「ハックル」(2002/ハンガリー)


のどかな農村の風景と止むことのないじじいのシャックリ。ミクロとマクロが入り乱れて織りなす映像の不思議と謎・謎・謎!

ハンガリーというと何が思い浮かぶだろうか?
東欧の国、ハンガリー狂詩曲やジプシーの音楽、ワインとパプリカ料理、温泉、ブダペスト、体操や陸上競技の超人選手、バルトークとコダーイ。
これらどのイメージとも違った、新鮮で不思議な映画が「ハックル」だった。






とある農村。
地中では生々しくウロコを光らせた蛇が動き出し、家では一人のじいさんが牛乳を用意する。じいさんは朝からシャックリが止まらないご様子。
家の前を通り過ぎていくトラクター、パトカー、馬車、自転車、山羊、雄豚(キンタマ超でかい!)、アヒル、そして葬列。
なんとものどかな村の風景と虫や動物や草の音。
しかし、猫がけいれんして死んだり、村のおっさんが行方不明になったり、底に赤い×印の謎の小瓶並んでたり、何かがちょっとずつ変・・・・






とにかく人間の喋るセリフや映画音楽が全く無い映画。聞こえるのは、動植物の鳴き声と自然の発するそして人間の生活から生まれる音!音!音!!(&じじいのシャックリ)
カメラは昆虫やモグラのドアップを捉えたかと思うと次の瞬間には上空から村を見下ろし、ミシンのロータリーや荷車の車輪を幾何学的に収めたかと思えばおっさんの体内のX線写真になったり水中でカエルが食べられるシーンになったり戦闘機のコクピットになったりと、ミクロコスモスもマクロコスモスもごっちゃになって無茶苦茶!さらに、2個のボーリング球の次に雄豚のユサユサしたキンタマを写してみたり、自転車の回転するタイヤとスルスル動く蛇のウロコがシンクロしていたり、と映像のオアソビもちゃっかりやらかしてくれる。(この感覚は、相原コージの傑作漫画「ムジナ」 に通じるものがあると思った。特に、第1巻でムジナの父ゴキブリが死ぬシーン、第3巻の実験シリーズその16「普通、ストーリーとは関係ないので描かれない、いろんな生物を含めて描いてみる」など。)






アメリカの批評家がいみじくも喩えた「宇宙人の視線」という言葉がぴったりだ。
人間や動植物・自然の営みなど、宇宙人的視点からするとどーでもいいこと。それらに意味はなく、まったく同等に興味の対象として覗かれている感じだ。


それでも一応ストーリーらしいものはある。映画の後半、猫がのたうち回って死んでからはなんとも不気味なミステリーの匂いが漂い出すのだが、どうやらそれはラストに地元の女性合唱団によって歌われる歌詞にヒントがありそうだ。

28歳の監督による長編デビュー作で、映画学校の卒業作品にもかかわらず数々の賞に輝き批評家絶賛のこの映画。なんともこれからの活躍が期待できそうだ。パールフィ・ジョルジといういかにもハンガリアンな名前を覚えておこう。

ひたすらアーティスティックな映像とオーガニックノイズを楽しむもよし、デヴィッド・リンチ的なミステリーの世界に身を置くもよし、いろんな楽しみ方が出来ると思う。


→ハックル(日本版オフィシャルサイト:じいさんのシャックリ音が延々と聞こえる洒落た作り)
http://www.imageforum.co.jp/hukkle/

→www.hukkle.hu(オフィシャルサイト:映画同様凝った作り)
http://www.hukkle.hu/

→ハックル(goo映画)
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD7556/

→しゃっくりで描く村の秘密:映画「ハックル」(asahi.com)
http://www.asahi.com/culture/theater/TKY200510060229.html

→ハックル(REALTOKYO)
http://www.realtokyo.co.jp/japanese/cinema/f_cinema.htm
http://www.realtokyo.co.jp/event_cgi/ev_view.cgi?1,3462

Posted: 日 - 10 月 23, 2005 at 06:47 午後              


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