイイ。)の刑事コンビが、無残な殺人事件の謎を解くため必死に喰らいつく様。今をときめく人気作曲家加藤剛の華々しい暮らしぶり(っつっても70年代初頭のね)。そして、そんな和賀の、人には決して知られてはイケナイ悲惨な過去。それらが一気に収斂していく後半のコンサートシーンが見ものだ。 はっきり言って、芥川(也寸志)さんの音楽(正確には菅野光亮って人が作曲・演奏している)は臭くて大仰でしかもちょっと現代音楽っぽくてちょっとイヤなんだけど。 はっきり言って、加藤剛の濃いい顔と似合わないタキシードと変な指揮姿は笑っちゃう部分もあるんだけど。 はっきり言って、設定自体が無理のあるところも結構あるんだけど。(たとえば、「紙吹雪の女」のエピソードとか、本浦親子の遍歴のシーンとか) でも、そんなんは、イイ!イイ役者がイイ台詞言ってイイ芝居してれば全部イイ! 丹波、加藤をはじめ、島田陽子、緒形拳、佐分利信、渥美清、笠智衆、etc.超豪華な俳優陣。その中でも、本浦千代吉役:加藤嘉の一世一代の大泣き演技は、それはそれは胸を掴まれる。成功しているであろうたった一人の息子に死ぬ前に一目会いたい。ただ、決してそれは叶わない。叶えてはイケナイ。原作では、千代吉は既に死んでいるコトになっているそうだが、これは映画の方が勝ちだ。 それから、秋田、奥出雲、伊勢、加賀と日本各地の古き良き「陰鬱」な風景がココロに沁みる。特に、冒頭の秋田の海縁のシーンは美しい。 物語のキーはライ病(ハンセン氏病)とそれへの差別・偏見だ。映画の舞台が30年も前のもの、しかも、和賀の子供時代の話となるとさらに20年前にさかのぼる、「昔の話」だのに、映画に映る風景や「国鉄蒲田駅」「夜行列車」「木造の警察署の会議室」「真夏の扇風機」などという「昔の映像」だのに、この差別と偏見は、この21世紀の今でもしっかりと存在していることにあらためて驚く。(熊本の某化粧品会社系のホテルの話だよ!)自分たちと違うモノへの日本人の差別根性はきっと治らないんだろうな。 あまりにも見た目が醜くなる伝染病。人々は怖れ、その患者たちを隔離し、ことごとく忌み嫌った。日本の戦前の村ではそれは想像以上に凄いのだっただろう。そんな癩の親と放浪の旅に出た乞食同然の少年がなんで、天才作曲家・ピアニストに成れるかはおいといて、人の運命、否「宿命」の残酷さとそれに抗いきれない過酷さ、それを暴くことを生業としている男達、「人間のドラマ」にとことん浸れる傑作だった。 さて、現在放映中のドラマ版「砂の器」ですが、結構見ちゃったりしてました。中居くん、シリアス演技は頑張ってるけど、所詮SMAP。21世紀の現代に、癩で村を出て行ったという設定はマズかったのか、村八分にされた恨みで村中皆殺しにしたため逃れたってことになってました。しかも、ピアニカもって。。。(やっぱり無理無理です。) 松雪泰子や武田真治の役も映画では出てきません。どっちかというと、和賀メインのドラマに対して、刑事メインの映画っつーとこですな。あんまり比べるのも悪い気がする。 Posted: 火 - 3 月 23, 2004 at 03:15 午前 |
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