Today 4月7日
戦艦「大和」が九州南方海上で、米軍艦上機約千機の集中攻撃を受けて撃沈
(1945年)
「徳之島ノ北西洋上、「大和」轟沈シテ巨体四裂ス 今ナオ埋没スル三千ノ骸(ムクロ)彼ラ終焉ノ胸中果シテ如何」
吉田満『戦艦大和ノ最期』(講談社文芸文庫)の一節である。
戦艦「大和」が、横っ腹に魚雷を喰らい、空からの爆弾の雨の中を、のたうつように巨体を捻りながら旋回している、アメリカ軍機が撮影した記録フィルムはよく知られている。だが、その映像には人間の姿は映っていない。イラクでのアメリカ軍機の爆撃のようすはニュースでよく見るけれど、その爆弾の炸裂した場所で吹き飛んだであろう人間の姿が映っていないのと同じだ。吉田満『戦艦大和ノ最期』を読んで、乗組員二千数百名の地獄を改めて実感した。この本のことは、関川夏央『本よみの虫干し—日本の近代文学再読』(岩波新書)で初めて知って読んだ。カタカナと漢字で、しかも文語体で書かれた文章は、慣れるまで決して読みやすいものではなかったが、読み進むうちに、吉田満がこの文章を「たったひと晩」で書き終えたというすさまじさが伝わってくる。学徒出身22歳の吉田満少尉が戦艦大和に着任するところから、この本は始まる。生還の見込みのない出撃であることを、若い将校たちが語り合う場面が生々しく痛々しい。自分が死ぬことを意味づけないでいることは誰にもできない。アメリカ軍機の集中攻撃を浴びて撃沈するまでの地獄絵は、ぜひ多くの若者たちにも読んで欲しいと思う。戦友たちが次々と肉片となって飛び散っていくすさまじい光景を、吉田さんは何としても書き留めようとしている。重油の海に放り出されて、奇跡的に生き残った一人として吉田さんはこの本を書いたのだ。戦後、小林秀雄が雑誌に載せたいと申し出たらしいが、GHQから出版禁止の命令が出されたという。
Posted: 水 - 4月 7, 2004 at 09:44 åflëO