「敵性戦闘員」にジュネーブ条約は適用されない?
キューバにあるアメリカ軍グアンタナモ基地の収容所「キャンプ・デルタ」に囚われている人々のことを以前に書いた。「囚人」でも「捕虜」でもない
(6月17日号)、彼らをアメリカがどう呼んでいるか、今日のNHK『クローズアップ現代』を見て初めて知った。アメリカは、彼らを「敵性戦闘員」と名付けているらしい。
番組の主題は、イラクのアルグレイブ収容所で起きた「虐待」の事実を、ずっと以前から立ち入り調査をして知っていた赤十字国際委員会が、「守秘」の原則を貫いて、何一つ公開せず、「虐待」を止めさせることもできなかった、という問題についてだった。赤十字国際委員会は、スイスのジュネーブに本部があり、スイスの元外務大臣が現在委員長を務めているのだが、資金の4分の1は、アメリカが出しているのだそうだ。アメリカ政府は、「テロ組織」の戦闘員はジュネーブ条約の適用外という、ジュネーブ条約無視の立場を取り続けている。その典型がグアンタナモなのだろう。赤十字国際委員会は、第二次世界大戦中も、ナチスによる強制収容所の実態を知っていながら「守秘」という原則を貫いて、何百万人ものユダヤ人を、結果的には「見殺し」にした。その反省を生かそうと1980年代から、情報公開を取り入れる修正を行ってきたらしいのだが、うまくいくこともあれば、うまくいかない時もあったようだ。だが、「虐待」の事実を知りながら、「黙っている」ことは、「虐待」を黙認し、荷担していることと同じだ、と元調査員たちのグループが指摘しているのは当然のことだろう。実際、世界の各地で、赤十字国際委員会が収容所や刑務所の「立ち入り調査」を行い、人権侵害を指摘して改善を求めると、「アメリカがやっていることに比べればマシじゃないか」という言葉の返ってくることが多くなったらしい。それは、そうだろう。「アメリカの資金で運営されて、アメリカには甘い」ととられても仕方がない。スイス人のジャーナリストが番組のなかでコメントしていたが、例えばイラクで赤十字国際委員会が攻撃の対象にもなったように、「西側の立場をとる組織」と見なされているようだ。アルグレイブでの「虐待」の非公開=黙認、という構図は、ますますその感を強くしたに違いない。赤十字国際委員会が、「人権侵害の番人」という使命を果たせなくなった時は、その役割を終えるしかあるまい。「人権侵害」を具体的に止めさせることができないような組織なら、あってもなくても事態は変わらないからである。
Posted: 月 - 8月 2, 2004 at 10:53 åflå„