Last Update : 2001.09.27

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キーボードというやつ

[2001.09.27]

PowerBook G4およびiBookシリーズ向けに「英語版キーボード」の販売を開始。

これは、たしかに朗報に違いない。当然のことといえばそうだろう。 PowerBook の「USキーボード嘆願署名」を展開した方々の、またはそれに賛同し署名した人たちの努力のたまものだと思いたい。

しかし、よく考えてみると「なんで、すべての機種でユーザに選択肢を与えないのか?」、「どうして、すべての機種で以前のように選択が出来るようにならないのか?」ともいえる。

以前は、マウスは標準添付でもキーボードは別売ということになっていた。 「キーボードを別売にしてもマウスは標準、マックにとってそれほどマウスは重要なアイテム」という意味のことがどこかの本に書いてあったが、マウスが重要であることに異論はないが、ちょっと違うと思う。

その当時マック用のマウスの別売品はそれほど多くなく、純正品を使うことにそれほど抵抗はなかった。(部品で別に購入しようとすると1万円以上した) ところが、キーボードは日本語版(JIS キーボードではなく、いわゆるカナキーボード)とカナ刻印のない英語版に加えて、拡張キーボードというやつが選択できた。(カナ有り無しが選択可能) 純正でさえ4種類の選択肢があったわけで、そのために「お好きなやつをどうぞ」ということで別売になってていたというのが、実情だと思う。

最近のマックと比較すると、べらぼうな高額品(今のが安物という意味でなく単純に販売価格が高かっただけね)で、アップルも相当な利益率を確保していたからこそ出来たことに違いない。 現在のように、コストダウンを最優先に考えれば「ユーザに選択肢を与える」など、とんでもないことかもしれない。

しかし、巷ではマック以外のパソコンから比べるとまだまだ高い商品であるといわれている。 確かにそうかもしれないが、時代の最先端技術で作られたパソコンがキーボードやマウスはもちろん、モニタやプリンタまで標準装備して7〜8万円でたたき売りされているというのは異常なことだと思う。

企業で大量導入するのなら1台あたりのコストがわずかでも安けりゃ、導入コストは大きく違うというも十分理解できる。だが、個人で購入することを考えると「なんでそこまで安くないといけないの」とか「もう少し高級感が欲しいな」とか思うこともある。

「コンピュータは100%実用のモノだ。」とみんなが思っているんだろうか? 「実用のモノには無駄なコストをかけるべきではない。」とみんなが思っているんだろうか? 「どうせ、2〜3年もすりゃお払い箱になるものにカネかけてどうすんの?」とみんなが思っているんだろうか?

もしそうなら、それは非常に寂しい。

材質とかデザインで高級感を演出することは、それほどコストアップすることなく出来るかもしれない。

品質や、精度を上げることはもう少しコストがかかるかもしれない。

いや、本当に優れたデザインはそれ以上にコストがかかるかもしれない。

もちろん、コンピュータにとっては性能や機能を上げることが、一番コストがかかるかもしれない。

しかし、本当にコストがかかるのはそのキカイ(ハードウェア)を活かす技術(ソフトウェアやユーザインタフェイス)に対するデザインではあるまいか?

ローマ字入力をする一部の輩(私もその一人)には、「カナの刻印が邪魔なうえに非常に醜い(見にくい)デザイン」であるとされ評判の悪い「JIS Keyboard」ではあるが、ただ単に「US Keyboard」に交換するだけで、全てが解決するわけではあるまい。

各キー配列や形状はそのままで良いのか?

各キーに割り付けられた機能はそのままで良いのか?

キータッチや刻印された文字のフォントデザイン、キートップ表面処理やタイプしたときの音質まで。

実は昔の英語版キーボードでさえ、すべてが同じであったわけではない。エスケープキーやエンターキーの位置や形状は微妙に違っていたし、もっと細かく言えば、通常「D」と「K」にあったポッチもいつの間にか「F」と「J」に移動してしまった。

本来ならば、そういう変更があったときにはその都度論議されるべきことであるはずなのに、「ま、いいか」ですませていたことにより、どんどん不満がたまって、しまいには堪忍袋の緒が切れるというパターンを繰り返しているようにも見える。

・ゴムスプリングのタイプは、押さえる力がある一定を越えると突然、カクッという感じでへこむので今一つタッチが悪い。

・キートップ表面処理に関しても、黒っぽい半透明のタイプは照明の加減によっては反射して非常に見にくい。

・「fn」キーはあのような特等席になければならないものか。(numlockだけでもいいような気がする)

・せめて「オプションとコマンド」ぐらいは左右対称で配置できないものか。

・キートップのポッチは「D」と「K」のほうが良かったように思うが。

・日本語入力モードのままで半角を入れたい場合、「オプション+シフト+なんとか」みたいに3つ以上ののキーを押さえることなく切り替えはできないものか。(コマンド+スペースでは入力フォントまで切り替わってしまう。)

・コントロールキーとキャップスロックの位置についてはいろいろ意見があるようで、いっそ任意で機能の入れ替えが出来るようにはならないものか。

・ついでにいえば「QWERTY配列」以外にも「Dvorak(ドボラック)配列」が良いという連中もいるようだが。

今回の「PowerBook」系列にはサイズ的な制限で無理な要求も含まれているかもしれないが、かつての拡張フルキーボードの様なデカイやつなら実現の可能性があるのではなかろうか。

そんなことまで、純正品に期待しなくても良いだろうという意見もあるかもしれない。 しかし、現在入手可能なサードパーティ製品を見渡して、純正品を上回る「高級感」や「手に馴染むデザイン」を実現している製品がどのくらいあるだろうか?

(機能や操作感の点はさておき、美しさや高級感では現行の"Apple Pro Mouse"に勝るものはない...と思う)

どのメーカも「コスト削減」に最大の力を注いで「買いやすさ」と「商品として目立つこと」以外の、「ユーザが本当に求めるモノ(購入の段階ではユーザ自身も気づいていないこともある)」を取り入れた製品には、まずお目にかかれない。 加えて、標準添付品以外に追加で購入するわけだから、大半のユーザの心理を正しく予測すれば、どうしても価格には敏感にならざるをえない。

あたりまえだ。なぜならそのメーカはその商品の販売でしか購入者からの利益は得られない。その人がアップル製品を買った時に支払った対価はすべてアップルに落ちるわけで、競争の激しい業界でそれほど売り上げの期待できないマック用の周辺機器にコストをかけるわけがない。もしそのような商品があったとしても法外と思える値段がついているか、すでに赤字で撤退したかのどちらかしかない。

(それにしてもキーボードが¥1,980である必要は全くない...と思う)

そうなると、本体である程度利益を上げたアップルこそがそのような製品を提供できる、最短距離にあるメーカであったりする。 仮に多少のコストアップになったとしても、購入時の選択ができるなら標準添付品に加えてもう一つ買う無駄に比べればユーザにとってもわずかな出費で済むはずだ。↓

10月下旬より販売開始される「PowerBook/iBook」ではキーボードが選択できるようになった。いやあ、めでたい。アップルストアだけだが...。(10.17/追加)

欲を言えばきりがないものではあるが、人間の欲望というものはそうしたものだ。 たぶん、アップルも「ひとつ要求を受け入れたら、すぐにまた...だから、やりたくなかった」と考えるに違いない。

既得権であったはずの「キーボードに対する選択肢」は取りあえず奪還できたわけだから、次のステップでは本当に使いやすい環境も含めて要求しよう。

アップルは、ウィンドウズ陣営に比べればそれほどユーザが多くないコトを最大のメリットとして、もう少しユーザの声を即座に反映させることが出来る体制を取り入れて、小回りの利くメーカであって欲しいものだ。

もし、そうなれば非常にうれしい。

....ということで、ヒトツよろしく。m(_^_)m
Hexagon / Okayama, Japan
(2001年 9月某日)