展覧会巡り日記 2000 in London / Art in the UK

2000年7月24日から30日まで、ロンドンでの展覧会メモです。

<7月24日>
 4年ぶりのロンドン。今回はロンドングループの展覧会搬入で、Matthew(44歳、グループの代表である)の家に1週間滞在する。彼の家は南ロンドンのBrixtonにある。夕方5時半にはヒースローに着いたのだが、Tube(地下鉄)がおくれ気味で家にはだいぶ遅くなってしまった。写真はDeclan息子(8歳)。ゲームボーイのポケモンを教えてくれた。
<7月25日>
 一夜明けてさっそく展覧会の搬入。会場の Lethaby Galleriesは, セントラル・セント・マーティンズの中にある。どこでもグループ展で場所を決めるのはたいへん。4時ごろまでには何とか展示も一段落し、Matthewがスタジオにつれていってくれるというのでついていく。きちっと整理された彼らしい作業場だ。
 

 ロンドンWaterloo駅から1時間あまりでSouthamptonに着く。はるばる足を伸ばしたのは『The British Art Show 5』(8月20日まで、以降、カーディフ、バーミンガムへ巡回)を見るためだ。前回、ダミアン・ハースト、サム・テーラーウッドらいわゆるyBa(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)世代の4(今から4年前)に比べると、今回はいささか力不足。若い世代の展覧会だと思っていたのだが、なぜだかデビット・ホックニーやスーザン・ヒラー、ポーラ・レゴ、1930、40年代生まれの大御所も顔を並べる。やや役割を終えた感がある。
 5時ごろにはWaterloo駅に帰り着く。ヘイワードギャラリーの『Force Field』というキネティックアートの展覧会へよってみる。ヘイワードの展覧会はいつでも充実しているが今回もとても良い。モビール以前のカルダーや、ヴォルス、アンリ・ミショーのドローイングなど日本であまり見たことの無い作品も。日本でもジャンニ・コロンボの展覧会(草月美術館)もあったが、何と言ってもこちらは展示の切れが良い。田中敦子のドローイングも数点あった。
 
<7月27日>
 新しくオープンしたテートギャラリー(Tate Modern)へ。ジュビリーラインのSouthwrk駅からは看板がでていて迷うことはないが、セントラルラインのBlackfriars駅から歩いたほうが、テムズ川ごしに旧発電所の建物を生かした建築の全景が一望でき、観光気分が盛り上がるだろう。中に入るとその大きさに圧倒されるが、同時に、にわかに現代美術の美術館とは信じがたいほどの多くの人々でごった返していた。一部インスタレーションのコーナーのみ3ポンドの入場料を取るが、その他の展示は従来通り無料。コレクションの質も高く、これぞイギリスという国の底力を感じる。展示については美術雑誌などで取り上げられている通り賛否両論ある(例えばマーク・ロスコの部屋は旧テートの空間の方が良いと思ったのは私とMatthewの共通の意見でもある)が、サム・テーラーウッド、スティーブ・マックインらのごく最近の映像作品も収蔵し展示しており、単に20世紀の美術の歴史博物館に成り下がらずに、これから未来に向かっていく動きを感じさせてくれる。日本の美術館も是非見習って欲しいと思う。日本人の作家では杉本博司、宮島達男、それにフルクサスのヨーコ・オノがあった。
 今日は自分の展覧会のオープニングでもあるので、テート見物もそこそこにして早めに切り上げる。かなりの賑わいを見せていたが、私自身は幾人かと会話をしたぐらい。
 
<7月28日>
 朝一番でPimlico駅から旧テートギャラリー(Tate Briten)に向かう。実は新テートの賑わいをよそに、こちらでも刺激的な展覧会が繰り広げられている。『Intelligence New British Art 2000』は、今年から3年おきに開かれることになるイギリス現代美術の第1回目の展覧会で、 British Art Showに比べ、かなり刺激的だ。ここでもスーザン・ヒラーの活躍が目をひく。何百ものつり下げられた小さなスピーカーと声を使ったインスタレーションはすばらしい。ジュリアン・オピーやサラ・ルーカス、ジリアン・ウエアリングらは以前よりさらに一歩進んだ印象を受ける。日本ももっと知性に訴えかけるような作品が増えるといいと思った。
 橋を渡ってバスに乗りバタシーパークへ。Pump Houseという新しいギャラリーは、たぶんテムズ川のポンプ小屋をギャラリーに改築したものだろう。窓からの風景も美しい。さらにバスを乗り継ぎSaatchi Galleryへ。ダミアン・ハーストの巨大な人体模型や、レイチェル・ホワイトリードの美しいインスタレーションなどがあるが、何か「終わって」しまった感がある。特にハーストは面白みに欠ける。さらに、バスと地下鉄を乗り継いでLisson Galleryへ。ここも老舗だが、今回はちょっと学生のグループ展のよう。もっともイギリスは夏休みまっただ中で、どのギャラリーもあまり気合いが入っていないのも事実。6時半、ブリティシュカウンシルのジェニーさんと再会。お茶を飲んで少し話をする。
 
<7月29日>
 今日はもうイギリスでの最後の日。朝11時から、英語の先生でイギリスの母でもあるローズマリーとあう。ちょっとおしゃべりをして、午後からはイーストエンドのギャラリーをいくつか回る。Old Street駅から少し歩いて、ホクストンスクエアーにあるWhite CubeLux Galleryへ。最近オープンしたWhite Cube2では、Sarah Morrisという作家の高層ビルをモチーフにした幾何学的な抽象。Luxはビデオを中心にしたギャラリー。
 適当に歩いているとBrick Laneにでた。週末は市がでるところで、人気の(当時はそうだったけれど)ベーグルを買って食べる。この先にはAtrantisという大きな画材屋さんがあるはずだと思ったが移転していた。インド料理店の並ぶ街を抜けるとWhite Chapel Gallery。『カール・アンドレ』の展覧会がやっている。日本ではあまりまとまってみる機会が無い作家の一人でもある。入るとすぐブロック状に切ったの木材を並べたインスタレーション。詩(ミニマル)の展示も。
 滞在中観光客らしいことを何もしていない自分に気づき、これは行けないと思ってコベントガーデンへ。ここだけにはいまだパンクが存在する。逆に気がめいるので、Tate Modernへ再び行ってみることにする。イギリスはこの時期9時頃まで明るいので、金曜と土曜日は10時まで開館している。すいているのを期待していたが、6時をすぎてもまだまだ混んでいた。とっても疲れたので黒いタクシー(最近はロンドン名物のタクシーも、様座なの色の広告を載せて走っている)に乗って7時半頃家へ戻る。Matthewにお世話になったので「すし」を食べに行く約束をしていた。近くにすし屋があるというの何も考えずに行ってみたが、不思議な外国人がカウンターの中に入っている。なにせBrixtonにはあまり日本人が住んでいない。お世辞にもあまり新鮮だとはいえないネタでてんぷらとすしをつまむ。

 

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