Architecture in Portugal       ポルトガルの建築と街  

 Mosteiro dos Jerónimos e Torre de Belém

修道院、要塞、世界遺産

主に16世紀

Architect | Diogo Boitaca, João de Castilhoなど

14-06-2006更新

 
教会の外壁。マヌエル様式の彫刻が柔らかい陰影をつくる。

ジェロニモス修道院はリスボン西部のBelém地区にある大航海時代の威光を今に伝える壮大な建築。1501年国王マヌエル一世が航海の安全祈願とエンリケ航海王子とヴァスコ・ダ・ガマの偉業を讃えるために建設を命じ,建設が始まった。完成までには約一世紀を要した。エンリケ航海王子は北アフリカのセウタを攻略したほか、航海技術の開発と指導に従事してポルトガルの海外進出に貢献した。ヴァスコ・ダ・ガマはインド航路を開拓した。建設には東方交易で得た富がつぎ込まれた。建設に携わった主な建築家はDiogo Boitaca(1460-1528 )、João de Castilho(1475-1552)、Diogo de Torralva(1500-1566)、Jerónimo de Ruão(1530-1601)。

 
    右が教会、左が僧房 教会南口、João de Castilho作(1517-18)
 
回廊に囲まれた中庭   中庭 食堂、Leonardo Vaz作(1517年)

 

19世紀に西棟などの改修工事が行われた。また19世紀の終わりにヴァスコ・ダ・ガマと国民的詩人カモンイスの棺が安置された。1933年にここの主であった教団が解体されると廃墟となってしまった。その後、修道院は国の管理下に置かれ1940年代まで子供のための施設として使われていた。

この修道院はマヌエル様式の最高傑作とされている。マヌエル様式は後期ゴシック様式とルネッサンス様式を融合させたものと言われている。キリスト教の神話に加え航海の道具や海洋生物をモチーフにした彫刻がふんだんに盛り込まれている。

こうした彫刻が施された石灰岩でできた空間、特に回廊は幾重にも光が反射、拡散し、柔らかい光で満ちあふれている。

また、ややもするとこの建物は非人間的スケールに感じられそうな巨大建築であるが、雄大さを感じると同時に、とても親しみやすい居心地の良い場所に感じられる。これは大きなスケールから人間に近い小さなスケールまで階層的に建築の要素が構成されているためである。回廊と中庭を仕切るアーチは好例。例えば一階では、大きなアーチにの中に二つの小さなアーチが納まり、さらにそのアーチのなかに二つのアーチが納まっている。

教会は平面を見ると3廊式であるが身廊と側廊の天井高が同じなので空間は3つの廊に分かれるというよりも一室空間のように感じる。リスボン工科大学の教授に聞いた話では、ポルトガルにある教会の多くがワンルームの形式である。リスボンには3廊式だった教会が単廊に改修された例もある。このジェロニモスの教会も同じ原理が働いていると思われる。

 

   
  回廊の1階/柱の直国は一本一本異なる
   
    回廊の2階
   
教会の天井、身廊も側廊も同じ高さ   祭壇をみる/詩カモンイスの棺

 

修道院から西に少し行ったテージョ川の畔に建っている。テージョ川の防衛のため、1514年に工事が始まった。ジェロニモス修道院の建設に携わっていたDiogo Boitacaが担当し1520年に塔が完成している。その後改修が行われ、18世紀に現在の姿になった。修道院と同様にマヌエル様式の装飾が施されている。建物は塔と水平に広がる堡塁からなる。堡塁の最下階には政治犯等を入れた水牢がある。その上の階には複数の放題が据えられていて川のあらゆる方向に砲撃が可能な配置になっている。19世紀以降は軍事的な役割が無くなり。税関管理所や灯台として使われていた。

参考文献

Equipa de Investigaçaõ do monesteiro dos Jerónimos, Guia MONESTEIRO DOS JERÓNIMOS ,(Lisba:IPPAR,1999)(日本語版有り)

Cruz, Isabel,Guia Torre Belém(Lisba:IPPAR,2002)(日本語版有り)

 

   
    ベレンの塔(Torre de belém)陸側から見る/川側から見る

 

 

   

 

アクセス

リスボンの中心からバスや市電を利用。市電15番を利用すると分かりやすい。

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