Last Update : 2002.07.20

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Apple & Macintosh

まだ見ぬ「New iPod」と、もう使ってみた「iTunes バージョン3」について

[2002.07.20]




「iPod」の新型である。

前回の「10GBモデル」追加発表の時ほど心中穏やかではない。

今回は、容量増加だけでなく新機軸タッチセンサー式スクロールホイールやリモコン、新型ヘッドフォンに専用ケース、細かいところでは「FireWireポートカバー」まで。その上価格は、最上位の「20GBモデル」でも以前の「10GBモデル」より安いのだから。

マックユーザにとっては、どうでも良いことではあるが「Windows」に対応したバージョンも発売されるようだ。それより製品保証期間がやっと90日から1年になった。デジタルな徒花でなく、まとっうな製品として親(アップル)から認知されたということか?

思えば過去10ヶ月近くにわたって、これほど身近において、文字通り寝食を共にしたデジタルディバイスは無かったろう。そのかわいがり方は、「Palm」以上である。

出張で、東京へ行くたんびに秋葉原界隈の「iPod Goods」を置いていそうな店をまわり、いろいろなモノを買いあさったものだ。大抵はどれも期待外れでその後継続して使用に供しているものは多くないのが残念であるが..。

発売は、8月上旬らしい。

一方、相方である「iTunes」もバージョン3となって更新された。ただし今回のバージョンより「Mac OS X」専用版で、こちらの方はすでに無料ダウンロード出来る体制になっており、早速アップデートしてみた。ま、デフォルト設定のやり方が悪いだけかもしれないが、慣れないと妙に設定が煩雑なのがちと気になった。

外見では、パネル面が以前より明るい色使いに変更されたようだが、「iPhoto」と同様にウィンドウサイズ変更時、リアルタイムに画面描画を更新する仕様になっているため動きはかなり重たい。加えて。追加機能が数多くあるようで、これも動きを重くしている要因かもしれない。

バージョン3の機能アップの目玉は、「スマートプレイリスト」であろう。画面上部にある「検索」フィールドのようにシンプルなインクリメンタルサーチではなく、シャーロックのカスタム検索条件のようにより細かい設定から自動的に曲を抽出してくれる。この機能はライブで行われるため、メインのライブラリに変更があった場合でも、その結果は直ちに反映されるので、使い方の応用範囲はかなり広い。

レコード販売業に携わる方や、膨大なコレクションをお持ちで、自分の所有するレコード(CD)でさえ管理に手を焼いている方には重宝される機能かもしれない。

かつて、たいしたコレクション量でもないのに、「ファイルメーカ」で所有レコードのデータベース化を本気で考えていた当時の自分が哀れになるほどの高機能ぶりである。あくまでも考えただけで実行にうつす行動力と根性はなかったが、その労力と結果を考えるとやらなくて良かったと思う。

ダグ情報としての保持できる設定項目もかなり増えた。「作曲家」フィールドの追加はクラシック愛好家には喜ばれる機能であろう。クラシックの場合「アーティスト」という項目だけでは「演奏家」と「作曲家」のどちらを優先するか迷ったものである。 また、レート(お気に入りの曲を格付け)という項目では、カーステレオなどで聴くベスト版CD作成などに役立つ。要するに「☆」を最高5つまで付けていくのだが、記入方法もマウスでなぞるだけで簡単に行えるところが「iTunes」らしい操作感である。

プレイカウント(各曲を再生した回数を記録)、ラストプレイ(特定の楽曲を最後に聴いた時間と日付をスタンプ)という機能などは、大きなお世話だという気がしないでもない。やたらに項目数が増えてリストの横方向の幅は増える一方である。みんなが「Cinema Display」を使っているわけでもないのだから、せめてジャンルなどはアイコンやカラーで識別できればリストの見やすさが向上するだろう。

そのうち、誰かがアルバムジャケットの写真を表示できるようにして欲しいといいだすに違いない。簡単な操作で、「JPEG」 ファイルや特定のフォルダを指定するだけで「ビジュアルエフェクト」に表示できれば、これはこれで面白いと思うが、まあ、あんまり「iTunes」本体機能を欲張ってもしょうがない。そのような機能はプラグインで出来ることを期待したほうがよかろう。

ちょっとした機能で便利になったといえるのは、「入力源」(ずいぶんカタイ呼び方だ)の欄に音楽データの入ったフォルダをドラッグすることで、そのフォルダ名ををプレイリストとして登録できるようになった。「iPhoto」ではすでに実現されていた機能だが、プレイリストを作成する手間はかなり軽減される。

ただし、「iTunes2」までのデータ管理方法と大きく異なるのが、デフォルト設定のままでは、ライブラリの登録時に勝手にコピーを作成してしまうところだろう。これも「iPhoto」と同様であるが、考えてみると恐ろしい機能である。

たとえば、楽曲データが5GBありHDの残り容量が2GBしかなかったら登録した時点でHDはパンクする。実際にやってみたわけではないが、多分エラーになって途中で作業が中断するに違いない。エラーになれば何があったのか原因を調べるだろうが問題は、残り容量が5GB以上あった場合だ。当然何事もなく作業が終了して、めでたくHDは10GB消費され、「そろそろHDの増設をかんがえんといかんな〜。」てなことを思いだしたら、HD屋の思うつぼだ。

ここはひとつ、いの一番に「環境設定」を開いて「詳細設定」にある「ライブラリへの追加時にファイルを "iTnes Music" フォルダへコピーする」という機能を切っておくことを勧める。

「iTunes3」のヘルプ機能はあまり出来が良くなく、本当に知りたいことをヘルプから参照するのは至難の業に近い。各設定項目にある言葉で検索しても、簡単に目的にの解説に行き当たることはまずない。せいぜい余計な機能解説をしこたま読まされた揚げ句に「はて、私はいったい何を知りたかったんだろう?まっ、いいか。」となるのが関の山だ。

どうして、一般的なマックのマニュアルのように画面のスクリーンショットを用いた、直感的に分かりやすい簡単なもので出来なかったんだろうか。とりあえずはダウンロード版だから仕方がないと納得しているが、本来のバンドルバージョンでは改善されていることを望みたい。

また余談だが、過去のバンドルバージョンにあった「iTunes について」を選んだときに表示される通称「iTunes チャンチャカチャン」が無いのも寂しい。たぶんこれもバンドルバージョンにはついているだろうけど....。バンドルバージョンに付いているムービーファイルをパチッて「Home/Music/iTunes」にいれてそのフォルダのエイリアスを「Library/Application Support」にほおり込んでおけば表示されるはずだ。

また、「プレイリスト」を選択している最中でも「command + B」でジャンルが表示できる。が、これとて自分で選択したプレイリストにわざわざジャンルやアーティストによる選択をしてみても仕方あるまい。各セルの先頭をクリックすればソート機能だけでも十分であることから、余計な機能といわざるを得ない。ま、それが出来てそれほど邪魔になるものでも無いので目くじらを立てなくても良かろうという意見もあることは十分に承知している。

しかし、「ライブラリ」を選択した画面上では「ブラウズ」となっている右上のボタンも「プレイリスト」選択時には「CD作成」に変わるため、見えるところにはそれと分かる機能のボタンはない。あくまでもメニューかショートカットで可能な追加機能である。このことから、開発者またはデザイナが機能追加には、同意したものの外見上の煩雑さを嫌って、あえてこのようになったのかもしれない。

バージョン1のころに比べると格段に高機能になったが、外見上でそれほど煩雑になった印象は無いところは非常に好感が持てる。これでもかといわんばかりに高機能を全面に出した小汚い「窓用」アプリとは一線を画した、さすがにアップルのデザインチームの仕事である。

また、今回のバージョンから「iTunes フォルダ」の場所が「Home/Documents」から「Home/Music」に変更されたが、なんで最初は「音楽」ではなく「書類」だったのだろう? たぶん「Mac OS 9」には「書類」フォルダしかなく、互換性を持たせるためにしかたなかったからだと思うが、これでついに「Mac OS X」専用アプリになったということかもしれない。

「iTunes3」の機能を紹介するサイトによると、このバージョンでやっと一般的な「MP3 Player」並になったそうだ。

どうして「数多く搭載された機能」をそれほど有り難がるのかはよく分からないが「窓たちユーザ」の嗜好がそうだから、一般的な数だけの論理から言うと、多くの人の(人であってマックユーザではない)要望に合致したバージョンアップなのかもしれない。

より多くの人の意見を取り入れることは、製品開発により良い結果を生み出す一つの方法かもしれないが、良いデザインひいては使いやすいデザインというのは必ずしも数多くの機能だけで実現できるものでもあるまい。「ザウルスたち」と「一部のPalm」を比較してみればわかるように、多くの人の意見を取り入れすぎると「美しさをもったシンプルさ」は生まれてこない。

ここでいう、「ザウルスたち」とは「WinCE/Pocket PC」機を含むが「一部のPalm」というのは「CLIE」は含まない。多くの人の意見を取り入れることとは、あくまでもそれを使用するユーザの要望のことであり、けっしてそれを多く売りたい人の要望ではないからである。出来合いの稚拙な技術を見せびらかすために、余計な費用を払うことにマヒしてしまった人たち、の意見もこの際無視してもらったほうが良いと思っている。

わかっている。少なくとも日本では、「Palm」や「Visor」より「CLIE」や「iPAQ」のほうが売れていることも、本家「Palm」や「Handspring」が苦戦していることもだ。

しかし、よおっく考えてみて欲しい。

動画像や凝った通信機能(簡単に使えるなら我慢もするが、山のような追加オプションと追加経費を払っていったい何パーセントのユーザがそのフル機能を使うと思うんだといいたい)などがその製品の現役期間において、果たしてどの程度重要項目になりえるか?

しょせん目先の技術で飾り立てても、短命に終わることは分かっているはずだ。(もっと熟成させたものだけが製品になってもいいんぢゃないの?)

機構が複雑になったことが、使い勝手に影響を与えないのならそれも良かろう。しかし、必ずや重量や操作性、電源寿命に悪影響を及ぼしていることは間違いない。携帯するモノは出来るだけシンプルな方が良い。シンプルなものであればあるほど、その短い製品寿命の中で使い切ってより新しいアイテムに移行しやすい。また、シンプルなものほど陳腐化する機能も少ないからその寿命(まだ使えるという期間)は意外と長いものだ。

仮に、最近の携帯電話の機能で新機種に変更するまでの期間に、果たして何パーセントの機能の使い方をマスターするか?また、その機能の中でいったい何パーセントの機能を製品を使用する期間で常用するか?おそらく、最後まで一度も使わない機能や、購入初期に使用したがその後使わなくなった機能の方が圧倒的に多いはずだ。ハードウェアにより多くの機能を盛り込んでも、それを引き出すソフトウェアがタコなら、使い勝手を悪くするだけだ。

だましのような小手先の技術で使い捨ての製品を乱造するから、いくらアホなユーザでもすぐに飽きられるし、そんなモノはほかのメーカにもすぐにマネされて、より安い価格で売られるようになれば競争だとばかり原価割れでも一歩も引かない価格破壊の泥沼。企業は技術競争だと勘違いしているが、結局は安く売りさばける流通と商売上のノウハウが勝負を決めてしまう。

機能が少なくとも、ソフトウェアのデキが良ければそれを使うユーザの創意工夫で何とかなるものが多い。 創意工夫までして使いこなした機器には愛着がわくから、おのずと製品寿命も長くなり、ついつい関連商品やアクセサリにも金をかけるようになるから市場に与える経済効果は意外と大きい。

メーカーも目先にとらわれず、じっくり販売していける製品の方が不良在庫になりにくい上に無駄な経費がかからず、結果として利益も大きい、ということに早く気づけば良いのだが...。

一般的に、ソフトもハードも機能が増えると増えた分だけ、使い勝手は悪くなるものだ。ただ単純に機能を取り込むのではなくその機能を良く吟味して、いかに分かりやすく簡単な操作で実現するか、中身は高機能であっても外見を如何にシンプルに見せるか。要は最初は取っつきやすく使うほどにその懐の深さを知るというような「ユーザインターフェイス」である。

「iTunes バージョン3」は、かなりの部分でこれに非常に近い優れたソフトウェアである。世が世ならこんなものがただで手に入るということは稀であろう。

新型「iMac」や「New iPod」を見るにつけ、エンターテイメント性ではやっぱりマックが一番だと思う。仕事も大事だがもっと一緒に楽しめるモノがあるんだから、コンピュータを仕事だけに使うのはもったいない。

「高価なおもちゃ」としてかたずけてしまうのでなく楽しみの中にも、いや楽しみだからこそ革新技術を投入する価値があるのかもしれない。新しく創造される「楽しい何か」というのは、ハードウェアやソフトウェアだけでなく、アイデアや発想も含めた利用技術(なにウェアだろう?)によって、次世代のための技術革新にかなりの割合で役立っている。

特定のビジネス分野においては、まだ解決すべき課題の多いマックである。しかし、ある一面においては、少なくとも音楽や映像を扱う分野では、最適なプラットフォームであろう。

このような、良いソフトウェア環境に恵まれていることをきちんと認識したマックユーザは、「Macintosh」の価格が決して法外に高いとは思ってはいまい。分かる人には分かる、そういったものだ。

....ということで、ヒトツよろしく。m(_^_)m
Hexagon / Okayama, Japan
(2002年 7月某日)