Architecture in Portugal       ポルトガルの建築と街  

 Pousada de D. Dinis

 1982

30-03-2006更新

 
城壁の上にレストランのメインダイニングが見える 

 

ポルトガルの北部、国境のミーニョ川沿いに位置する。川の向こうはスペインのガリシア地方である。城壁内の街区一帯がポウサーダとなった。この転用に伴って城壁内に建てられた新しい建物が、街の視覚的構造を再生している。

1320年 王D. Denisの命で街の建設が始まった。100世帯が入植した。世帯数に対して城壁内のエリアが小さかったことから、入植直後から城壁の外に住居があったと考えられている。*

1321年 街に対して王D. Denisから領地の支配権や特権を保証する特許状が与えられた。*

16世紀 堀が作られた。ペロリーニョが建てられた。*

1512年 D.Manuel Iによる改良。*

17世紀 城壁内に現在も残っている教会Igreja Misericórdiaや市庁舎が建てられた。*

1643年 ガリシア軍の攻撃をうけた。要塞はなんとかこれを凌いだ。その後、更なる攻撃に備えて新たな城壁で街を囲んだ。囲まれた範囲は長さ150m幅75mほど。新たな城壁による境界線は旧市街を拡張させると同時に古い城を統合した。*

1660年 初代子爵の子孫Diogo de Limaによる要塞の改良。このときには街の外周部も城壁の内側に防衛されていた。*

1844年 主塔の一部が取り壊された*2。主塔は高さが半分になった*。

1845-46年 城壁や城門の取り壊しが始まった。*2

1875年 要塞の取り壊しが許可された。*2

1905年 堀が埋められた。*2

1982年 残った城壁内に新たにレストラン棟を建設し、既存の家屋を転用して、城壁内の街区一帯がポウサーダとなった。*

 

参考文献

*Castelos e Pousadas de Portugal, ENATUR, p12-25

*2 Direcção-Geral dos Edifícios e Monumentos Nacionaisのwebサイト, http://www.monumentos.pt/

 

既存建物郡

現在残っている街の城壁は囲っている範囲の小さい中世のものだけである*。城壁内には街の中心的な広場からとミーニョ川側からの二カ所から入ることが出来る。

城壁内には2本の通りがあり、それらに沿って家屋や教会Igreja Misericórdiaが建っている。旧市庁舎の前には小さいが広場もある。

 

参考文献

*Castelos e Pousadas de Portugal, ENATUR, p12-25

 
  左、城壁内に入ったところ/中、城壁内の通り/右、城壁に上がる階段
 
  城壁内の通り、宿泊客以外にも開かれている 城壁内の通り、奥にレストランの入り口が見える
 
    城壁内の広場 2城壁内の広場、右側は客室の増築部分

 

増築・改修後の状況

城壁内の街区一帯がポウサーダとなった。レセプションは城門の脇、城壁の外側にある一軒の家屋を転用して設けられた。城壁内の教会はそのままである。旧市庁舎はラウンジ、バーに転用された。

川の眺めが良いところに、レストラン棟が新たに建てられた。遠くから見ると城壁の上にガラスの箱が乗っているように見える。城壁の中ではガラスの箱は通りのアイストップになっている。この棟の北側は並びの家屋に合わせて1層分の高さになっている。一方、南側に向かって高さが高くなり、城壁際にメインダイニングのガラスの箱が置かれている。北側は家並みの一部として、南側は村の新しいシンボルとしてデザインされているのが良くわかる。惜しいのは南に向かって競り上がる階段室の白い壁が、他の部分に無いスケール感と形なので、見る角度によっては本来シンボルであって欲しいレストランのガラスの箱より目立っている点である。

客室は既存の家屋を利用して設けられた。宿泊客は城壁内の街路を通って客室に向かう。これらは必要に応じて増築を行っている。増築はいずれも既存の塀の内側に留まり、高さは塀の上にわずかに新しい屋根が伺える程度である。

ガラスの箱のアイストップを設けたほかは極力街路の性格を以前の状態に保とうとしている。本来あったはずの主塔の正確な位置は分からないが、ガラスの箱は失われた主塔が担っていた視覚的役割を補っていると考えられる。街の視覚的構造を再生したのである。

 

 
  向かって右がレセプション 城門からアプローチする
 
    かつての市庁舎、現在はラウンジ、バー バー
   
レストラン棟/白いボリュームの中の階段   レストラン外観、向こうが川 メインダイニング
 
客室の増築部分   客室棟内,既存部分 客室棟内,既存部分
     

アクセス

O Portoから列車を利用 。Vila Nova de Cerveira駅から徒歩で5〜10分くらい。

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