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[2006.03.14]
Apple iPod Hi-Fi ¥42,800 (Apple Store)
「あいぽっどはいふぁい」という、パワーアンプ内蔵のスピーカーシステムである。
トップパネルにユニバーサルドックを搭載し、リモコンも付属でアップル・ストア価格は42,800円。
ま、見方によっては「アップル純正スピーカ内蔵リモコン付巨大充電器」と言えなくもないが、「予備の充電器として一個買っとくかあ」というノリで買うにはチト高い。
う〜ん、ボーズ(SoundDock)より高いのかあ〜・・・、というのが第一印象である。
以前 "BOSE" の OEM で "Apple Design Powered Speaker" という製品があったのだが、コイツがまことに音の悪い代物でボーズが作ってもアップルが(デザインだけでも)口出しすると、この程度まで落ちるのかとため息をついた記憶がよみがえってくる。
◎新世紀にふさわしいステレオをご紹介します。iPod Hi-Fiの驚きのフォルムの中には、革新的な音響デザインが盛り込まれています。小さくパッケージされた数々の特長を、あなた自身の耳で確かめてください。◎
...と、アップルは言うとる訳だが、どうせまたデザインだけしておいてどっかのメーカに作らせたんだろう、と考えていた。
ところが、アップルのサイトで詳細を調べてみると、どうも筐体デザインだけでなく音響のほうまでアップルがやったらしい。おいおい、だいぢょおうぶかあ?と心配してみたものの、よくよく考えたら "iPod" 自体もアップルの設計だし、たぶん昔と違って音響関係のエンジニアも優秀な連中が社内にいても不思議はなかろう。
ふむ、ここはヒトツ人柱になって検証してみるか...と、いつもの悪い癖でポチッと。
アップルストアから到着した箱は、当初予想していたものよりかなりデカいものだった。もちろん、事前に仕様表のサイズ/重量の欄で「高さ:167.6mm・幅:431.8mm・奥行き(グリルを含む):175.3mm・重量(乾電池非装着時):6.6kg」というのは確認済みであったわけだが、その箱を目の前にドカッと置かれりゃ、やっぱり驚く。
梱包を解いてご本尊を拝んでみるが、なるほどそれなりの大きさである。こりゃ、"BOSE SoundDock" と比較するにはクラスが違いすぎて無理があるなあ。(バンタム級とヘビー級ぐらいか?)
アップル製品らしく背面までデザインされてスッキリした筐体だが、電源コネクタが少々出っ張る。それでも、ダイレクトにコンセントが突き刺さるのは美点の一つと言えるだろう。
他社製品には、それほどコンパクトでもない筐体を持ちながら、外部電源(それも不細工にデカい AC アダプター)にしてみたり、おまけにそれが 100V 専用だったりすると本当に腹が立つ。
ユニットの構成は、センターに低音用の13センチとその左右に高音用の8センチが配置される。 とりあえず、手始めにジャズヴォーカル系で音出しをしてみる。(Diana Krall/Live in Paris 2002)
おおっ、けっこう鳴るぢゃん。
さすがに箱がデカいだけあって、少々音量を上げても破綻しない(歪みっぽくならない)のは好感が持てるぞ。ヴォーカル、ギター、ベースの分離もいいし、オーケストラも奥行きをもって響かせる。ただし、レンジはそれほど広くない。良い意味でのナローレンジではあるがバランスは悪くない。欲をいえば、もう少し低域に広がりというか柔らかさが欲しい気もする。
たぶん、エージングが進めばもうすこしよくなるだろう。
ためしに、"iPod" 側でできる "Bass Boost" を設定してみる。これは、第5世代以降のモデルで "iPod Hi-Fi" に乗せたときだけ表示される、「スピーカ」という秘密のメニューの中に出てくる。「音色コントロール」という項目を選択すると"Treble Boost"・"標準"・"Bass Boost" という三択から選べるようになる。
あくまでも、いずれかひとつなのでラウドネスのように「上も下も」というわけにはいかない。どっちか選べというものだが、これはこれで正解のようにも思う。(イコライザの基本は欲張るな、である)
細かいことだが、真ん中が「標準」なら「高域強調」と「低域強調」にでもすりゃあいいのに "Treble Boost"、"Bass Boost" である。(iPod 側の手抜きだな、こりゃ)
お次は、ピアノトリオで視聴。(Eddie Higgins/Standard Higgins 2005)
7曲目の「フェリシダージ」は、たぶん 80年代のライブ録音だと思うが、なかなかの名演でお気に入りの曲の一つなんだが、録音はいまいち。名演=名録音でないところがつらい。特にテリー・クラーク(だと思う)のドラムはメリハリが効いていて、ヒギンズのピアノとのかけ合いは最高にノリがいい。
不思議なことに、この曲は「BOSE Companion 2」で聴くと録音のアラが目立たない。
もちろん、元音(もとのおとであって”原音”なんちゅう、大それたものぢゃないからね)をある程度忠実に再生するスピーカも悪くはないが、より気持ちよく聴かせるサービス精神も必要だろう。そういう意味でもさすがに「BOSE」は音ではなく音楽を聴かせるスピーカなんだなあと感心してしまう。
"iPod Hi-Fi" はそこまで器用ではないので、録音の悪いものはそれなりに出してしまう正直なスピーカである。
また、そのユニット構成からあまり音場の広がりはないが、小さなライブハウスのセッションなどとは相性が良くそれなりの雰囲気を持って鳴らす。サテライトの口径が小さい「BOSE Companion 3」とは対照的な鳴り方といえるだろう。
低音用ユニットからの直接音がベースラインのクリアさにつながる反面、柔らかさに欠ける傾向があるんぢゃないかと心配したが、ボソボソとした所謂「紙臭さ」はよく抑えられていると思う。それが、ソフトなエッジのダンパーで実現しているのか、非常に凝った内部のダクト構造が功を奏しているのかは不明である。
つぎは、同じくピアノトリオでトリオセンスというドイツの若手トリオ(たしか平均年齢は30歳前後か)。(Triosence/Away for a While 2005)
こちらは、最近の録音で音も良い。現在の主力機である "iPod with video" で唯一再生カウントが3桁を誇るお気に入り中のお気に入りである。
個人的な偏見ではあるが、オールドイツ人トリオというと、なにかこうガチガチの堅い音(よく言えば緻密な演奏)を連想してしまう。ところが、ピアニストであるベルンハルト・シューラーのタッチは意外にも、非常に繊細でなおかつ優しい。ブラッド・メルドーとともに最近のお気に入りピアニストである。
ベースのアルコ奏法で始まる3曲目の "Maybe There's a Princess Waiting"。ベースの輪郭もくっきりと表現するし、中盤あたりピアノの右手、かなり高域にわたる硬質な音色もクリアに再生する。
4曲目 "Dream of Dancing" では、パーカッションの粒立ちや、ややもすると歪みがちになるごく低域部分(なんという楽器なのかは知らぬが)も、破綻なくこなすところなんぞはたいしたものである。
音源は "iPod Hi-Fi" の上にチョコンと乗っかっている "iPod" であることも忘れて、ついついボリュームが上がってしまい、かなりの音量で聴いていることに気付く。トップパネルにあるドックコネクタの直前に、音量調節用のタッチスイッチがあるが、こちらも"ALTEC iM7" の押しても押してもなかなか反応しない劣悪なスイッチとは違い、感度は良好である。
やはり、卓上(デスクトップ)で気軽に楽しむというレベルは超えているなあ、けっこう筐体もデカいし。一応電池駆動も可能らしいが、単一電池6本も入れるとかなりの重量にはなるだろうし、ALTEC inMotion のように気軽にバッグに入れて持ち運ぶというサイズでは、当然無い。が、音質もあたりまえだが数ランク上である。
やはりアップルが言うように、リビングなどのちょっと離れたところに設置して、部屋全体に音を広げてやるようなポジションが最良であろう。
帰宅してたら充電のために "iPod" 乗せて、あとはリラックスポジションから酒を片手に "Apple Remote" でコントロール、というまるで絵に描いたようなパターンだな。
しかし、アップルとしてはマジで作った初のスピーカとしてはリッパなもんだ。他社製品のように、機能をあまり欲張っていない分、使用されている部品のクオリティや精度がかなり高いと思う。本来なら、"iPod with Video" の映像出力のための端子ぐらいは奢ってもよかろうという気もするが、今回は音楽にフォーカスしたということだろう。
42,800円という価格も、 "Apple Remote" の 3,400円を引けば 39,400円になるから、べらぼうに高いわけでもない。 "Apple Remote" が 3,400円もすること自体がおかしいだろうという輩は、アルテックなどにオマケでついてくるリモコンを使ってみれば良い。あんなリモコンに比べりゃ、はるかにマシだということが判るはずだ。(各機種ごとに、認識させることだってできる)
だいたい、よくあるカード型のリモコンなんぞは、2〜3ヶ月も使うとへたって本体の正面(受光部)の間近に持っていかないと効かなくなる。そのうちに、なんでこの距離でリモコン使わにゃならんのかということに気がついて自己嫌悪に陥るのが関の山だ。 "Apple Remote" は、どこに向けていてもたいていは反応するし、各機種ごとに登録しておかないとそこいらじゅうのマックが反応して慌てるぐらいだ。(でも、できれば 2000円ぐらいにして欲しい気もしないではない)
入力インターフェイスは、通常のアナログだけでなく光デジタルを持っているので、「AirMac Express」と組み合わせることによってマックからワイヤレスでダイレクトにデジタル信号を送ることが可能だ。(温室効果、ぢゃなかった音質効果はさておき、一部のマニアにとってはオールデジタルというのは、精神衛生上スッキリするんぢゃないかな?)
次期モデルとして発表されるであろう「iPod Hi-Fi 2」か「iPod Hi-Fi plus」では、ぜひ "AirMac Express" を内蔵して、単独で "AirTunes" 対応になって欲しい。
....ということで、ヒトツよろしく。m(_^_)m
Hexagon / Okayama, Japan
(2006年 3月某日)