能率手帳バインダー(8穴)──手帳(1)
「手帳」という言葉には、実態を超えたイメージを喚起する不思議なちからがある。
手帳について書かれた本はたくさんあるし、多くの人が試行錯誤を続けているツールだろう。
それも、愉しみながら。
1年ほど前に使うのを止めるまで、(正確にはまだ確かめていないのだが)恐らく30年以上の間、「能率手帳バインダー」というのを使い続けてきた。途中で「バイブルサイズ」も使ってみたことがあるのだが、結局また元へ戻った。この手帳を使う前は、どんな手帳を使っていたのか、あまり確かな記憶はないのだが、いちばん最初に使っていた手帳のことは憶えている。父が、勤め先から毎年貰ってきてくれたバックスキンの表紙の小さな手帳を、中学生の頃に初めて使った。大して書くこともなかったと思うが、何やら書き込んだ数冊が、探せばどこかに残してあるはずだ。「能率手帳バインダー」を使う直前に、「システムダイアリー」というメーカーの、バインダー手帳を使っていた。それが、同じ8穴の「能率手帳バインダー」に移行していったのだろう。「能率手帳」は、ビジネスマン御用達の人気のある商品らしく、紙質も紙色も、印刷インクも意匠も、一切変えることなく今も続いている。これはメーカーとして大した見識だと思う。特に、他のメーカーに比べて見識だと思うのは、「六曜」を入れないというポリシーを変えなかったことだ。探してみれば分かることだが、「六曜」を入れていない手帳メーカーなど皆無と言っていい。毎年、来年の分が9月頃に売り出されて、メーカーへの要望を書くページが必ずついていた。毎年、僕が書いて送ったのは、バインダー手帳の場合は、ページがバラバラになるので、どのページにも「年」を入れて欲しい、ということだった。さすがに頑固なメーカーらしく、なかなかユーザーの声は届かなかったが、(今調べてみると)「1994年」から、僕の要望は受け入れられた。他にも多くのユーザーが同じことを要望したのかもしれない。普通に綴じ合わされた手帳の場合は、まったく必要のないことなので、もしかすると同じ印刷原版を使うために、遅れたのかもしれない。能率手帳にユーザーが多い理由の一つに、1時間ごとの数字と30分ごとのマークという時刻の表示方法があったと思う。しかも、右側のメモのページにはみ出して、必要な場合は24時間の予定・記録が可能にしてある工夫も実用的だった。日本の多くの手帳メーカーのものだけでなく、有名なFilofaxの週間リフィールでも「土・日」の欄が、他の曜日のよりも小さくなっているものが多い。このデザインは、「土・日」は仕事も予定もないはず、という理解不能な前提で作られている。「土・日」は休み、という仕事は確かに多いと思うが、仕事以外には使うな、という意味にしかとれない。仕事に使おうがプライベイトに使おうが、そんなことはメーカーの指図することではあるまい。能率手帳は、その点でも見識のあるメーカーだと思う。その「能率手帳バインダー」の売り場が、バイブルサイズやミニ6穴に押されて、どんどん片隅に追いやられている。よほど大きな店に行かないと、店頭にある店は少ない。サイズもちょうどいいし、メーカーの見識も評価できるのに、残念なことだ。僕が30年ほども愛用してきた「能率手帳バインダー」を使わなくなったのは、まったく別の理由からである。
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」2004年12月19日号「
B6バインダー手帳──手帳(4)
」2004年12月12日「「A6ノート手帳」──手帳(3)
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」
Posted: 水 - 7月 28, 2004 at 08:34 åflå„