Architecture in Portugal       ポルトガルの建築と街  

 Pousada de Palmela

 1979

19-05-2006更新

 
 東側外観。主塔からみる。 

城壁内にある修道院を修復・改修してホテルに転用している。転用後の機能配置の変更が空間の持っている可能性を引き出していて興味深い。

 

この建物の歴史

城の起源は定かでないが、イスラムの要塞がかつてここにあった*1。ローマ時代やそれ以前からここに城があった可能性もある­­*2。

1147年 戦うことなくAfonso Henriquesによって征服された。しかし、間もなくイスラム勢力に再度、占領された。

1165年 Afonso Henriquesによって再び攻略された。

1185年 街の支配権を認める特許状が交付された。­­*2

1191年 北アフリカに拠点を置くイスラム勢力の侵攻を受け、約12年間イスラムの支配下となった。

1423?,43?-82年 この地を防衛するSantiago騎士団のためにIgreja de Santiagoの建設が行われた。ゴシックスタイル。(*2では1423年、*1では1443年)

17世紀 スペインからの再独立にあたって城に改良が加えられた。修道院が改修された。

1755年 大地震の被害を受けた。

 

 
  北側外観 手前から官邸、教会、修道院
 
  城、左が主塔 Igreja de Santiago入口
   
レストラン   ラウンジ/会議室/メイン階段

 

1834年 修道院解散令により使われなくなり廃墟となった。*2

1910年 国の重要文化財に指定された。この後、修復が行われた。

1979年 修復・改修工事を経てPousadaとなった。

参考文献

*1 CASTELOS E POUSADAS DE PORTUGAL, ENATUR, 1999, p87-106

*2 POUSADA DE PALMELA, No.129, DGEMN, 1984

 

既存建物

城は小高い丘の上に在り、Montemor o NovoやSesimbra、Setúbal、Alcácer do Salの城まで見通すことが出来た。それゆえ、この城は情報発信基地として中世においては軍事的に重要な城になっていた。東側の城壁は比較的新しいもので大砲に対応したものになっている。17世紀には緩やかな斜面の北側にもっと城壁があったと考えられている。*1

城壁内には西から修道院、教会Igreja de Santiago、官邸Paço de D. Jorge、更に主塔と接する形で教会Igreja de Santa Maria do Castelo(遺跡)がある。修復前の時点ではこれらは皆、廃墟であった。*2

修道院(現在のPousada)は丘の西端の断崖の上に建っている。15世紀に建立されたが17世紀にほとんどの部分が改修されたと考えられている*2。平面形は四角い中庭を囲む単純なかたちで3階建てである。装飾的な要素はほとんど皆無で簡素な作りである。修復前の段階では床も屋根も無くなっていた。教会Igreja de Santiagoは修道院と隣接する3廊式の教会で、ゴシック様式の入口が特徴的である。

参考文献

*1 CASTELOS E POUSADAS DE PORTUGAL, ENATUR, 1999, p87-106

­­*2 POUSADA DE PALMELA, No.129, DGEMN, 1984

 

修復・改修後の状況

城は修復され公開されている。主塔と接する教会Igreja de Santa Maria do Casteloは遺跡のまま公開されている。官邸Paço de D. Jorgeは廃墟のまま保存されている。教会Igreja de Santiagoは展示施設となった。

修道院は床や屋根が修復されPousadaとなった。一階にバーやレストランといった公共的な機能が回廊廻りの部屋に納められた。エントランスとレセプションは2階に設けられた。2階にはこの他に客室が作られた。3階は客室である。

1979年の時点では上記の機能配置であったが、現在は変更されている。この変更が、建物が持っている形態の可能性を掘り出していて興味深い。まず、エントランスとレセプションが公共的な機能が集まっている1階に移動した。北側の部屋に納まっていたレストランのダイニングが回廊に移り、その部屋は多目的室となった。この変更で1階は回廊を中心にアクティビティが展開し華やいだ雰囲気になっている。レセプションからバーやレストランが回廊、中庭越しに程よい距離を置いて見えている。回廊は建物の中心的な存在であるにも関わらず、以前の計画ではレストランに行く一部の人が通過するだけであったから、相当の改善である。回廊の従前イメージにとらわれて通路にするよりもホテルとしてはこの方が活き活きとしている。

また、2階に目を向けてみるとエントランスが同じ階に在るときよりも各段に客室のプライバシーが増している。

1階の新しいエントランスは前庭から中庭に繋がっていた通路を利用して設けられた。これも、既存の空間構成から可能性をうまく読み取った結果であるが、これと同時に設けられた雨よけの庇がその奥に展開する華やかな空間に比べてあまりに貧弱なデザインなのが残念でならない。

前述の回廊における機能の変更と同様なことはÉvoraのPousada dos Loiosでも見られた。Pousada dos Loios同様、これも空間が潜在的に持っている可能性にあわせてアクティビティ再配置した好例である。

 

 

 
  バー 中庭、レストランを見る
 
  中庭 中庭、手前がメイン階段
 
  客室 エントランス
   

 

アクセス

リスボンのPraça Espanhaからバス利用。

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