「鬼畜大宴会」(1998/日本)


人の心に棲む「鬼」が表に出る時ってどんな時なんだろう?その鬼が踊り狂う宴は不毛な皆殺し祭りだ。想像以上にエグく深い(不快)作品。

熊切和嘉監督のデビュー作にして大阪芸大の卒業作品(しかし、こんなもん卒業作品にすんなよな!それにしても大阪芸大、橋口亮輔といいこの人といい多彩な人材を輩出してくれるぜ、まったく)。



70年代の左翼過激派の内ゲバ、リンチ事件などをモデルにした、とか言ってるけど、実際そんなもんはどーでもイイ。とにかく人を派手に殺したい!若者の狂っていく様を描きたい!狂気と殺戮とセックスの臨界点を写したい!表向きはそんな若気の至り映画だと思ってた。いやいや、そんなもんじゃない。これは結構凄い映画だぜよ!

密室の集団が狂気を孕んでいく様。一人の生け贄をなぶり殺しにする悦楽。人間のタガが外れて鬼が現れる瞬間。真っ当だった人間が恩人を裏切り私刑に荷担する時の顔。
ちょっと拙い映画だからこそ、よけい生々しい。
長髪(敢えてロンゲなんて言わない)メガネの熊谷と冴えない新人杉原のエピソードがちょっと微笑ましかった分、後半の熊谷の無惨(嗚呼、チンコ斬り!)と杉原の変貌が凄味を増す。(熊谷の成れの果てを見つめて「ぷっ」と吹いてしまうあたり。凄い!「コイツ汚ねぇ。なんて浅ましい生き物だ。」みたいな。)
相当派手なぶっ殺しシーン(猟銃で頭吹っ飛ばしたり、マ○コに猟銃突っ込んで撃ったり、日本刀でぶった斬ったり)はちょっとやりすぎ感もあるが、北村龍平の「ダウン・トゥ・ヘル」 ほど笑えるものでもないし、実際にこんなコト(撃ったり斬ったり)したらコウなるみたいな気がする。

他にも見所はある。平成の若者が撮ったにしては、やたら60〜70年代のむさ苦しいキッタナイ雰囲気まんてんだし、青・赤・緑と凝ったライティングや計算された技法も結構キマってるし、役者の顔は結構イイ顔だし(目つきがイイね)、後半の舞台となる廃墟の質感もイイし。でもやっぱり血糊だね。

こういうコトって、なにも昭和40年代の塞がれた若者だけに限ったコトじゃないんだ。どこかあどけない顔、表情を残すこの映画の役者達みたいな若者達がこんな「鬼」になる時ってどんな時だろう。女子高生コンクリ詰め殺人、栃木のリンチ殺人、沖縄の中学生リンチ事件。。。ま、今でも結構後を絶たないですな。「普通」のどこにでも居る少年・少女達の、つまり若き人間の心に棲む「鬼」が顔を出す時。それは、なにか、凄く脆いキッカケなんだろうな。

仲間や恩人を、狂ったように殴る、蹴る、挙げ句に撃ち殺し切り裂く。そしてふと、我に返る。「なにやってんだ。おれは。」みたいに。そんな危うい「心」を写し取った力作でした。

この監督の映画、後味は凄く悪い。ずっと舌に苦みや渋みが残る感じだ。ずっと後をひいて離れない。でも、次第に、その味覚を反芻して味わうようになる。抉られた心の傷跡を舐めて癒しているかのように。そんな思いをさせてくれるとは、やっぱりタダ者じゃなかった。

→公式サイト http://www.geocities.co.jp/Hollywood/6209/kitiku-index.html

Posted: 火 - 3 月 23, 2004 at 04:51 午前              


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