ペアレント・トレーニングの紹介


ペアレント・トレーニング
「親が最良の治療者」という考え方をもとに、ADHDの子を持つ親を対象に行わるもので、原因としての親(の育て方)ではなく、治療(変化)への足がかりとしての親に着目した考え方。私たちファミリーメンタルクリニックや“ぺあ・さぽーと”では、AD/HDだけじゃなく、LDや高機能広汎性発達障害、その他の軽度発達障害の子ども達を対象としている。将来的には、虐待のケースや子育て支援の一環としてのプログラムも可能ではないかと感じている。平成17年11月現在、那覇市(自閉症親の会高機能部会)、浦添市(サンアビリティー・“ぺあさぽーと”)、沖縄市(ファミリーメンタルクリニック)、そして名護市(名護寮育園)で実施している。
中身としては、1週間ごしに計10回、各90分のプログラムをこなしていく。プログラムの中心は「行動」。子どもの「行動」であり、その子どもの「行動」に反応する保護者自身の「行動」。子どもと親の「行動」の連鎖・やりとりに焦点を当てることで、子どもや親の「人間性」や「関係性」の問題と距離をとってもらうのが目的。前半部分は問題行動とそれをめぐる親子のやり取りの観察。それに続いて日頃叱ってばかりの我が子の「いいところ」探し、そこから「ほめる」、そして「親子タイム」へとすすんでいく。日頃叱ったり反抗したりのマイナスのやりとりから、少しプラスのやりとりへと変化させるための試みというのが主な目的。後半は指示の仕方、無視の仕方、限界設定やトークンシステム(報酬制)といった問題行動とラクにつきあうためのノウハウへと移っていく。
ペアレント・トレーニングを直訳すれば「親訓練」。なんとなくこれまでの正しくない子育てを、訓練して修正するみたいな響きがある。実際には、普通の子育てじゃどうにもならない子どもを持つ親がいる。これらの親達は我が子子に対して、普通じゃやらない(高度な)子育てを求められていて、それを模索するお手伝いとしてこのプログラムがある。「親の自覚」とか「愛情」とか「抱きしめてあげる」といった、親の罪悪感を下手に刺激するためのプログラムじゃない。
このプログラムの発祥地は、米国カリフォルニアのUCLA。奈良教育大の岩坂英巳先生がそれを日本版に。それをファミリーメンタルクリニックと“ぺあさぽーと”が沖縄で実施しようと導入・普及に努めている。ある日、うちのクリニックの仲俣院長が「ペアレント・トレーニング必要だよな」と。医者として、軽度発達障害のケースについて、薬物療法やカウンセリングなど医療的な治療のみでの限界を痛感していたのだと思う。親や本人だって、クスリもらって自分の生い立ち話すより、家に帰ってこんな対応しましょうかっていう方向性を持って帰るほうが精神的にラクな時ってあるでしょ。そういう中から、私たちのペアトレへの動きが出てきた。
                                          知名孝

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