VOCA展をめぐる経緯について
梅津 元
1997年3月10日
はじめに最初にはっきり言っておこう。VOCA展は、あまりにも露骨に政治的だ。全国の美術館学芸員やジャーナリストを、若手の作家たちを、ある種のヒエラルキーに取り込んでしまおうとする意図を感じる。そう思っている私のもとに推薦依頼が来た。実に不快だった。 VOCA展への対応をめぐって、私には迷いがあった。VOCA展に対して不信感を持っていたし、断わってしまうのは簡単だった。しかし、私は、あえて引き受けることにした。自分が批判してきた展覧会に関わる以上、自らが抱いている不信感の原因をできるだけ明らかにすること、を条件として。 私の不信感の理由は、単純である。誰が、誰を、どのような理由で推薦しているか、それは明らかにされている。しかし、では、推薦する人間は、どうやって決めているのか?誰が決めているのか?そして、それが、なぜ明らかにされていないのか?VOCA展を見て、そういう疑問を持っていた。 以下に、一連の経過を時間の流れに沿って示しておく。
おわりにここに掲載した一連の経過を読んでいただければ理解していただけたと思うが、私の要望は、結局、聞き入れられてはいない。確かに、私は個人的には、ある程度、疑問に思っている点を知ることができたし、事務局石塚氏からの解答は、私の予想以上に誠実なものであった。しかし、その解答内容に納得がいくかどうか はまた別の問題であるし、私が望んでいるのは、主催者側が、これを明らかにしてくれることである。明確に答えにくい場合があることは十分に承知しているが、私は、万人が納得する模範解答を求めているわけではない。どのような意志決定も、主観的で、恣意的なものでしかないことを踏まえた上で、そのような決 定が、誰のどのような考えに基づいてなされたのかを明らかにしてほしい、というのが私の要望である。自分自身、ずいぶん煮え切らない態度を取ってしまったものだと思う。断わるなら断わる、受けるなら文句を言わずに受ける。確かに、その方がはっきりはしている。しかし、実際に推薦を受ける作家や、推薦を依頼 される人間の声を無視して、VOCA展のようなシステムが成り立つわけはないと思う。依頼を受けて作家を推薦する、という下請けのようなことを、何の疑問も感じずにできてしまう神経の方が、私は信用できない。結論的に言えることは何もないが、ここに掲載した一連の経過報告が、VOCA展に限らず、美術に関心を寄せ る人に対して、何らかの参考になれば、と思う次第である。 |
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