「子供の情景」Kinderszenen にむけて2000年1月14日
この絵を迷いのない大胆な線でサッサッサと描いた後、ただ一言「屋根の空気抜き、あるなぁ」と教えてくれました。*
「子供」も「情景」も、リリカルな言葉だと感じるのは実は錯覚であって、制度による内部への囲い込みが虚像を作りだす装置として働くだけの理由である。例えばアウトサイダー。一見何かの才能のような言葉だが、自分以外の者を境界を引いて内と外とに区別する側から見た視線である。しかも自分は境界の内側にいると疑わない。 「空気抜きのある家」は自閉症の子供たちの描画集*からの引用だ。重たい屋根の上にある煙突は「空気抜き」として機能する。堅く引かれた境界線に「空気抜き」は風穴を開け、内部と外部の圧力を一定に保つ。そうすれば内側にいて屋根の重みに押し潰されることもなく、外側にいて制度からの疎外感にいらだつこともない風通しの良さが生まれる。これはあらゆる破綻した制度に対して有効である。今、新しく制度の枠組みを作る前に行うべきことは、制度に「空気抜き」を開けてまわることなのではないだろうか。自分が内側で安堵するための制度作りは考え直さなければならない時期にきている。私たちひとりひとりが考えることさえすれば簡単なはずである。
*『風の散歩 小さな芸術家たち』寺山千代子監修/描画教育研究会 コレール社刊 絵:石田健 Textの目次へ戻る ご意見ご感想 こちら よりおねがいします。 Home | Diary | Exhibitions | Text | Books Project | Art in the UK |