「トーク・トゥ・ハー」(2002/スペイン)「究極の愛のドラマ」も一歩間違えれば「変態さんいらしゃい」・・・。でもさすがアルモドバル。彩り鮮やかで格調高い「眠りの森の美女」になっちゃう。
【ネタバレありあり。映画未見の方はご注意ください。】
北野武も切り捨てた例のおすぎの大絶賛コマーシャルでもお馴染み、ペドロ・アルモドバル監督の作品。 mixiの「映画愛好会」コミュニティ内「皆は名作というけれどダメだった映画」トピックスなど各所で賛否両論の極端な映画ですが、おれ的には、思ったよりスッキリと美しい良い作品でした。 ![]() 元バレリーナのアリシアは交通事故が原因でずっと意識不明の植物状態。そんな彼女を、まさに「草木に話しかけるように」「献身的に」面倒看続ける介護士の男ベニグノ。 女闘牛士のリディアもまた競技中の事故で意識不明に。彼女とつき合いだしていた男マルコは混乱している。「以前とは別人のようで、手を触れることができない。」と。 ベニグノは以前、劇場で感動し涙を流していたマルコを覚えていた。病院で再会する二人の男。それぞれに思いを寄せる意識の無い女二人。 しかし、ベニグノはアリシアに一目惚れし、一方的に近づいて来ただけの男だった。20年間母親の介護をし続け、女との(男とも)「恋愛」を経験したことの無いベニグノ。彼の「究極の愛」は、いつしか常軌を逸して・・・・。 ま、つまり、ベニグノは「ストーカー」なんです。しかも、やってることは究極に「変態的」。だって、植物状態のアリシアとセックスして妊娠させちゃうってんだもの。女性の観客からしたら「許せない」だろうこんなストーリーだが、何故か嫌悪感とか異常性というのはあまり感じられず、ベニグノの、あまりに純粋すぎる愛ゆえの「報われなさ」というか「哀しみ」がじんわり漂ってくる。あんまり現実的な観方をしてはいけないんだな。 しかも、ベニグノの愛のピュアさはマルコをも動かしていく。二人の友情を越えた繋がりはちょっと同性愛のニュアンスを仄めかすが、それは顕かなものではない。あくまでもお上品に。 劇中劇として、ベニグノが観たというサイレント映画「縮みゆく恋人」が挿入される。これは、実験で女科学者が作ったクスリを飲んだ男が彼女を好きになる代わりにどんどん小さくなっていくというもの。終いには手のひらサイズになってしまった彼氏が、寝ている彼女の「マンコ」(これはスタジオにセットを組んだんだろうな。)の中に潜り込み、彼女との「永遠の一体化」が実現するというもの。これが、ベニグノの行為とまさにシンクロするではないか。 どこかに在ったレビューでは、これは「眠りの森の美女」の話らしい。王子様のキスで目覚めたお姫様。童話ではメデタシメデタシであるが、この映画ではそうは行かない。リディアは帰らぬ人となり、目覚めたのはアリシア一人(もしかして、出産→死産のショックで意識が戻ったのかも)。ベニグノはそれを知らないまま、監獄に入れられ、彼女と一緒にいられないことを苦に自殺する。ベニグノから後を託されたマルコが、これまた劇場で偶然アリシアと出会う。 しかし、なんとまぁ、美しい映画だろうか! ベニグノのアパート、病院のテラス、闘牛場、闘牛の衣装、シーツから現れるアリシアの裸体、バレエのスタジオ、刑務所の面会室。そして、最初と最後に置かれたピナ・バウシュの舞台、途中に出てくるカエターノ・ヴェローゾ。美しいシーンの数々にとりあえずうっとり。「オール・アバウト・マイ・マザー」の大らかさから一歩進んだ格調高さ。それだけでも大した映画だった。 →「トーク・トゥ・ハー」オフィシャルサイト http://www.gaga.ne.jp/talktoher/top/top.htm →「トーク・トゥ・ハー」(allcinema on line) http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=240856 →「トーク・トゥ・ハー」(cinema scape) http://cinema.intercritique.com/movie.cgi?mid=10020 Posted: 水 - 11 月 24, 2004 at 12:28 午前 |
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