ゴメ紀の終焉とその後


「合ドラの王様」の罪と罰(ACADEMIA その1)

2丁目のコミュニティスペース「akta」 で行われたACADEMIAというイベントに行って来た。

毎回その道の専門家を呼んで、ゲイのセックスとそれに関する問題についてお話を聞いていく企画だ。
初回の今回は、合ドラ(脱法ドラッグ)について。ゲストは国立精神・神経センターの和田先生と舩田先生。お二人とも同センターの精神保健研究所・薬物依存研究部というスゴイところで研究されている方で、日頃は覚せい剤やら麻薬やらの依存症患者を沢山相手にしているということだが、ここ最近は合ドラ(脱法ドラッグ)についても関わらざるを得ない状況だそうだ。

お話はまず、合ドラ(脱法ドラッグ)とは何なのか?その定義についてから始まり、各種ケミカル(化学)ドラッグ、特に、合ドラの王様とも言うべき5meo-diptの体への影響やその実体について、そして今話題のRUSHの規制について、実に興味深い内容のものだった。

●合ドラ=合法ドラッグというのは、使う側が後ろめたさを無くすために好んで用いた言い方で、実は、法律で規制されていない(法の目をかいくぐった)「脱法ドラッグ」だということ。

●脱法ということは、「その薬が何であるか」そして「体にどんな影響があるか」がまったく未知のものであるということ。巷でやり取りされている粉や液体に何が混ざっていてもおかしくないということ。つまり、合ドラ(脱法ドラッグ)を使うということは、「得体の知れない薬を、使用する人自身が人体実験している」ということに他ならない。

●特に各種ケミカルドラッグは、一種類が規制されても、化学構造式のほんの一部を変えたそっくりさんが次から次へと出てきてしまい、規制と新種登場のいたちごっこになっているということ。

●5meo-diptは、神経伝達物質の「セロトニン」 に似せて作られた化学物質で、、依存性があり、脳細胞を破壊する「毒」であることが動物実験でハッキリ分かったということ。特に、覚せい剤やエクスタシーがブレンドされた物であった場合、その毒性は数倍に高まるということ。

●RUSHは、狭心症の薬と似たような成分で、一時的に血管を拡張して気持ちよくさせるもの。毒性や依存性はハッキリと解明されていないけれど、国が薬事法の拡大解釈を使って規制に乗り出してきたということ。(「人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの」を「医薬品」とし、無許可で販売や製造しちゃいけないとするもの)


ゲイの間で蔓延した「5meo-dipt」。
ゴメとかゴメオとかカワイイ名前で呼ばれ、セックス(特にアナルセックス)好きなゲイ達にとっては夢の媚薬だった。ゴメオが日本で広まったのは2002年頃だったと思う。その前年くらいから出回り始めて、いつの間にかネコもシャクシもゴメゴメ言っていた。これは、アメリカでの規制が始まった頃と一致するのだと、今日の話で聞いた。市場を求めて海を渡ってきたというのだ。そして、ゲイの中でも快楽に関して探求心と情熱の高い人々に広まったのだ。

2005年4月に「違法」(麻薬指定)になるまでのこの時期を伏見憲明 さんが名付けて「ゴメ紀」(ジュラ紀みたいなもん)と呼んでいるワケだが、ゴメオ、そしてゴメ紀の罪というのは大きく3つあると思っている。

■ヘビーなケミカルドラッグへのハードルを低くしてしまった。
(覚せい剤の仲間の様なヤバイ薬なのに、「合法だ」「簡単だ」と手軽に試せるものだった。)

■セイファーセックスとそれへの意識を阻害した。
(気持ち良さ、薬のキマリ感が優先して、よりリスクの高い行為に走ってしまいがちになった。)

■体への悪影響。
(極端な例では死亡に至ったケースもあった。脳への影響、腸や肝臓への影響、他、体への影響は未知のモノで、何十年後かに現れないとも限らない。)

麻薬指定されてしまったゴメオに代わって、今も法の目をかいくぐった新種の「合ドラ」(脱法ドラッグ)がやり取りされ、こっそり使われているワケだが、ハッキリと言っておきたい。

「合ドラはヤメといた方がイイ」

ダイオキシンやアスベストみたいに、今は分かっていないけど未来には深刻な毒性が分かって、体に出現してくるかも知れない。その事だけでも「こんなものに手を出さないぞ」と決断するには十分だ。かつて「ゴメ紀」を気持ちよく過ごしたゲイ達も、今はきっぱりと足を洗ってもらいたいと思う。


一方、RUSHについては、その実体をあまり知らない国の役人の一部が、薬事法の条文を拡大解釈して、こじつけのように規制に走り出してしまったようだ。(和田先生もこれにはビックリしたとのこと。)
実際、RUSHごときでは、よっぽどの事がない限り死んでしまったり依存症になってしまったりはしないだろうに、お役所ではゴメオやエクスタシーなどと同じようにRUSHを見なしているのかもしれない。しかし、こんなにゲイの間では一般的に愛用されている「嗜好品」を規制してしまっては、かえって良くないことも起こりうると思う。「どうせ違法なんだったら、ドラッグや覚せい剤やっても同じ」と、エスカレートしていく人が居るかも知れないからだ。こうやって、どんどん闇へ、アンダーグラウンドへと潜っていってしまうのは少し危険だと思う。RUSHくらいは許してヤッテくれよと。

毒性や依存性という事で言えば、タバコやアルコールの方がRUSHや大麻なんかよりも数倍上だということは誰でも知っている。かつてはコカインがコカコーラに堂々と入っていたり、覚せい剤だって疲労回復・眠気覚ましの特効薬として「ヒロポン」の名で堂々と売られていた。
「嗜好品から規制対象へ」。その線引きをするのは、御上次第なのである。

ちなみに、帰りに寄った某フンドシバーで、たまたま居合わせたお客さんが、RUSH所持で警察の取り調べを受けたって話を聞いた。
現在、東京都では持っているだけで取り調べやら尿検査をされるものらしい。(販売などは、さっきの薬事法絡みでNG)
その辺の詳しい話は次回「ACADEMIA:行列のできるakta法律相談所!〜セイファーセックスと法律って関係あるの?」 で、ということだそうだ。



ACADEMIA Archives:vol.1 Rush・合ドラについて

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茶色の小瓶(RUSHが違法になる日)

Posted: 月 - 3 月 20, 2006 at 02:25 午前              


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