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Today 4月12日 アメリカで南北戦争始まる (1861年)


アメリカでは、「南北戦争」とは言わないで、「Civil War」。一時的には南部に別の国が独立した形になったのだから、「内戦」というよりも、「二つの国の間の戦争」と言えなくもない。勝った北部が、南部の独立を粉砕した結果、もともとのアメリカ合衆国になっただけで、歴史の経過次第では、どうなっていたかは分からない。

南北戦争を背景にした映画は『風と共に去りぬ』以外にもたくさんあるが、映画『楽園をください』(1999年/アメリカ)は、南北戦争を題材としたどの映画とも違っていた。
期待して見た訳ではなかった。たまたま、放映されていて、今をときめくトビー・マクガイアが出ていたので、何となく見ていた。
大体この『楽園をください』というタイトルの意味が分からない。だが、見ているうちに目が離せなくなって、最後まで見てしまった。
予備知識もなく、期待もしていなかった映画に、思わず惹きつけられてしまう経験は、映画を見る楽しみの一つであるが、この映画は、まさにそういう映画だった。

南北戦争を背景にした映画はたくさんあるし、南北戦争そのものを取り上げた映画もたくさんあるが、この映画はそのどれにも似ていない。
南北に挟まれた中間諸州の住民が、南につくのか北につくのか、家族・隣人同士で引き裂かれ、殺し合うという悲惨な状況を描く。
こういう目の付けどころが鋭い。
実際の「市民戦争」は、きっとそうだったに違いない。青い軍服を着た北軍と、茶色い軍服をきた南軍に、はっきりと二つに分かれて戦争していた訳ではないはずだ。

リンカーン大統領が当選して、南部綿花栽培の労働力であった黒人奴隷の解放を宣言したことが大きな原因になったことは確かだとしても、本来の問題は工業の発達した北部と、農業中心の南部の産業構造の違いが最大の問題だったのだから、その中間諸州の住民が「Show the flag」と言われても、複雑であったに違いない。

主人公のジェイク・ロデル(トビー・マクガイア)は、ドイツ系の移民で、父親が北に肩入れしているのに対して、自分は南に肩入れしている。(「ドイツ系移民」というのも、恐らく重要なキーワードなのかもしれないが、僕には読み解けない。)
戦闘シーンがあり、殺戮シーンがあり、「市民」同士が殺し合う悲惨な状況が、主人公の恋や友情や成長ととも描かれていく。

この映画の監督がアン・リーであることを、これを書くことにして調べて初めて知った。
そうか、やっぱりアメリカ人じゃないから描くことのできた映画なんだ、と思った。
香港の、中国人だからこそ目をつけることのできた状況だったのではあるまいか。
アメリカ人が「Civil War」と呼ぶのは、恐らく「南部の独立を阻止して合衆国を一つにまとめた戦争」という、「勝者の論理」が前提となっているのだろう。それが「公式の歴史」だ。
だが、外国人から見れば、そんな簡単な話ではなかったはずだ、と闇に葬られた歴史のほうに目を向けたくなる。

アン・リー監督の目のつけどころ、この映画の面白さはそこにある。
実際、この映画の製作中、南北戦争を描いていることに対して妨害らしきものもあったという。むべなるかな。
「輝かしい北軍の勝利」という神話を、この映画はいくぶんか傷つけることになるかもしれない。
だが、実際の戦争は、この映画のように、身近で・ありきたりで・残酷で・人を狂わせるものに違いないのだ。
この映画の原題は『Ride with the devil』(悪魔と馬に乗る)。邦題と、あまりに違い過ぎるんじゃないの。

Posted: 月 - 4月 12, 2004 at 08:58 åflå„          


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