Architecture in Portugal       ポルトガルの建築と街  

 Pousada Santa Marinha da Costa

 1985

 Architect | Fernando Távora  

 

23-03-2006更新

30-03-2006更新

 
西側外観  

火災で荒廃してしまった元修道院を修復、改修・増築してPousada(ホテル)に転用。

これ以前の古い文化財を利用したpousadaでは復元が主流で、文化財への積極的な増築はあまり行われていなかった。また機能的に必要な変更が加えられてもそれが建築表現に結びつくことは少なかった。この計画が一連のpousadaのなかで、増築や改修の作法を示す重要な作品となった。

 

この建物の歴史

959年 この場所について述べた最も古い文献、Mumadora(Guimarãesの創設者)の意見の日付がこの年になっている。当時この土地はLaurosaと呼ばれていた。10世紀後半には塔のある大きな建物がここにあった。その建物はイスラム(Mozarab)時代には宮殿として使われていた。*

1154年 修道院建立。ロマネスクスタイルであった。*

16世紀 再建。内陣のヴォールトや回廊は当時のものである。*

1537〜50年 修道院は大学としての機能も担っていた。*

16世紀後半 集会室への階段設置。*

18世紀 集会室の壁がタイルで装飾される。*

1748年 教会の工事開始。ファサードはロココスタイル。聖歌隊席、説教壇、オルガン、天使や神話上の人物が掘られたロココスタイルの彫刻もこの時代のものである。*

1834年 修道会が廃止され、修道院は個人所有となった。その後、無数の変が行われた。*

1934年 神学校として利用される。結果的に更なる改変が行われたが、それらはどれも粗末なものであった。*2

1951年 火災。*2

1972年 ポウサーダとして利用するため政府が買収。*2

1979年 修復・増築工事開始*2。建築家はFernando Távora。

1985年8月 工事完了*2。ポウサーダとなる。

参考文献

* POUSADA DE SANTA MARINHA DA COSTA, BARROSO DA FONTE, ELO, 1995, p9-41

*2 De Conventos a Pousadas(872-1997), Fernando Rui de Alberto Rosado Correia, FA-Universidade Técnica de Lisboa, 2003, p78-102

 

 

既存部分

山の中腹に建ち、回廊のある四角い中庭の北側を教会、その他3方を修道院の部屋が囲んでいる。中庭の南東側から南に向かって個室や食堂の納まった長細いボリュームが配置されている。教会の内陣のボォートや回廊は16世紀の再建当時、その他の大部分は18世紀のものである*。ただ、細かく見るとさらに時代を遡って10世紀(イスラム支配時代)以降の要素も複数現存している*。鐘楼の足下には10世紀の出入口(Porta moçárabe)、回廊の壁には12世紀のアーチが見られる*。ロココスタイルの教会の正面には大階段と広場が設けられ、Guimarãesの街が一望できる。

修道院の2階の南端にはテラス(Veranda de Frei Jerónimo)があり、東側に庭、西側に街を見渡すことができる。テラスといっても彫刻の施された木製天井で覆われ、中央には泉が、壁際にはベンチが設けられた半屋外スペースである。

 

参考文献

* POUSADA DE SANTA MARINHA DA COSTA, BARROSO DA FONTE, ELO, 1995, p9-41

 

 
  左下の赤茶の屋根が増築部分 かつて個室(現在、客室)への廊下を見る
 
  回廊 多目的室、会議仕様
 
 

回廊、12世紀のアーチが壁に埋まっている

Porta moçárabe,10世紀 テラスの外観
 
    テラス テラスから建物東側の庭園を見る

 

改修・増築後の状況

教会はそのままの機能で使われている。修道院中庭の西側は間仕切りと階段の位置が変更され、1階がレセブション、2階が客室となった。中庭の南側は間仕切り取り除かれ1階がバー、2階が会議室となった。北側の長細い棟1階の元食堂と厨房はレストラン、厨房となり、2階の元個室は客室となった。西端のテラスは修復され以前と同様に憩いの場を提供している。中庭周りの回廊では調査過程で壁面姿を現した古いアーチをそのまま表して建物が重ねてきた時間を可視化している。

L字型の増築棟が西側の棟の南端に接続された。客室やサービス関係緒室が納められている。増築棟は既存棟のB1,B2階のレベルにあるが、傾斜した地形を利用して、2層とも大きな開口が確保できるように配置されている。

レセプションの裏にある階段を下りていくといつの間にか増築部分へ連絡している。

遠くから眺めると屋根の色に近い赤茶色の増築棟は既存棟の基壇であるかのような自然な佇まいである。また、建物に近づいて、L字に挟まれた庭から見ると白い壁の既存棟と赤茶色の増築棟の対比が鮮やかである。一方で増築棟の表面は格子状の窓で細かく分節されているので、修道院や教会のスケール感と馴染んでいる。ただ、この見事な空間表現が通常の利用者があまり目にしないところにあって、プログラム配置や動線計画とうまく統合されていないのが惜しいところである。

だが、この計画が一連のpousadaのなかで、増築や改修の作法を示す重要な作品となったのは間違いない。

 
 

レセプション

バー
 
   

増築塔と既存の接続部分

客室、増築棟内
   
左、レストラン入り口/右、レストラン   レストラン、厨房前
   

 

 

左、客室からレストランへの階段/右、天井の彫刻    
   

アクセス

Guimarãesの街の中心からタクシーで10分ほど。歩いても行けそうですが、ずっと上り坂になります。。

左、既存棟の客室前の廊下/右、開口部詳細   増築棟前の庭から教会を見る  
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