梅津から実行委員会へあてた質問状
(1996年4月23日付)
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「VOCA展」事務局御中前略、「VOCA展」推薦依頼書とカタログを受け取りました。VOCA展というシステムについて考え、その趣旨に最もふさわしい作家を自分なりに選びましたが、いくつか確認したいことと、お願いしたいことが出てきました。 1どの作家を誰が推薦しているのか、それとその推薦理由が明らかにされているシステムはとても良いと思います。 ただし、作家を選ぶ責任がはっきりしていて「気持ちがいい」システムを採用しているだけに、「誰が、どういう理由で、推薦者を選んだのだろう」という疑問がわいてきます。作家選定のシステムをカタログなどでオープンにしているだけに、推薦者の選出が見えないことは、観客にも同様の疑問を与えてしまうような気がします(自分が観客として見ている時にも、このことが気になった記憶があります)。これではせっかくの画期的な責任推薦性というシステムも生きてこないので、すごくもったいなく思います。 開催要項には推薦者は「実行委員会により選出」とありますが、より具体的に、「誰が」「どういう理由で」「誰を」推薦者として選んだのか、これもカタログなどで観客にわかるように示してもらえるようお願いします。 2出品作家を40才以下に限定しているようですが、世代を限定してこそ浮かび上がる感覚の表出をより積極的に提示したいのならば、作家と同様、推薦者、選考委員、実行委員、も40才以下で組織したほうが新鮮で活気のある、生産的な議論の場としての展覧会になると思います。 あるいは、逆に、年令に関係なく新鮮な感覚を見いだすことは可能である、と考えるならば、作家の側だけに年令制限を設けることが不自然に思えてきます。 作家の年令制限をなくすか、推薦者、選考委員、実行委員も作家同様に40才以下に限定するか、どちらかにしてしまったほうが、展覧会の狙いがクリアーになり、より魅力的な展覧会が実現するように思われます。 3責任推薦性ということですが、推薦者は、どこまで責任を持つのでしょうか。 展示プランはどのようにして決定されるのでしょうか。 作家によっては、インスタレーションではないにしても、自分の作品にふさわしい展示が可能かどうかによって、出品するかしないかを決定する場合もあると思われますので。 4具体的な作家の選定にあたって非常に難しかったのは、開催要項の5(出品作品)に明記されている「平面作品」が、具体的に何を意味するのかが判然としないことでした(物理的な作品の厚さが明記されてますので、この範囲内ならばレリーフ的な作品も許容されること、現場での制作が不可ということでインスタレーション的な作品は許容されないことはわかりますが)。 例えば、版画、写真、CG(モニターではなくプリントでの提示)など、また、絵画、版画、写真、CGなどのいくつかを組み合わせるような手法を取る作品も「平面作品」と判断してしまってよいのでしょうか。 確かに趣旨では「平面」という言葉が使われていますが、過去3回のカタログを拝読する限りでは、「平面=絵画」、すなわち「VOCA展=絵画展」という印象が強いのが気になります。 以上、勝手なことを書き連ねましたが、これは、責任推薦性というシステムが、いい加減に引き受けることを不可能にしている結果だとご理解ください。自分が推薦した作家の魅力が、最もよく伝わるよう配慮や努力をすることは、推薦者としての最低限の責務と思われます。上記4点について、なるべく具体的な返答をいただければ有り難く思います。 草々 梅津 元(埼玉県立近代美術館) 1996年4月23日 |
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