「白蛇教異端審問」傍聴席から


「白蛇教異端審問」桐野夏生著
桐野夏生、デビュー12年目にして初めてのエッセイ集です。
本には、表題の「白蛇教異端審問」他、コラム・日記・書評・ショートストーリーなどが収録されています。
作家の日常を垣間見ることが出来て面白かった。
小説の印象で抱いていた作家像を、ほとんど小説の主人公と同化してしていました。
このこと(なぜ、読者は作家と主人公を同化させるか)は、著者もエッセイのなかで触れています。
よく考えたら当然のことですよね。
取材や人物設定を通して想像をかき立て、冷静に素材を料理して作品として仕上げているです。
さすがに物書きのプロフェッショナルです。
かと言って、こちらの勝手なイメージが崩れても、やっぱり強くて鋭い桐野夏生でした。
胸くその悪い男や女の前に
芙美子さんの腸を見せてやりたい
さて、著者は、林芙美子のこの詩を旗印に「白蛇教団」を作り、表現するにあたり腸を見せる覚悟の必要性を説いています。
教団設立の故は、言われなき不当な言い分で、著者の作品を批評されたことを端とします。
そして、その批評に対しての返答が「白蛇教異端審問」なのです。
作家の脳味噌がギュッと緊張して引き締まり、思いが溢れて奮える魂が伝わってきます。
今のご時世では、何かを強く主張したり、人前で奮える人は、嫌われる傾向にあって、
著者言うところの「ネットにおいての平らな怒りの平均化現象」が蔓延しています。
私より少し先を行く年齢の、この人の、このスタンスに刺激されます。

この本のカバーデザインの白蛇のウロコ(写真)が、著者のイメージにぴったりです。
桐野夏生の小説は、爬虫類のヒンヤリした皮膚感覚が、ぴったぴったと伝わってくる感じがして・・・
このキャッチュなエグイさが好きか嫌いかで、著者のファンかどうかが決まってしまうぐらい、インパクトがある要素だと思っています。
腸をさらけ出す覚悟もさながら、散らばった腸そのもののモチーフが、作家の嗜好に合っているんだなと思っている次第です。
以上、「白蛇教異端審問」議会、傍聴席応援席側からのレポートでした。
桐野夏生のオフィシャルHP
上で、
「自ら金髪のカツラで変装、ヘンな70年代の白人のおばさんになりきって登場する」
フォト・ストーリー
を公開してます。
そんな、遊び心が格好いいかな。
このページの背景画像は、やっぱりニシキヘビかアナコンダの大柄な蛇柄でした。
Posted: 2005-03-16 at 08:27